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魔法学園編
第65話 実力で見返す
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「何ですか、今の失礼な人……」
「三年生の担当教師さ。名前は確か……忘れちまった」
「私は知っている。教師の中でも生徒に一番人気が低い「タン」という名前の教師」
「ああ、そういえばそんな名前だったね」
終始自分達を小馬鹿にした態度を取ったタンに対してマオは不満を抱くが、こんな事でいちいち怒っているのも馬鹿馬鹿しく思う。今のマオに大切な事は試験に合格する事であり、あの教師も試験でまた顔を合わせるはずだった。
マオが行う試験は他の教師の前で行うため、当然ながらタンも参加するはずだった。そこでマオは自分の事を魔力量が少ないという理由で小馬鹿にした彼を見返すため、何としても試験に合格する事を誓う。
「師匠、僕……絶対に試験に合格してみせます」
「その意気だよ。あんたなら大丈夫さ」
「私も応援する。あの白髪頭にぎゃふんと言わせて」
バルルとミイナはマオが試験に合格するように応援し、二人の期待に応えるためにもマオはまずはバルルの知り合いの元へ向かう――
――本来ならば魔法学園の生徒は休日以外は無暗に外に出るのは禁じられているが、バルルは教師の権限で二人を連れて城下町へ赴く。そして彼女が向かった先は彼女の古巣とも言える場所だった。
「ここは……?」
「冒険者ギルドさ、見るのは初めてかい」
「ここが冒険者ギルド……私も見たのは初めて」
3人の前にはバルルが経営する宿屋よりも巨大な建物が存在し、もしかしたら王城を除けば城下町でも一番に大きい建物かもしれない。最初にマオの目に入ったのは巨大な扉であり、この扉は巨人族でも通り抜けられるように設計されている。
中の方に入ると大勢の人々が行き交い、その中には獣人族や巨人族やドワーフの姿も見られた。彼等の殆どが武器を携帯しており、ちらほらと魔術師らしき人物も混じっていた。
「うわぁっ……ここに居る人、全員が冒険者なんですか?」
「そういう事になるね、ここに来るのも懐かしいね……」
「懐かしい?」
「そういえば師匠は元冒険者でしたっけ?」
「ああ、そうさ」
バルルは冒険者達を見て懐かしく思い、宿屋の店主になる前は彼女は冒険者として活動していた。もう数年前の話になるが、彼女はここで冒険者として過ごしていた日々を思い出す。
「ん?お、おい……そこにいるの、もしかしてバルルか!?」
「何!?バルルだって!?」
「本当だ、久しぶりじゃないか!!いったい今まで何処に行ってたんだ!?」
「よう、あんたら!!まだ冒険者やってたのかい!?」
出入口の付近でバルルが立ち尽くしていると、後ろの方から声が上がる。マオは振り返るとそこにはバルルと同い年ぐらいと思われる男性冒険者が3人存在した。
全員が皮鎧を身に着けており、それぞれ別の武器を身に着けていた。剣、槍、斧を装備しており、この時にマオは彼等が身に着けている武器を見て違和感を抱く。
(あれ、この人達の武器……?)
彼等の武器を見てマオが抱いた違和感は金属部分が「緑色」だった。よくよく見ると他の冒険者も緑色の金属製の武器を身に着けており、不思議に思ったマオだがバルルは久しぶりに再会した冒険者達に話しかける。
「あんた達、まだくたばってなかったのかい!!」
「いきなり挨拶だな、おい!!」
「へへ、見ての通りにまだ現役さ」
「お前がいない間に俺達も階級が上がったんだぜ?見ろよ、これを!!」
冒険者達は胸の部分に身に着けているバッジを指差すと、彼等は銀製と思われるバッジを身に着けていた。それを見たバルルは驚き、感心した風にバッジを覗き込む。
「こいつは驚いたね、あんたらが銀級まで昇格したのかい?」
「ああ、頑張ったんだぜ」
「へへ、これであと一つ上がればお前に追いつくぜ」
「ふん、10年早いよ」
「昇格?」
「銀級?」
4人の会話を聞いていたマオ達は話が付いて行けず、バルル達が何を言ってるのか理解できなかった。バルルは3人の冒険者にマオ達を紹介する。
「実は色々とあって今はこの二人の世話をしててね。まあ、あたしの弟子みたいなもんさ」
「弟子!?お前が弟子を作ったのか!?」
「どういう風の吹き回しだ……しかもこんな子供達を」
「まさか、お前の子供じゃ……」
「馬鹿、あたしにこんなデカい子供がいるはずないだろ!!」
「いや、年齢を考えたらそう不自然でもないと思うが……あいて!?」
年齢の話をしようとした男性冒険者にバルルは鉄拳を喰らわせて黙らせると、改めてバルルはマオ達にも彼等の紹介を行う。
「この三馬鹿はあたしと同期の冒険者さ。まあ、あたしが冒険者だった頃はもっと情けなかったんだけどね」
「はあっ……」
「おいおい、ひどいな……一時期は冒険者集団を組んだ仲じゃないか?」
「冒険者集団?」
「要するに冒険者同士がつるんで仕事を行うのさ」
3人の男性冒険者は冒険者集団を組んで仕事を行っているらしく、バルルが現役を引退した後もずっと3人は一緒に仕事をしてきた仲らしい。
「三年生の担当教師さ。名前は確か……忘れちまった」
「私は知っている。教師の中でも生徒に一番人気が低い「タン」という名前の教師」
「ああ、そういえばそんな名前だったね」
終始自分達を小馬鹿にした態度を取ったタンに対してマオは不満を抱くが、こんな事でいちいち怒っているのも馬鹿馬鹿しく思う。今のマオに大切な事は試験に合格する事であり、あの教師も試験でまた顔を合わせるはずだった。
マオが行う試験は他の教師の前で行うため、当然ながらタンも参加するはずだった。そこでマオは自分の事を魔力量が少ないという理由で小馬鹿にした彼を見返すため、何としても試験に合格する事を誓う。
「師匠、僕……絶対に試験に合格してみせます」
「その意気だよ。あんたなら大丈夫さ」
「私も応援する。あの白髪頭にぎゃふんと言わせて」
バルルとミイナはマオが試験に合格するように応援し、二人の期待に応えるためにもマオはまずはバルルの知り合いの元へ向かう――
――本来ならば魔法学園の生徒は休日以外は無暗に外に出るのは禁じられているが、バルルは教師の権限で二人を連れて城下町へ赴く。そして彼女が向かった先は彼女の古巣とも言える場所だった。
「ここは……?」
「冒険者ギルドさ、見るのは初めてかい」
「ここが冒険者ギルド……私も見たのは初めて」
3人の前にはバルルが経営する宿屋よりも巨大な建物が存在し、もしかしたら王城を除けば城下町でも一番に大きい建物かもしれない。最初にマオの目に入ったのは巨大な扉であり、この扉は巨人族でも通り抜けられるように設計されている。
中の方に入ると大勢の人々が行き交い、その中には獣人族や巨人族やドワーフの姿も見られた。彼等の殆どが武器を携帯しており、ちらほらと魔術師らしき人物も混じっていた。
「うわぁっ……ここに居る人、全員が冒険者なんですか?」
「そういう事になるね、ここに来るのも懐かしいね……」
「懐かしい?」
「そういえば師匠は元冒険者でしたっけ?」
「ああ、そうさ」
バルルは冒険者達を見て懐かしく思い、宿屋の店主になる前は彼女は冒険者として活動していた。もう数年前の話になるが、彼女はここで冒険者として過ごしていた日々を思い出す。
「ん?お、おい……そこにいるの、もしかしてバルルか!?」
「何!?バルルだって!?」
「本当だ、久しぶりじゃないか!!いったい今まで何処に行ってたんだ!?」
「よう、あんたら!!まだ冒険者やってたのかい!?」
出入口の付近でバルルが立ち尽くしていると、後ろの方から声が上がる。マオは振り返るとそこにはバルルと同い年ぐらいと思われる男性冒険者が3人存在した。
全員が皮鎧を身に着けており、それぞれ別の武器を身に着けていた。剣、槍、斧を装備しており、この時にマオは彼等が身に着けている武器を見て違和感を抱く。
(あれ、この人達の武器……?)
彼等の武器を見てマオが抱いた違和感は金属部分が「緑色」だった。よくよく見ると他の冒険者も緑色の金属製の武器を身に着けており、不思議に思ったマオだがバルルは久しぶりに再会した冒険者達に話しかける。
「あんた達、まだくたばってなかったのかい!!」
「いきなり挨拶だな、おい!!」
「へへ、見ての通りにまだ現役さ」
「お前がいない間に俺達も階級が上がったんだぜ?見ろよ、これを!!」
冒険者達は胸の部分に身に着けているバッジを指差すと、彼等は銀製と思われるバッジを身に着けていた。それを見たバルルは驚き、感心した風にバッジを覗き込む。
「こいつは驚いたね、あんたらが銀級まで昇格したのかい?」
「ああ、頑張ったんだぜ」
「へへ、これであと一つ上がればお前に追いつくぜ」
「ふん、10年早いよ」
「昇格?」
「銀級?」
4人の会話を聞いていたマオ達は話が付いて行けず、バルル達が何を言ってるのか理解できなかった。バルルは3人の冒険者にマオ達を紹介する。
「実は色々とあって今はこの二人の世話をしててね。まあ、あたしの弟子みたいなもんさ」
「弟子!?お前が弟子を作ったのか!?」
「どういう風の吹き回しだ……しかもこんな子供達を」
「まさか、お前の子供じゃ……」
「馬鹿、あたしにこんなデカい子供がいるはずないだろ!!」
「いや、年齢を考えたらそう不自然でもないと思うが……あいて!?」
年齢の話をしようとした男性冒険者にバルルは鉄拳を喰らわせて黙らせると、改めてバルルはマオ達にも彼等の紹介を行う。
「この三馬鹿はあたしと同期の冒険者さ。まあ、あたしが冒険者だった頃はもっと情けなかったんだけどね」
「はあっ……」
「おいおい、ひどいな……一時期は冒険者集団を組んだ仲じゃないか?」
「冒険者集団?」
「要するに冒険者同士がつるんで仕事を行うのさ」
3人の男性冒険者は冒険者集団を組んで仕事を行っているらしく、バルルが現役を引退した後もずっと3人は一緒に仕事をしてきた仲らしい。
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