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魔法学園編

第200話 生徒会との対立

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「喰らえっ!!ファイア!!」
「うわっ!?」
「マオ、下がって!!」


生徒会の一人が小杖を突き出して下級魔法の「ファイア」を発動させると、杖の先端から火球が飛び出す。それを見たマオは咄嗟に杖を取り出そうとしたが、ミイナが先に動いて彼女は迫りくる火球を蹴り飛ばす。


「にゃんっ!!」
「嘘ぉっ!?」
「ば、馬鹿なっ!?」
「危ない!?」


火球を蹴り飛ばしたミイナに誰もが驚き、蹴り飛ばされた火球は生徒会の元に向かう。それを見たリンダは右手に風属性の魔力を込めると、迫りくる火球を殴りつけて吹き飛ばす。


「はああっ!!」
「うわっ!?」
「……流石は副会長」


蹴り返した火球をリンダは吹き飛ばした光景を見てミイナは油断ならぬと判断し、彼女はマオを連れて逃げる事に集中する。一方で火球を蹴り返した逃走犯《ミイナ》に対してリンダは生徒に注意を促す。


「どうやら相手は高い火属性の耐性持ちのようです。恐らく、火属性の魔法の使い手でしょう」
「な、なるほど……そう言う事だったのか!!」
「あの身軽さと俊敏さ、恐らくは火属性に適性がある獣人族です。狙うとしたら火属性以外の魔法を使いなさい」
「分かりました!!」


たった一度の攻防でリンダは逃走するミイナの適性属性と種族を見抜き、生徒達に的確な指示を与える。敵に回るとこれほど厄介な相手はおらず、これ以上にミイナが下手に動けば正体を勘付かれてしまう。

マオはこれ以上にミイナを行動を見られると正体が勘付かれるかもしれないと判断し、今度は魔法の追撃が来たら自分が対応しなければならない事を悟る。しかし、下手に自分の魔法を見られたら正体が気づかれる恐れがあるため、よく考えて魔法を扱わなければならない。


(今度、魔法が来たら僕が何とかしないと……でも、どうしたらいいんだ!?)


考えている間にも生徒会の一人が杖を構え、今度は火属性の魔法攻撃ではなく、別の属性で攻撃を仕掛けてきた。


「これならどうだ!!ウィンド!!」
「また来る!!」
「だ、大丈夫!!」


風属性の下級魔法が放たれると、それを確認したマオは小杖を取り出す。三又の杖だと目立ちすぎるので正体が気づかれる可能性があるため、敢えて小杖で対応するしかなかった。

生徒会の魔術師が放ったウィンドは風属性の下級魔法であり、バルトが多用する「スラッシュ」の下位互換である。風属性の魔力を渦巻状に変化させて攻撃を行い、どちらかというと「スライサー」に近い攻撃魔法である。


(先輩の魔法と比べたらこの程度の魔法なら問題ない!!)


迫りくる風の渦巻に対してマオは小杖を構えると、相手に悟られないように氷弾を作り出す。小杖の先端に作り出した氷弾を高速回転させ、風の渦巻に対して放つ。


(吹き飛べ!!)


高速回転した氷弾は風の渦巻に突っ込むと、風属性の魔力を四散させて吹き飛ばす。この時に偶然にも掻き消された風属性の魔力が地面の土砂を巻き上げて土煙を発生させる。


「うわっ!?」
「な、何だ!?何をしたんだ!?」
「落ち着きなさい!!私が吹き飛ばします!!」
「マオ、今のうちに……」
「分かってる!!」


土煙によってマオ達は生徒会の視界から一時的に逃れ、この間に急ぎ足で逃走を計る。しかし、リンダは風属性の魔力を右腕に纏うと、彼女は空手の正拳突きの耐性で拳を放つ。


「嵐突き!!」
「うわぁっ!?」
「にゃっ!?」


拳の一突きでリンダは土煙を振り払うだけではなく、彼女が拳を貫いた方向に軽い衝撃波が発生してマオとミイナは倒れ込む。かなりの距離が離れていたにも関わらず、マオとミイナはすぐに立ち上がれない程の威力だった。

魔拳士でありながらリンダの風属性の魔拳は恐るべき威力を誇り、マオとミイナは立ち上がれずに地面に倒れ込む。すぐに逃げなければならないのは分かっているが、身体が言う事を聞かない。


(まずい、このままだと捕まる!?)


身体の痛みを覚えながらもマオは無理やりに立ち上がろうとするが、その間にも生徒会の生徒達は接近していた。


「ここまでです。大人しく捕まりなさい」
「さ、流石は副会長!!」
「さあ、これで終わりよ!!」
「くっ……」
「ううっ……」


生徒会の生徒達がマオ達に追いついて杖を構えようとした時、不意にリンダは何かに気付いたように学生寮の屋根に視線を向ける。屋根には人影が存在し、それを確認したリンダは生徒達に注意した。


「気をつけて!!まだ仲間が……」
「スラッシュ!!」


リンダが生徒達に注意した瞬間、屋根に立っている人物は杖を構えて魔法を放つ。先ほどの生徒会の人間が放った風属性の魔法とは比べ物にならない大きさの風の斬撃が繰り出され、マオ達と生徒会の間の地面に衝突した。


『うわぁあああっ!?』
「わあっ!?」
「にゃうっ!?」
「くっ……これほどの威力、まさか!?」


屋根の上の人物の魔法によって生徒会の生徒達はリンダを除いて吹き飛ばされ、一方でマオとミイナは逃げる好機を掴む。リンダは二人を追いかけようとしたが、そんな彼女に対して屋根の上の人物が声をかける。
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