不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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蛇足編

特別編 《レナがもしも黒虎よりも先に氷雨に入っていたら》

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※読者様から要望があったので本日は二話投稿です!!今回はレナが黒虎に入らずに氷雨に加入していた場合の話です。

――深淵の森を出たレナは冒険都市に辿り着き、冒険者として活動することを決めた。何処のギルドに入るのかアイリスに相談した所、氷雨のギルドに所属するのを勧められる。本来ならば氷雨に加入するためには厳しい試験を受ける必要があるのだが、何故かギルドマスターはレナを一目見ると加入を許可してくれた。


「おらぁあああっ!!調子に乗ってんじゃねえぞクソガキ!!」
「うわわっ!?」
「おい、ガロやり過ぎだぞ!?」


氷雨に加入したレナは最初の内は先輩冒険者から指導を受けることになった。氷雨では新人冒険者は仕事を受ける前に一か月ほど他の冒険者から教育を受けることが決まっており、レナは先輩冒険者のガロに戦闘指導を受けていた。


「ちっ、マリア様に気に入られたからって調子に乗ってんじゃねえぞ!!かかってきやがれ!!」
「くっ……」
「おい、止めろって!!」
「そうだよ!!レナ君が可哀想だよ!!」


本日のレナの教育係はガロであり、彼は何故かマリアに気に入られて加入したレナのことを嫌っていた。だから戦闘教育というい名目で彼を痛めつけようとするが、仲間のモリモとミナが間に割って入る。


「大丈夫?レナ君、無理しなくていいからね」
「あ、はい……ありがとうございますミナ先輩」
「おい!!ミナ、甘やかすんじゃねえよ!!」
「もう、いい加減にしなよ!!レナ君が可哀想だよ!!」


ミナは後輩であるレナをガロから庇い、そんな彼女の態度にガロは増々気に入らない。彼は不機嫌そうに鼻を鳴らしながらレナに告げた。


「ちっ、今日はここまでにしといてやる!!」
「……ありがとうございました」
「気にしないでいいからね。焦って強くなる必要なんかないよ」
「そうそう、あいつの言うことなんて気にするなよ」
「おい、甘やかすんじゃねえよ!!さっさと行くぞ!!」


対人戦の経験が殆どないせいでレナは他の冒険者と比べて腕が劣り、ガロとの対戦でも上手く立ち回れなかった――





――先輩冒険者の指導を終えた後、レナは訓練場で練習を行う。そんな彼の元にギルドマスターのマリアが訪れた。彼女はシノビとハンゾウを引き連れており、真面目に訓練を行うレナの様子を伺う。


「せい、やあっ!!はああっ!!」


一人で大剣を振り回すレナの姿をマリアは遠目で確認し、彼女はレナを見ていて親近感を抱く。子供の頃の姉の面影があるレナを見た時に彼女は他人の様な気がせずに氷雨の加入を許した。


「頑張っているようね」
「そうでござるな」
「……マリア様、どうして彼を加入させたのですか?我がギルドでは15才以下の子供は加入を認めないと決めたのはマリア様ではないですか」


大抵の冒険者ギルドは年齢制度を設けており、氷雨も例外ではない。冒険都市内の冒険者ギルドは黒虎を除いて15才以下の子供が冒険者になることは認められない。それなのにマリアが特例でレナを氷雨に受け入れたことに疑問や反感を抱く者もいた。

いつものマリアならばいくら才能のある子供だとしても氷雨の加入を許すはずがない。だが、レナを見た時に彼女は何としても自分の手元に置きたいと思った。彼をここで手放せば後々に後悔すると判断し、彼女はレナを特例で氷雨の冒険者にさせる。


「今日もガロ殿にしごかれたようでござる。ちょっと可哀想でござった」
「そう……困った子ね」
「他の者に指導を任せますか?」
「いいえ、この程度でへこたれるようなら先はないわ」


氷雨に加入させたからといってもマリアはレナを必要以上に甘やかすつもりはなく、彼の面倒は他の冒険者に一任する。何となくではあるがレナならばどんなに厳しい教育でも耐えられる気がした。昔の姉もどんなに厳しい訓練も耐え抜き、最強の剣士へと至ったことを思い出す。


(強くなりなさ……レナ)


この時点でマリアはレナの正体が姉の子供であると察していた。彼がもしも姉の才能を引き継いでいるのならば必ずや他の冒険者を出し抜く日が来ると信じて放置する――





――数日後、レナは剛剣の剣技を自力で習得した。そしてガロとの模擬戦を行う際、彼は自分が磨き上げた剣技を繰り出す。


「兜砕き!!」
「がはぁっ!?」
「わあっ!?」
「う、嘘だろおい!?」


ガロはレナが繰り出した渾身の一撃によって吹き飛ばされ、それを見ていたミナやモリモは驚愕した。ガロはレナの一撃を受けて意識を失い、身体を痙攣させる。それを見てレナは息を荒げながら大剣を地面に下ろす。


「はあっ、はあっ……やった!!」
「す、凄いレナ君!!」
「まさかあのガロを倒すなんて……こいつは大物になりそうだな」


ミナはガロの心配よりもレナを祝福し、他の冒険者もレナの実力を認めた。その様子を陰から見守っていたマリアは笑みを浮かべる。


「よく頑張ったわね……流石は姉さんの子だわ」
「マリア殿……そこで何をしているでござるか?」
「しっ、話しかけるな……今は一人にしてやれ」


本人は気付いていないがマリアが隠れて見ているのはバレバレであり、ハンゾウとシノビはそんなマリアを見て冷や汗を流す――



壁|ω・)ジー ← 陰から見守るマリア
( ゚Д゚)ノ大剣← 勝ち誇るレナ


※この世界線では多分コトミン達と出会わないのでヒロインはミナやジャンヌになると思います。
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