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蛇足編
悪魔の誕生
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「はあっ……ようやくここまで戻ってこれたね」
十数年ぶりに戻ってきた屋敷にミヤは乾いた笑みを浮かべ、この場所で彼女はずっと生まれ育った。呪術師の存在は公にしてはならないのでシャドウ家の人間は無暗に外に出ることは許されず、彼女の実力が認められるまでの間は屋敷から一歩も出なかった。
言い付けを破って屋敷の外に出ようとした人間も何人かいたらしいが、全員がオウネンに捕まって厳しい罰を与えられた。また、シャドウ家に嫁いだ人間は子供が誕生すると用済みとして排除され、ミヤの母親も生まれた時に殺されてしまう。オウネンの目的はあくまでも自分の肉体に相応しい器を育てるためだけに子孫を育てていただけに過ぎず、次期当主と言われていたミヤも彼にとっては単なる器にしか過ぎなかった。
「あのオウネンが死んでしまうとはね……しかもあんなガキに殺されるなんて」
オウネンを恐れてミヤはシャドウ家から逃げ出したが、風の噂でオウネンが死んだと聞いた時は耳を疑った。あれほど彼女が恐れていた存在がよりにもよって自分が最も見下していたダインに滅ぼされたと知り、彼女は今でも信じられない。
「所詮、オウネンは年老いて碌に実力も引き出せなかった。当たり前の話さ、いくら優れた肉体に憑依しようと所詮は他人の肉体……自分の血筋の人間だろうと本来の力を発揮できるはずがない」
オウネンの目的は自分の血を継ぐ子供を育て上げた後に殺し、その肉体に憑依する方法で彼は生き延びようとした。肉体が老いれば新しい肉体に憑依することで永遠の時を生きようとしたのかもしれないが、その方法は限界があった。だからミヤはオウネンとは別のやり方で不老不死になろうと考えた。
不老不死に最も近い存在は吸血鬼であり、彼等は定期的に他の生物の血液か精気を吸い上げれば肉体は老いることはなく、それどころか自由に肉体の年齢を変えることもできた。それを知ったミヤは吸血鬼と交渉して自分の肉体を吸血鬼に変えてもらうが、彼女の場合は年老い過ぎたせいで肉体を復活させるには条件があった。
『若返りたいのであれば貴方の家系の人間の血を吸いつくす方法が一番ね。普通の人間の血を吸えば一時的に若返ることもできるけれど、同族の人間の血を飲まない限りは肉体が完全に若返ることはないと思いなさい』
自分を吸血鬼にしてくれた女のことを思い出し、彼女も優れた死霊魔術師だった。ミヤは彼女に特殊な死霊石を渡すことを条件に吸血鬼にしてもらい、そのお陰で普通の人間よりも寿命が延びて生きながらえることに成功した。
吸血鬼の肉体を得たお陰でミヤは今日まで生き延びてきたが、早々にダインの血を吸いつくさねば命は長くはない。彼の血を確実に吸うためにミヤはシャドウ家の屋敷に訪れ、シャドウ家が隠していた死体の保管所に訪れた。
「……死んだか、馬鹿な奴だね」
シャドウ家の地下にはこれまでに死んでいったシャドウ家の人間の死体が保管されており、その場所は死んだ人間の怨念が封じられていた。死霊魔術師であろうと未熟な実力者では耐え切れないほどの密度の高い闇属性の魔力が部屋の中に充満しており、その中に入ったミヤは笑みを浮かべた。
『オオオオオオッ……!!』
部屋の中にはおぞましい怨念の鳴き声が響いており、この声は呪術師以外には聞こえない。部屋の中には数十の怨念が入り乱れており、彼等を完全に制御できるのは呪術師以外にはあり得ない。死霊魔術師はあくまでも死体に命を吹き込むことしかできないが、呪術師は怨念の魂その物に干渉する力を持つ。
「さあ、お前達の力を寄越しな!!」
『オアアアアッ!?』
ダインを殺す前にミヤは万全の体制を整えるために部屋の中に集まった怨念に命令した。呪術師の彼女が命じると怨念はミヤの元に集まり、彼女を中心に回り始めた。普通の人間ならば怨念が発する闇属性の魔力に耐え切れずに意識を失うか、最悪の場合は死を迎える。しかし、ミヤにとっては怨念の放つ闇属性の魔力こそが自分の力となる。
「光栄に思いな!!お前達は私の糧となるんだ!!」
『アアアアアアッ!?』
シャドウ家の怨念を利用してミヤは膨大な闇属性の魔力を取り込み、彼女の肉体に変化が起き始めた。年老いていた肉体が徐々に若返り始める。やがてミヤの身体は20代前半まで戻ると、彼女の周りを跳んでいた怨念は消え去る。彼等は魔力を吸いつくされたことで完全に取り込まれてしまう。
若返ったミヤは全身から溢れる闇属性の魔力に笑みを浮かべ、この部屋は元々はオウネンが万が一の場合に備えて用意していた。オウネンは自分が危機に陥った時、この部屋に封じていた怨念を吸収することで力を得ようとしていた。それを知っていたミヤはこの場所に訪れて力を取り戻す。
十数年ぶりに戻ってきた屋敷にミヤは乾いた笑みを浮かべ、この場所で彼女はずっと生まれ育った。呪術師の存在は公にしてはならないのでシャドウ家の人間は無暗に外に出ることは許されず、彼女の実力が認められるまでの間は屋敷から一歩も出なかった。
言い付けを破って屋敷の外に出ようとした人間も何人かいたらしいが、全員がオウネンに捕まって厳しい罰を与えられた。また、シャドウ家に嫁いだ人間は子供が誕生すると用済みとして排除され、ミヤの母親も生まれた時に殺されてしまう。オウネンの目的はあくまでも自分の肉体に相応しい器を育てるためだけに子孫を育てていただけに過ぎず、次期当主と言われていたミヤも彼にとっては単なる器にしか過ぎなかった。
「あのオウネンが死んでしまうとはね……しかもあんなガキに殺されるなんて」
オウネンを恐れてミヤはシャドウ家から逃げ出したが、風の噂でオウネンが死んだと聞いた時は耳を疑った。あれほど彼女が恐れていた存在がよりにもよって自分が最も見下していたダインに滅ぼされたと知り、彼女は今でも信じられない。
「所詮、オウネンは年老いて碌に実力も引き出せなかった。当たり前の話さ、いくら優れた肉体に憑依しようと所詮は他人の肉体……自分の血筋の人間だろうと本来の力を発揮できるはずがない」
オウネンの目的は自分の血を継ぐ子供を育て上げた後に殺し、その肉体に憑依する方法で彼は生き延びようとした。肉体が老いれば新しい肉体に憑依することで永遠の時を生きようとしたのかもしれないが、その方法は限界があった。だからミヤはオウネンとは別のやり方で不老不死になろうと考えた。
不老不死に最も近い存在は吸血鬼であり、彼等は定期的に他の生物の血液か精気を吸い上げれば肉体は老いることはなく、それどころか自由に肉体の年齢を変えることもできた。それを知ったミヤは吸血鬼と交渉して自分の肉体を吸血鬼に変えてもらうが、彼女の場合は年老い過ぎたせいで肉体を復活させるには条件があった。
『若返りたいのであれば貴方の家系の人間の血を吸いつくす方法が一番ね。普通の人間の血を吸えば一時的に若返ることもできるけれど、同族の人間の血を飲まない限りは肉体が完全に若返ることはないと思いなさい』
自分を吸血鬼にしてくれた女のことを思い出し、彼女も優れた死霊魔術師だった。ミヤは彼女に特殊な死霊石を渡すことを条件に吸血鬼にしてもらい、そのお陰で普通の人間よりも寿命が延びて生きながらえることに成功した。
吸血鬼の肉体を得たお陰でミヤは今日まで生き延びてきたが、早々にダインの血を吸いつくさねば命は長くはない。彼の血を確実に吸うためにミヤはシャドウ家の屋敷に訪れ、シャドウ家が隠していた死体の保管所に訪れた。
「……死んだか、馬鹿な奴だね」
シャドウ家の地下にはこれまでに死んでいったシャドウ家の人間の死体が保管されており、その場所は死んだ人間の怨念が封じられていた。死霊魔術師であろうと未熟な実力者では耐え切れないほどの密度の高い闇属性の魔力が部屋の中に充満しており、その中に入ったミヤは笑みを浮かべた。
『オオオオオオッ……!!』
部屋の中にはおぞましい怨念の鳴き声が響いており、この声は呪術師以外には聞こえない。部屋の中には数十の怨念が入り乱れており、彼等を完全に制御できるのは呪術師以外にはあり得ない。死霊魔術師はあくまでも死体に命を吹き込むことしかできないが、呪術師は怨念の魂その物に干渉する力を持つ。
「さあ、お前達の力を寄越しな!!」
『オアアアアッ!?』
ダインを殺す前にミヤは万全の体制を整えるために部屋の中に集まった怨念に命令した。呪術師の彼女が命じると怨念はミヤの元に集まり、彼女を中心に回り始めた。普通の人間ならば怨念が発する闇属性の魔力に耐え切れずに意識を失うか、最悪の場合は死を迎える。しかし、ミヤにとっては怨念の放つ闇属性の魔力こそが自分の力となる。
「光栄に思いな!!お前達は私の糧となるんだ!!」
『アアアアアアッ!?』
シャドウ家の怨念を利用してミヤは膨大な闇属性の魔力を取り込み、彼女の肉体に変化が起き始めた。年老いていた肉体が徐々に若返り始める。やがてミヤの身体は20代前半まで戻ると、彼女の周りを跳んでいた怨念は消え去る。彼等は魔力を吸いつくされたことで完全に取り込まれてしまう。
若返ったミヤは全身から溢れる闇属性の魔力に笑みを浮かべ、この部屋は元々はオウネンが万が一の場合に備えて用意していた。オウネンは自分が危機に陥った時、この部屋に封じていた怨念を吸収することで力を得ようとしていた。それを知っていたミヤはこの場所に訪れて力を取り戻す。
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