不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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蛇足編

強行突破!

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「ティナ、恥ずかしいかもしれないけど絶対に離れるなよ」
「う、うん……」
「ふうっ……行くぞっ!!」


気合と覚悟を決めたレナは街道に踏み出すと街の人々に迷惑をかけることになるが、時間内に間に合うために強行突破を行う。街道を一気に突き進むために彼は「威圧」の技能を発動させた。


「退いて下さい!!」
「ひいっ!?」
「きゃあっ!?」
「うひゃあっ!?」


街の人々はレナの姿が超巨大な巨人や得体の竜種のような化物の姿に見え、慌てて彼から逃れるために道を開く。圧倒的な威圧感に並の人間は恐怖して彼の前から離れ、街の人間に紛れていた緑影も彼の威圧を浴びて怖気づく。


「な、何だこれは……!?」
「か、身体が動かない……」
「馬鹿な、これが人間の放つ気か!?」


ゴウライをも上回る威圧感を放ちながらレナは前に突き進むと、緑影は彼を止めようとするが身体が言うことを聞かない。彼等は大型の肉食獣に相対した草食獣のような気分を味わい、本能で格の違いを思い知らされる。

ティナを背負ったままレナは街道を一気に突き進み、北側の城壁までの距離は100メートルを切った。だが、威圧の技能を持続しながらの行動は思ったよりも負担が大きく、彼は脂汗を流しながら足を止める。


「はあっ、はあっ……きつい」
「ええっ!?そ、そんなに私って重いの!?」
「いや、そういうわけじゃないけど……」


レナの言葉にティナはショックを受けるが彼女は別に重いわけではなく、複数の技能を発動しながら移動はレナの体力を削る。だが、目的地まではあと少しであり、時間の方も余裕があった。


「ティナ、残りの時間は?」
「えっとね、あと三分の一ぐらいはあるよ」
「よし、それなら間に合う……いや、面倒そうなのが出てきたな」
「え?」


城壁の前に立っている人物を見てレナはため息を吐き出し、背中に乗せていたティナを下ろす。ティナはレナが見ている方角に視線を向けると、そこにはアルンの姿があった。


「まさかこんなにも早く来るとはな……だが、その様子を見る限り相当に疲れているようだな!!」
「兄様!?」
「……何の真似ですか王子?」
「ここを通りたければ僕と戦えっ!!」


アルンは剣を引き抜き、それを見たティナは慌ててレナに振り返る。アルンが剣を抜いたのを見てレナは空間魔法を発動させて鏡刀を取り出すと、それを見てアルンは眉をしかめた。


「君は大剣を扱う剣士だと聞いてるぞ!!それなのにそんな武器で僕と戦うつもりか!?それは僕を舐めているというのか!?」
「そんな武器?確かに俺は大剣も扱いますけど、この剣だって何度も俺を救ってくれた大切な武器です。それを何も知らない人間にそんな武器だと言われる謂れは有りません」
「け、喧嘩は駄目だよ!!兄様もレナたんも喧嘩しないで!!」


ティナは二人の喧嘩を止めようとするがレナもアルンも引くつもりはなく、レナはティナを下がらせると鏡刀を構えた。一方でアルンは長剣を構えると指を鳴らして側近の緑影二人を呼び出す。


「お前達の力を僕に貸せ!!」
「王子……本気ですか?」
「止めといたほうがいいと思いますけど……」
「黙れ!!いいから力を貸すんだ!!」


アルンは剣を二人に差し出すと側近の二人は掌を構え、風の精霊を呼び出す。アルンの所持する長剣はヨツバ王国に伝わる国宝であり、七大聖剣や七大魔剣にも劣らぬ名刀だった。

ヨツバ王国の王族だけが扱うことを許される名刀「嵐武」は風の精霊を取り込むことで刀身に竜巻を纏う。七大聖剣のクサナギや七大魔剣の青嵐と異なるのは嵐武の場合は取り込んだ風の精霊の分だけ力を発揮する。使い方によっては一度限りだがクサナギや青嵐を上回る威力の攻撃を繰り出せる。


「はぁあああっ!!」
「わあっ!?兄様本気だよ!?」
「ティナは下がってろ。大丈夫、絶対に怪我はさせないから……」
「き、貴様……人を何処まで舐めれば気が済む!!」


国宝である嵐武まで取り出したのにレナが全く動揺せず、それどころか自分を怪我させずに勝利するつもりの彼にアルンは怒りの頂点に達した。だが、レナは嵐武を構えたアルンを見ても何も思わない。


(……この人は脅威にはならない)


これまで数々の強敵と戦ってきたが故にレナの目からはアルンは自分の脅威になりうる存在とは思えなかった。彼は鏡刀を構えると上段に構え、アルンから仕掛けるのを待つ。その姿を見て緑影の二人組は焦りを抱く。


「王子様!!お気を付けください、やはりこの男は……」
「無茶です!!王子様の敵う相手じゃ……」
「うるさい!!お前達は力を貸せ!!」


レナが只者ではないことはアルンも肌で感じ取り、国宝の嵐武まで持ち出したのに彼は構えを取ったレナを見ただけで自分に勝ち目はないと分かった。それでも男として兄としてレナに挑まなければならず、アルンは勢いよく踏み込んで彼の元へ向かう。




※12時にも投稿します
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