文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ

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廃墟編

殲滅完了

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『グギィイイイッ!?』
「うわっ……」
「凄い事になってますね……ちょっと怖いです」
「ご安心ください。街中に生存者が存在しない事は確認済みです。人間を巻き込む事はありませんよ」
「いや、そういう心配をしているわけじゃないんだけど……」


映像には次々と光線で撃ち抜かれるゴブリンの光景が映し出され、どんなに逃げようと防ごうとしても光線は確実にゴブリンの急所を貫通して絶命させる。やがて十数秒後には全ての画面のゴブリンが地面に倒れ込み、動かなくなる。


『ウギィイイイッ……!?』 
「あ、見てください!!このゴブリンキングだけ生き残りましたよ!!」
「本当だ……身体が大きいから一番当たりやすそうなのに」


だが、広間に存在したゴブリンキングだけは身体の各所から血を流しながらも生き延び、全身を負傷しながらも絶命だけは免れた。それを確認したイリスがレアに声を掛けると、直後に二人の背後から発砲音が響いた。


「フォトン・バスター!!」
『えっ?』


後方からシルフィアの声が響き渡り、直後に上空に向けて先程よりも規模が大幅に増した光線が放たれる。レアとリーリスが振り返ると何時の間にかシルフィアは「対戦車ライフル」を想像させる兵器を装備しており、銃口から放たれた光線は数秒後には映像内で動くゴブリンの元に到達した。


『グギィッ――!?』


悲鳴を上げる暇もなく巨大な光線がゴブリンキングの肉体を飲み込み、そのまま地面に巨大なクレーターを生み出す。その威力は先ほどのワイバーンを消滅させた「フォトンクロス」にも匹敵し、巨大なクレーターだけが広間に残る。その光景を目撃したレアとイリスは恐る恐るシルフィアに振り返ると、彼女は何事も無かったかのように兵器を液状に変化させて胸元の十字架に戻し、笑顔で二人に振り返る。


「殲滅を完了しました。これで安全は確保されましたよ」
「あっ……そ、そうですね」
「ま、まあ……これで安心して中に入れますね」


シルフィアの発言にレアとイリスは冷や汗を流しながらも彼女の言葉に賛同し、一応は街中のゴブリンの軍勢を一掃する事は成功したのは間違いなく、これで安心して街の中に入る事が出来る。


「じゃあ、とりあえず街に向かおうか……あ、シルフィアの能力で移動できるんだっけ?」
「はい。私の転移装置を使用すればお二人を安全に送り届ける事が出来ます。ですが……」
「ですが?」
「街をドローンで探索したところ、気になる物を発見しました。その場所に転移してもよろしいでしょうか?」
「気になる物?どんなの?」
「それは……口では説明し難い代物です」


レアの質問にシルフィアは眉を顰め、彼女の反応を不思議に思ったレアはイリスに顔を向けると、彼女もシルフィアの言葉に疑問を抱いたらしく、移動の判断をレアに任せた。


「私は別に構いませんよ。その気になる物がある場所へ移動しても……」
「じゃあ、悪いけどシルフィア、移動を頼める?」
「分かりました。それでは転移を開始しますので御二人の腕を貸してください」
「腕?」


シルフィアは二人の腕を掴み、そして両手の甲に存在する紋様を光り輝かせる。すると二人の腕に彼女と同じ「十字架」を想像させる光の紋様が浮き上がり、それを確認したシルフィアは腕を離す。


「これで準備は完了しました。御二人の腕に私のナノマシンの一部を定着させましたので、これで転移装置を発動すれば全員が同時に移動出来ます」
「うわ、何ですかこれ!?どういう原理なんですか?」
「これがナノマシンなのか……触っても大丈夫なんだよね?」
「はい。決して害はありません」


イリスは自分に腕に浮かんだ紋様に戸惑うが、レアは腕の紋様を珍しそうに見つめ、試しに紋様を指でなぞるが、特に反応はない。光り輝いているという点を除けばただのタトゥーにしか見えずない。しかし、シルフィアはこの紋様に見えない「ナノマシン」と「万能金属」を利用して様々な兵器を作りだせる。


「このナノマシンはシルフィアにしか扱えないんだよね」
「はい。私の管理するナノマシンは人間の方々には扱えません。ですが、私が管理者権限を行使すればマスターにも使用する事も可能です」
「あ、そうか……そういえば主人公もシルフィアのナノマシンで武器を作っていたっけ」


レアは「龍殺しの英雄」の物語では主人公はシルフィアを従え、彼女のナノマシンを利用して武器を作り出し、戦っていた事を思い出す。それならば自分も龍殺しの物語の主人公のように戦えるのかと考え、試しに彼女に頼んでナノマシンの使い方を尋ねる。


「俺もちょっと武器とか作ってみたいな……剣とかも作れる?」
「可能です。地球上の兵器、あるいは金属ならばどのような物でも生み出せます」
「今すぐに試せる?」
「ナノマシンの認識には使用者のDNAを必要とします。申し訳ありませんが、主人のDNAを採取してもよろしいでしょうか?」
「でぃーえぬえー?」


シルフィアの言葉の中にイリスは聞きなれぬ単語が出てきたことに首を傾げ、レアもナノマシンに利用するにはDNAが必要という話は初耳だった。
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