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帝都防衛編

閑話 〈もしもルノが冒険者としての活動に専念していたら〉

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――勇者召喚から数か月の時が経過し、冒険者として今日も依頼を果たして道中で現れた魔物の素材を回収してきたルノは冒険者ギルドに戻ってきた。


「ただいま戻りました~」
「えっ!?も、もう戻ってきたのかい?」
「どうかしました?」
「いや、ついさっき出かけたばかりじゃないのか!?」


ルノがギルドに戻ると偶然居合わせたギルドマスターのアイラが動揺し、約2時間前にルノは依頼を引き受けてギルドを離れたはずだった。しかも今回の依頼人は帝都から数百キロも離れた場所に住んでいるはずだが、ルノは何事もなかったように依頼の達成の証として依頼人からのサインが記された依頼書を提出する。


「はい。ちょっと遠かったので遅くなりましたけど、何とか解決しました」
「た、確かにサインが入っているが……だが、どうやってこんなに早く!?」
「氷板を使って空から向かいました。途中、何度か村に立ち寄って位置を確認しながら進んでたんですけど、なんかプテラノドンみたいな魔物に襲われたりして大変でした」
「それは翼竜じゃないのか!?」


竜種と遭遇した事を笑いながら語り掛けるルノにアイラは愕然とするが、周囲の人間は面白そうに聞き耳を立てる。ルノが冒険者活動に専念するようになってから彼の武勇伝を聞くことを楽しみにしている人間も多い。


「ルノさん!!今日はどんな依頼だったんですか!?」
「また凄い魔物を狩ったんですか!?」
「ううん、今日の依頼は古城に住み込んだ魔物の殲滅だったよ。まあ、中に住んでいたのはゴブリンとかオークとかコボルトとかミノタウロスだけだったから大したことはなかったかな……」
「いや、最後のは聞き捨てならないだが!?」


ミノタウロスをゴブリンと同列のように倒したことを語るルノにアイラは突っ込むが、そんな彼女の前でルノはアイテムボックスを開き、今日の収穫分の魔物の素材を引き渡す。


「あ、それと魔物の買取をお願いします。先に経験石だけ渡しときますね」
「いや、ちょっ……わああっ!?」


受付席の前でルノは異空間から大量の魔物の経験石を取り出し、あまりの量に机の上では収まり切れず、地面に零れ落ちてしまう。しかも中には明らかに竜種クラスの巨大な経験石も存在し、ルノは笑顔で受付嬢に話しかける。


「じゃあ、いつも通りに査定と換金をお願いします」
「え、えっと……」
「……また帝国に金を借りる事になりそうだな」


ルノが本格的に冒険者稼業を行う事になってからギルドの金庫だけでは彼の持ち込んできた素材の買取金を支払えず、アイラはまたもや先帝に頼んで帝国に資金を借りる事態に陥る事に頭を抑えた。


※これはデキン大臣が存在しなかった場合の世界です。時系列は現在よりもかなり後の話になり、魔王軍が本格的に動き出し、仕方なく勇者召喚を行います。ルノは城にいないのは彼の意思で城を出ます。この場合は城からの援助を受けながら冒険者活動をしている事になりますね。他の4人の勇者も帰還することなく活躍しているでしょう。

このルートだとアイラは気苦労が耐えませんね(´・ω・)カワイソウニ
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