不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ

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蛇足編

無敵の影人形

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「無駄だ!!そんな物が効くと思ってるのか!?」
「うわっ!?」
「レナたん!?」
「嘘……効いてない!?」


至近距離で聖属性の魔光を受けたにも関わらずに偽物のシズネはびくともせず、鍔迫り合いの状態からレナを押し返す。どれだけの怪力を誇ろうと影人形が相手では力では敵わず、このままでは押し切られてしまう。


(どうして光が効かないんだ!?まさか……あの神器のせいか!?)


理屈は不明だが闇魔導士の男が生み出した影人形は神器ファントムの力でシズネの姿に偽装しており、もしかしたら影人形の表面には魔鎧術のように魔力の膜のような物が張り巡らされ、それが光を遮断している可能性はあった。


『レナさん!!その神器ファントムは魔力を自分や他者に纏わせて擬態する能力です!!ホネミンさんを思い出して下さい!!』
『ホネミン……そういうことか!!』


アイリスの助言によってレナは神器ファントムの性能を知り、影人形は魔鎧術のように魔力を覆っていることで他の存在に擬態していることが判明した。魔鎧術も使い方によれば自分とは別の生物の姿に変身することもできる。

分かりやすい例えとして昔のホネミンは魔鎧術で生前(?)の自分の姿へと変化し、その上からプルミンを張り付けて彼の擬態能力で生前の姿に変身していた。それと同じように影人形は神器の力を利用して変身しており、光が通じないのは表面に纏う魔力が光を遮断しているに過ぎない。


(要するに影人形に魔鎧術を纏わせたようなもんか……それなら対抗策はある!!)


影人形には物理攻撃は通じないとしても表面を包み込む魔力の膜は別であり、レナは蒼炎の魔力を退魔刀に纏わせた。刀身に蒼の炎が宿ったのを見て闇魔導士の男は動揺し、こんな色合いの炎の魔法剣など見たことがない。


「これならどうだ!!」
「何だと!?」


魔鎧術の応用で退魔刀に魔力を纏わせたレナは偽物のシズネに叩きつけると、先ほどとは違ってシズネの姿を模した影人形に影響が生まれた。シズネの姿を保てずに徐々に表面が解け始め、中身の影人形が露わとなる。そしてレナの蒼炎を間近で受けて影人形が崩れ始めた。


「ぎゃあああっ!?」
「効いてる!!その調子よ!!」
「い、いったい何が起きてるんだ!?」


影人形は攻撃を受ければ本体も無事では済まず、男は慌てて影人形を解除した。偽物のシズネは消え去るとレナは男の元へ向かい、逃げられる前に捕まえようとした。


「終わりだ!!」
「このっ……舐めるな!!」


闇魔導士の男は咄嗟に杖を地面に突き刺して自分の影を巨大な獅子の頭に変化させてレナに放つ。ダインの「シャドウバイト」という技と似ているが、生憎とレナはその弱点を熟知している。


「光球!!」
「うぎゃあっ!?」


いくら恐ろしい風貌の獣を形作ろうと影魔法の弱点は光であることに変わりはなく、初級魔法の光球を作り出しただけで男の生み出した獅子頭の影は消え去る。それを見逃さずにシズネも駆け出し、男が何か仕出かす前に止めを刺す。


「刺突!!」
「ぐはぁっ!?」
「や、殺ったのか!?」


背中にシズネの攻撃を受けた男は悲鳴をあげて倒れ込み、それを見たゴウカは殺したのかと思ったが、シズネが繰り出したのは雪月花ではなく白百合だった。しかも鞘を装着した状態で攻撃しており、そのお陰で男は致命傷から免れた。

男は背中を強打されて悶絶し、その場に倒れて痙攣していた。男が装着していた神器をシズネは奪い取り、即座にレナに投げ渡す。これ以上の悪用を阻止するためにレナは空間魔法で異空間に収めると、改めて男を見下ろす。


「お前、旧帝国の残党だな?さっきゴウカさんの日輪を失敗作だとか言ってたけどどういう意味だ?」
「ぐぐっ……」
「答えろ!!貴様等は何者だ!?」


他の兵士に支えられながらゴウカは男の元へ訪れると、彼を見て男は鼻を鳴らす。今まで男は彼の部下を演じて従ってきたが、真の目的は大将軍である彼を利用するためだった。


「お前に与えた魔道具は我等の組織で開発した魔斧だ……我々は神器を回収し、それらを分析することで神器を越える兵器の開発を行っている」
「何だと!?」
「くくく、滑稽だったぞ。お前はこの国の遺跡の調査で偶然にも日輪を手に入れたと思ってるんだろう?あれは俺がお前の部下に変装して遺跡の調査をするよう誘導したから発見できたとも知らずに……」
「部下を演じて日輪をゴウカの手に渡らせたというの?いったい何が目的なのよ」
「……さあな」


男は日輪をゴウカの手に渡るように仕向けたのは自分だと白状するが、その目的までは喋らなかった。殺される覚悟はあるのか男はこれ以上に喋ることはなく、それを見てゴウカは怒りのあまりに身体を震わせる。一方でレナは男の発言を聞いてアイリスに尋ねる。


『こいつの言っている事は本当?』
『本当ですよ。この男の役目は組織が開発した兵器を優秀な武人の手に渡るように仕組んできたんです。開発した新兵器の性能を把握するためにゴウカは利用されていたということです』


アイリスの発言を聞いてレナは納得し、この男が所属する組織は既に神器を解明して新しい魔道具を生み出す技術を確立していることが発覚した。
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