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最終章 〈魔王と初級魔術師〉
四天王VS鎧武者
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「発勁……うわっ!?」
『防御態勢』
リーリスが両手を突き出して鎧武者の背後から攻撃を仕掛けようとした瞬間、鎧武者の形状が変形し、背中の部分から黒棘のような物が突き出された。咄嗟にリーリスは身体を伏せて回避に成功したが、背中の黒棘は中庭に存在した樹木を貫通した。
(何ですか今のは!?)
地面に伏せた状態でリーリスは目の前の鎧武者の姿に目を見開き、彼女は最初はデキンが鬼武者を装備していた時のように鎧武者の中には人間が存在して操作しているのかと考えていた。だが、鬼武者と瓜二つの形状をした鎧にも関わらずに鬼武者には存在しない能力で攻撃を繰り出され、彼女は混乱に陥った。
(こんな鎧見た事もない……そもそもこれ、中に人が入ってるんですか!?)
転生者であるリーリスは普通の人間よりも習得しているスキルの数が多く、伊達に将軍職を任されているわけではない。彼女は気配を察知する「気配感知」そして魔力を特定する「魔力感知」という二つの感知系スキルを習得しているが、この目の前の鎧武者からは生物独特の気配は一切感じられない。
中に人間が存在するのならばいくら鎧に覆われて居ようとスキルが発動するはずなのだが、至近距離にまで接近しているにも関わらずにリーリスは鎧武者からは何も感じられず、中身が存在しないのではないかと気づく。だが、考えている暇もなく鎧武者は背中から突き出した黒棘をもとに戻すと、片足を振り上げて地面に伏せたリーリスを踏みつけようとした。
『破壊』
「のおぉっ!?」
「り、リーリス様……一体何が!?」
奇怪な悲鳴をあげながらリーリスはその場を転がり回り、踏みつけようとしてくる鎧武者の攻撃を回避する。先ほどのリーリスが仕掛けた閃光はどうやら通じていなかったらしく、結局は兵士達の視界が塞がれた程度で何の効果もなかった。だが、リーリスに自分の行動を後悔している暇はなく、どうにか生き延びるために彼女は白衣の下に隠していた収納石を発動させて異空間から薬瓶を取り出す。
「とっておきだったんですけど……仕方ないですね!!」
リーリスはフラスコ型の薬瓶を数本取り出すと、鎧武者に向けて放つ。攻撃と判断した鎧武者は投擲された薬瓶に対して大剣で振り払おうとした瞬間、空中で刃に接触した薬瓶が割れた瞬間に爆発を引き起こす。
『っ……!?』
「どうですか!!私がこっそり集めておいた火竜の経験石の粉末と樹精霊の粘液から作り出した爆発瓶は!?」
火竜の経験石をジャンヌが破壊した際、リーリスは回収しておいた経験石の粉末を利用して強い衝撃を与えると規模は小さいが威力は高い爆発を引き起こす液体を生み出していた。彼女はそれを「火液」と名付け、薬瓶の中に入れて常に携帯していた。
竜種の経験石は高密度な魔力の魔石といっても過言ではなく、その粉末であろうと使い方によれば途轍もない力を生み出す。爆発の規模はせいぜい数メートル程度ではあるが、炎に飲み込まれた鎧武者の巨体は吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。その隙を逃さずにリーリスは安全距離まで避難すると、視界が戻った兵士達に指示を出す。
「ほら、何してるんですか!!早く将軍を呼び出して来てください!!こんな奴の相手なんで私一人でどうにも出来ませんよ!!」
「いや、その必要はねえぞ!!」
「何事ですか!?」
リーリスが兵士達に会議室にいるはずの将軍達を呼び出すように指示を出したが、既に異変を察知していたのか中庭に慌てた様子のダンテとナオが駆けつけ、庭の惨状を見て驚きを隠せない。
『……敵対生物増加』
「な、何だこいつは!?」
「これは……!?」
「一体何の騒ぎじゃ!?」
「あ、あれは……まさか鬼武者!?」
ダンテとナオに続いてギリョウとドリアも駆けつけ、これでコトネを除いた四天王が勢揃いした。しかし、鎧武者は爆発を受けても掠り傷一つ受けずに起き上がると、漆黒の大剣で黒煙を振り払う。その光景を見たギリョウは大剣の正体がデュランダルである事を見抜く。
「お主……貴様!!その聖剣を何処で手に入れた!?」
「ぎ、ギリョウ様?どうしたのですか?」
「あの大剣が……聖剣だと?」
「間違いない!!20年以上前、儂はあの大剣をこの目で確認している!!おのれ、それは勇者の聖遺物であるぞ……!!」
ギリョウはかつて一度だけデュランダルが隠されている宝物庫に訪れたことがあり、鎧武者が装備している大剣が聖剣である事を見抜く。本来は国の大事が起きた場合、あるいは召喚された勇者のために保管されていた聖剣を扱う鎧武者に対してギリョウは憤りを抱く。
だが、彼の怒りが伝わっていないように鎧武者は大剣を振り回し、まずは盾を装備しているダンテに視線を向け、俊敏な動作で大剣を振り払う。
『殲滅開始』
「ああっ!?やるってのか……うおぁっ!?」
「ダンテさん!?」
ダンテは防御に特化した「盾騎士」の職業であり、彼の装備する「反鏡盾」はあらゆる魔法を跳ね返す。しかし、物理攻撃に対してはただの大盾と変わりはなく、鎧武者から繰り出された強烈な一撃を受け止めきれずにダンテは吹き飛ばされてしまった。
※完全復活!!(/・ω・)/ヤッタゼ 明日以降も10時投稿します!!
『防御態勢』
リーリスが両手を突き出して鎧武者の背後から攻撃を仕掛けようとした瞬間、鎧武者の形状が変形し、背中の部分から黒棘のような物が突き出された。咄嗟にリーリスは身体を伏せて回避に成功したが、背中の黒棘は中庭に存在した樹木を貫通した。
(何ですか今のは!?)
地面に伏せた状態でリーリスは目の前の鎧武者の姿に目を見開き、彼女は最初はデキンが鬼武者を装備していた時のように鎧武者の中には人間が存在して操作しているのかと考えていた。だが、鬼武者と瓜二つの形状をした鎧にも関わらずに鬼武者には存在しない能力で攻撃を繰り出され、彼女は混乱に陥った。
(こんな鎧見た事もない……そもそもこれ、中に人が入ってるんですか!?)
転生者であるリーリスは普通の人間よりも習得しているスキルの数が多く、伊達に将軍職を任されているわけではない。彼女は気配を察知する「気配感知」そして魔力を特定する「魔力感知」という二つの感知系スキルを習得しているが、この目の前の鎧武者からは生物独特の気配は一切感じられない。
中に人間が存在するのならばいくら鎧に覆われて居ようとスキルが発動するはずなのだが、至近距離にまで接近しているにも関わらずにリーリスは鎧武者からは何も感じられず、中身が存在しないのではないかと気づく。だが、考えている暇もなく鎧武者は背中から突き出した黒棘をもとに戻すと、片足を振り上げて地面に伏せたリーリスを踏みつけようとした。
『破壊』
「のおぉっ!?」
「り、リーリス様……一体何が!?」
奇怪な悲鳴をあげながらリーリスはその場を転がり回り、踏みつけようとしてくる鎧武者の攻撃を回避する。先ほどのリーリスが仕掛けた閃光はどうやら通じていなかったらしく、結局は兵士達の視界が塞がれた程度で何の効果もなかった。だが、リーリスに自分の行動を後悔している暇はなく、どうにか生き延びるために彼女は白衣の下に隠していた収納石を発動させて異空間から薬瓶を取り出す。
「とっておきだったんですけど……仕方ないですね!!」
リーリスはフラスコ型の薬瓶を数本取り出すと、鎧武者に向けて放つ。攻撃と判断した鎧武者は投擲された薬瓶に対して大剣で振り払おうとした瞬間、空中で刃に接触した薬瓶が割れた瞬間に爆発を引き起こす。
『っ……!?』
「どうですか!!私がこっそり集めておいた火竜の経験石の粉末と樹精霊の粘液から作り出した爆発瓶は!?」
火竜の経験石をジャンヌが破壊した際、リーリスは回収しておいた経験石の粉末を利用して強い衝撃を与えると規模は小さいが威力は高い爆発を引き起こす液体を生み出していた。彼女はそれを「火液」と名付け、薬瓶の中に入れて常に携帯していた。
竜種の経験石は高密度な魔力の魔石といっても過言ではなく、その粉末であろうと使い方によれば途轍もない力を生み出す。爆発の規模はせいぜい数メートル程度ではあるが、炎に飲み込まれた鎧武者の巨体は吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。その隙を逃さずにリーリスは安全距離まで避難すると、視界が戻った兵士達に指示を出す。
「ほら、何してるんですか!!早く将軍を呼び出して来てください!!こんな奴の相手なんで私一人でどうにも出来ませんよ!!」
「いや、その必要はねえぞ!!」
「何事ですか!?」
リーリスが兵士達に会議室にいるはずの将軍達を呼び出すように指示を出したが、既に異変を察知していたのか中庭に慌てた様子のダンテとナオが駆けつけ、庭の惨状を見て驚きを隠せない。
『……敵対生物増加』
「な、何だこいつは!?」
「これは……!?」
「一体何の騒ぎじゃ!?」
「あ、あれは……まさか鬼武者!?」
ダンテとナオに続いてギリョウとドリアも駆けつけ、これでコトネを除いた四天王が勢揃いした。しかし、鎧武者は爆発を受けても掠り傷一つ受けずに起き上がると、漆黒の大剣で黒煙を振り払う。その光景を見たギリョウは大剣の正体がデュランダルである事を見抜く。
「お主……貴様!!その聖剣を何処で手に入れた!?」
「ぎ、ギリョウ様?どうしたのですか?」
「あの大剣が……聖剣だと?」
「間違いない!!20年以上前、儂はあの大剣をこの目で確認している!!おのれ、それは勇者の聖遺物であるぞ……!!」
ギリョウはかつて一度だけデュランダルが隠されている宝物庫に訪れたことがあり、鎧武者が装備している大剣が聖剣である事を見抜く。本来は国の大事が起きた場合、あるいは召喚された勇者のために保管されていた聖剣を扱う鎧武者に対してギリョウは憤りを抱く。
だが、彼の怒りが伝わっていないように鎧武者は大剣を振り回し、まずは盾を装備しているダンテに視線を向け、俊敏な動作で大剣を振り払う。
『殲滅開始』
「ああっ!?やるってのか……うおぁっ!?」
「ダンテさん!?」
ダンテは防御に特化した「盾騎士」の職業であり、彼の装備する「反鏡盾」はあらゆる魔法を跳ね返す。しかし、物理攻撃に対してはただの大盾と変わりはなく、鎧武者から繰り出された強烈な一撃を受け止めきれずにダンテは吹き飛ばされてしまった。
※完全復活!!(/・ω・)/ヤッタゼ 明日以降も10時投稿します!!
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