不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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蛇足編

鬼人王

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「行け!!鬼人王!!」
『グギィイイイッ!!』
「この鳴き声は……まさか!?」
「中身はゴブリンでござるか!?」


鬼武者の試作機である「鬼人王」からゴブリンらしき鳴き声が聞こえ、老人の命令に従ってレナの元へ向かう。ヒヒイロカネ製の大太刀を振りかざし、それを見たレナは咄嗟に鏡刀で受け止めた。


「くっ!?」
「馬鹿め!!死ねっ!!」
『グギャアアアッ!!』


大太刀を正面から受けたレナだったが、想像以上の力に押し負けてしまう。限界強化を発動させてどうにか踏み止まるが、相手は大太刀を幾度も振り下ろしてレナを押し込む。


『ギィアアアアッ!!』
「くっ……」
「レナ様!!その武器では受けるのは不利です、武器に合わせた使い方をしてください!!」
「そうでござる!!大剣に慣れているとはいえ、その武器は大剣ではないでござる!!」
「が、頑張って~!!」


三人の声援を受けながらレナは鏡刀を構え、正面から受けるのではなく、相手の攻撃を受け流す事にした。大剣ならば相手の攻撃を受け止められるが、鏡刀のような武器では受けるのは不利であり、シズネのように華麗に攻撃を受け流す。


「流水」
『グギャッ!?』


受け流しの戦技を使用してレナは相手の攻撃を反らすと、鬼人王は体勢を崩した。それを見たレナは好機だと判断して鏡刀を振りかざし、強烈な一撃を繰り出そうとした。


「喰らえっ!!」
「間抜けが!!やれ、鬼人王!!」
『グギャアッ!?』


鬼人王は体勢を崩した状態から無理やりに片足を放ち、異様に膝があり得ぬ方向に折れ曲がってレナに攻撃を繰り出す。それに対して咄嗟にレナは攻撃を躱したが、鬼人王の中身の悲鳴が響き渡る。



――ギャアアアアッ!?



膝が完全に折れ曲がった鬼人王だが、明らかに骨折したにも関わらずに膝を元に戻す。それを見たレナは呆気に取られ、他の者も何が起きたのか理解できない。ただ一つだけ言えるのは鬼人王の中身は膝が曲がった際に骨折しているはずだった。

ここで疑問を抱いたのはレナであり、神器の類はそもそも魔物には扱えない。老人がゴブリンかあるいはホブゴブリンを鬼人王の中に入れたとしても神器は扱う事はできないはずだが、何故か鬼人王は起動していた。その事に疑問を抱いたレナはここでバジルの事を思い出す。


(ゴブリン……人間……まさか!?)


バジルはゴブリンと人間の間に生まれた存在であり、自分の事は人間だと言い張っていた。実際にバジルは人間の言葉を完全に理解し、見た目は異形ではあるが人間の血を継いでいた。だからこそバジルならば神器を扱えた可能性もあるが、彼はもう既に死んでいるはずである。


「まさか……バジル?」
「ほう、奴の事をまだ覚えていたか……だが、そいつはバジルではない。バジルの弟じゃ!!」
「弟だって!?」
『グギギギッ……!!』


バジルに弟がいた事にレナは衝撃を受け、本人は家族の事など何も語っていなかった。しかし、老人によればバジルには弟が存在し、その弟は兄と違って忠実な僕として働いていた事を語る。


「くくく……バジルの弟は兄ほどに頭も良くはなく、魔物使いの才能も持ち合わせていなかった。だが、力だけは有り余っていたから儂の元で働かせていた。そしてお前を殺すため、この鬼人王を与えた!!」
「バジルに弟がいたなんて……」
「奴は弟の存在など認めておらんかった。こいつは人語はある程度は理解できるが、人語も話す事もなければ魔物を躾ける事もできない。但し、儂の実験によってその力はバジルの比ではない……そして人間の血を継いでいるからこそ神器も起動できる!!正に最強の人造兵器じゃ!!」
「……なんという非道を」
「酷すぎるよ、そんなの!!」
「下衆め!!拙者が成敗してくれるでござる!!」


老人の言葉に三人は怒りを抱き、一方でレナは鬼人王と向かい合う。まさかこんな形でバジルの弟と出会うとは思わなかったが、相手が誰であろうと敵として立ちはだかるならば手加減はできない。


「最悪な上司を持ったな……だけど、俺も引くわけにはいかないんだ」
『グギギギッ……!?』
「なにをしておる愚か者!!さっさと始末せんか!!」


鬼人王に乗り込んだバジルの弟は骨折しているにも関わらずに無理やり動かされ、大太刀をレナに目掛けて振り下ろす。それに対してレナは鏡刀を鞘に戻すと、それを見たハンゾウは驚きの声を上げた。


「その構えは……!?」
「ふうっ……」
『グギィッ!?』


まるでハヤテの「居合」のように構えたレナを見てハンゾウは驚き、その一方で鬼人王も危険を感じたのか立ち止まった。しかし、レナは間合いの外に立っている鬼人王に目掛けて踏み込み、鞘から鏡刀を抜き放つ。


「抜刀!!」
『グギャアアアッ!?』
「ば、馬鹿なっ!?」


下から繰り出された鏡刀の刃は鬼人王の鎧を切り裂き、一撃で鎧を真っ二つに切り裂く。すると中に入っていたバジルの弟の姿が露わになり、兄と同様に人間離れした異形な姿をしていた。
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