文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ

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廃墟編

シルフィアの本気

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「シルフィアの力ならゴブリンを一掃できるだろうけど、どうやって倒すの?」
「マスターの許可さえ頂ければ今この場でもゴブリンを一掃する事は出来ますが……」
「え、出来るの?ここから?」
「ちょ、何をする気ですか?まさか、またワイバーンを吹き飛ばした時のような魔法を使うつもりですか!?」
「いえ、遠距離狙撃用兵器を使います」


シルフィアの言葉にレアとイリスは驚くが、彼女は二人の前で両手を広げ、空中に映し出している映像の画面を切り替える。


「こちらの映像をご覧ください。これは現在リアルタイムで放映されている映像です」
「え?これが?」
「偵察の際に密偵用のドローンを配置してきました」
「どろん……何ですかそれ?」


切り替わった映像は上空からセカンの街を映しており、他にも複数の画面が空中に出現し、3人を取り囲む。どうやらシルフィアが仕掛けたというドローンからの映像らしく、街の各所を映し出していた。


「これが現在の街の様子です。小型ドローンで探索を行っていますが、やはり生存者はいないようです」
「うわ、凄いなこれ……というかドローンって……何処から出したの?」
「私が装備している十字架は万能金属です。この金属に魔素を送りみ、ナノマシンを使用すればあらゆる兵器を作り出すことが出来ます。科学者の間では「賢者の石」とも呼ばれている物質です」
「あ、そういう設定だったっけ……それにしてもドローンまで作り出せるとは驚いたな」
「御二人が何を言っているのか全然わからないんですけど……」


シルフィアが胸に取り付けている十字架は只の装飾品ではなく、彼女の兵器を作り出すための万能金属である。この金属に魔素とナノマシンを送り込めばあらゆる兵器を作り出すことが可能であり、用事が済めば元の金属に変換させて吸収する事が出来る。神人ならば誰もが装備している道具であり、シルフィアの武装はこちらの十字架から作りだされている。


「私が街に送り込んだドローンを利用して魔物の居場所を把握し、ここから狙撃する事も出来ます。攻撃を開始しますか?」
「ここからって……どうやって攻撃するの?」
「狙撃で仕留めます」
「狙撃って……ここからだと街も見えないんだけど」


正確な街の位置は分からないが、少なくとも数十キロ以上は離れているのは間違いなく、それでもシルフィアによればこの距離からでも街中に存在するゴブリンを攻撃できるらしい。


「じゃあ……お願いしようかな。別にいいよね?」
「いや、私に聞かれましても……まあ、ゴブリンがいなくなれば安全は確保できますけど」
「分かりました。では、これより殲滅モードに移行します」


主人であるレアの言葉を聞いたシルフィアは目つきを変え、両手を空中に構えると左右の腕から「銃」の形をした紋様を光り輝かせる。ちなみにこの紋様も「万能金属」であり、普段は液体金属のように彼女は自分の身体に纏わりつかせていた。


「敵対生物……確認終了。これより、殲滅します……ライトカノン」
「おおっ!?」


シルフィアの十字架から二丁の拳銃が誕生し、彼女の両手に収まる。レアが使用する拳銃と違い、近代的なデザインの銃であり、そのまま彼女は空中に向けて銃を次々と発砲した。


「フォトン・レイン」
「うわわっ!?」
「ちょ、危なっ!?」


次々と拳銃の銃口から小型の光線が発砲され、そのまま一定の高度にまで到達すると軌道を変更させて移動する。拳銃と言っても引き金を引くだけで連射する事が出来るらしく、10秒間程撃ち続けたシルフィアは発砲を中止し、拳銃を下ろした。


「攻撃終了……これより、通常モードに戻ります」


シルフィアが拳銃を胸元の十字架に近づけた瞬間、二丁の銃が一瞬にして溶解し、そのまま液体のように十字架に飲み込まれる。用事を終えると万能金属で作り出した兵器は十字架に自動的に回収されるらしく、攻撃を完了したシルフィアは満足そうに二人に顔を向ける。


「攻撃を終了しました。映像をご覧ください」
「攻撃を終了したって……」
「あ、ちょっと!!これを見てください!?」


レアはシルフィアの言葉に戸惑うと、隣でイリスが驚いた声を上げ、彼女の言葉にレアは空中に映し出されている無数の映像に視線を向けると、そこには空から落ちてくる光線にゴブリンの群れが撃ち抜かれる光景が広がっていた。


『グギャッ!?』
『ギィアッ!?』
『グエエッ!?』
「うわぁっ……」
「じ、地獄絵図ですね……」


空から降り注ぐ無数の「光の弾丸」に大量のゴブリンが餌食となる姿が映し出され、急所を撃ち抜かれてゴブリンの死骸が次々と地面に倒れこむ。


『ギギィッ……ギャアッ!?』
『グギィイイッ!?』


中には逃走を試みたり、あるいは防具で光線を防ごうとする個体も存在したが、自動追尾の機能まで存在するのか光線は的確にゴブリンの位置を把握し、どのような盾や鎧を構えようと貫通して急所を撃ち抜く。
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