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第1話 初めての快感 ✳︎

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イオは戸惑った。研究室に入ると、デスクに座っている雄飛ゆうひと目が合ったのだが、いつもと様子が違うからだ。

いつもなら「おはよう、イオ」と言って優しく微笑んでくれるのだが、今日は真剣な顔をして彼女のことをじっと見つめている。重めの黒い前髪の隙間からのぞく切長の瞳は微かに熱を帯びているようにも見え、イオは動揺した。

雄飛は立ち上がるとイオの前に立ち、彼女を抱き締めた。驚いてイオは思わず声を上げた。

「ゆ、雄飛……?」

すると、彼はにこりと微笑み、イオの耳元に唇を近づけて囁いた。

「……イオ、可愛いよ」

「……っ?!」

その声色はとても静かで低く、色気があった。ぴくん、と微かに体が反応する。尚も驚いて言葉を失っていると、雄飛はそのままイオの首筋に顔を埋めた。熱い吐息と首筋を伝う雄飛の唇の感触にイオの肌が粟立あわだつ。

「……んんっ……っ」

雄飛は、首筋にかかるイオの金色の髪を優しく耳に掛けた。そして、その手をそのまま首筋から肩に滑らせ、カーディガンを脱がせた。抵抗する暇もなくそれは静かにイオの両腕から滑り落ちた。カーディガンの下は深いVネックの栗色ワンピース。露になるふくよかな胸元。イオは咄嗟に両手で胸元を覆ったが、雄飛の大きな手にやんわりと退けられてしまった。

「どうして隠すの?」

悪びれる様子もなく、純粋な瞳でそう問いかけてくる雄飛の姿にイオは激しく戸惑った。雄飛はイオを作った張本人だ。担当として、また仕事のパートナーとして、今までは優しく誠実に接してくれて、勉強はもちろん人間らしい振る舞いも丁寧に教えてくれた。それなのに突然、体に触れられ、イオはどうしていいのか分からなかった。

(確か、前に雄飛に教わった……女の子は自分の体を簡単に人に見せちゃいけないって。触らせてはいけないって……)

そう思いながら、必死に声を上げた。

「だ、だって……って、いうか、なんでいきなりこんなことするの?」

「なんでって?それはね、イオ。君が作られた目的のためだよ」

「アタシが作られた……目的?」

「そう。君は子供を産むために作られたんだ。俺が君を触るのはそれを確かめるためだ」

雄飛は微笑みながら、優しく言った。

「……アタシの子供を産むための機能が、きちんと作動しているか、確かめてるってこと?」

「その通りだ。まぁ、それだけじゃないけどね」

雄飛はそう言うと楽しそうに笑って言った。

「君が可愛いからさ」

「なっ……ええっ?」

イオは思わず顔を赤らめた。追い討ちを掛けるように雄飛は更に言葉を続けた。

「イオ。男はね、好きじゃなくても抱けるんだ。でも、俺は違う。好きな人しか抱かないし、触らない」

「ゆ、雄飛、それは……」

イオの言葉を待たずに雄飛は彼女の腰に手を回すと、首筋に顔を埋めた。熱い唇や舌先がゆっくりと下部へと移っていく。彼は胸元に唇を這わすと、腰に回していた腕を解いて胸の膨らみに触れた。

「……んっ、いやっ」

ゆっくりと揉まれる度に、甘い刺激が体中に広がっていく。イオは自身の体の奥が徐々に熱を帯びて来るのを感じた。雄飛はイオのワンピースの両肩をずらし、胸元に手を入れて下着をずらすと膨らみに直接触れた。

彼の温かくて大きな手がゆっくりと優しく、彼女の胸の膨らみを愛撫する。決して乱暴ではない、その紳士な手は、イオを高揚こうようさせるのに十分だった。

「あぁっ……んあっ……っ」

「……そんなに声出して……気持ち良いの?」

彼は耳元でそっと囁いた。聞いたこともないような嬌声きょうせいが自分の中から発せられたことに驚きと恥じらいを感じ、イオはハッとして咄嗟に両手で口元を覆った。雄飛は彼女の反応を見ると、一旦手を止めた。ほっとしたのも束の間、次の瞬間、膨らみの先にある突起に触れられ、イオの体が跳ねた。

「やっ……んっ」

指と指で挟まれ、たっぷりと弄られる。先程とは比べ物にならないくらいの強くて甘い刺激が体中に流れる。それはまるで電流のようだった。イオは口元を両手で覆ったまま、その甘い刺激に必死に耐えていた。しかし、雄飛は手つかずだったもう片方の膨らみに触れると、その途端、先端の突起を口に含んだ。

「っ……!」

驚きのあまり声が漏れそうになるイオ。雄飛はちゅっちゅっと小さく音を立てながら、時折舌先や歯で彼女の愛らしい桃色の突起を愛撫する。あまりの刺激にイオは体の奥で静かにくすぶっていた熱が一気に体中に広がるのを感じた。先程まで僅かに残っていた「恥じらい」はその瞬間に弾けてしまった。

「んんっ……やあっ……あぁんっ……~~っ!!」

イオは声を押し殺しながら雄飛が与える快感に火照る体を思い切り委ねた。腰を揺らし、背を仰け反らせて果てた。一気に力が抜けたところで、雄飛はイオの腰に再び大きな腕を回して支えた。

「……気持ち良かった?」

低く、優しく耳元で囁かれる。イオは顔を上げ、こくん、と頷いた。雄飛はとても嬉しそうに優しく微笑んだ。その笑顔に胸が高鳴って、イオは彼の逞しい胸に顔を埋めた。雄飛の体もまたとても熱くなっていた。

(雄飛の低くて優しい声と笑顔が……アタシは好き。もっと……欲しい)

イオの理性は雄飛の手によって完全に奪われた。雄飛は再びイオの体を抱きしめると、その大きな手をそっと下部に滑らせた。腰から足の付け根にかけて、ゆっくりと優しく撫でられる。時折、指先がワンピースの内側に入り、つつ、と肌に微かな刺激を与えた。

「あっ……んっ」

もっと触れて欲しい。理性が飛んでしまったイオは今や女の本能で雄飛の手に自身の体を委ねていた。イオはその時、下部の秘密の場所に異変が起きていることに気づいた。

(な、何……これ?熱くて湿ってる……?凄く敏感になってる。うずいてて……ああっだめ……雄飛、早く……早く。触って欲しい……)

両足を擦り合わせて快感に耐える。しかし、雄飛はなかなかそこには触れない。

「……あ、あの……雄飛?」

「どうしたの?」

顔を上げると、先程とは少し違った笑顔を浮かべる雄飛と目が合った。優しさの中に悪戯っぽさが見え隠れしている。イオは悟った。

(雄飛、わざと焦らしているんだ……アタシの体が、今どうなっているのか手に取るように、分かっているはずなのに)

「……」

何も言わずにじっと雄飛の目を見つめる。心の中で懇願する。早く……早く、と。

「何だい?言ってくれないと分からないな」

雄飛は尚も意地悪な笑みを浮かべて、イオの腰を撫で続けている。

(雄飛はアタシに言わせる気なんだ……)

イオは意を決してそっと呟いた。

「……触って?」

「どこを?」

「……ここ」

イオは腰に回されている雄飛の手を解くと、その手をワンピースの上から自身の下腹部にそっと導いた。再び「恥じらい」が一気に戻ってきてイオは思わず顔が熱くなった。

(まさか自分からお願いするなんて……)

俯いたイオの顔を、雄飛は両手でそっと包み込むと、くい、と上にあげた。

「よくできました」

そう言って、にこりと笑った。そして、イオの唇に自身の唇を重ねた。

「んっ……」

イオが力を抜いて身を委ねていると、唇の隙間から舌を入れられ、絡め取られた。それは酷く熱く、濃厚で、イオの体は再び熱を帯び始めた。それは徐々に激しさを増していき、お互いの唇の隙間から吐息が漏れる。

「はぁっ……」

「んっ……っ」

雄飛はイオの頬を包み込んでいた両手を離し、再び下部に滑らせた。そして、イオの唇に自身の唇を重ねたまま、ワンピースの内側に手を入れると下着の上から敏感な場所に触れた。

「んんっ……」

「……イオ、ここ、熱くなってる……凄いよ……」

唇が離れた瞬間、耳元で優しく囁かれた。雄飛の声は酷く熱を帯びており、彼もまた自分と同じように気分が高揚しているのだということをイオは感じた。すると、雄飛はイオの下着の中に手を入れ、彼女の熱く湿った場所をそっと指でなぞった。待ち焦がれていた刺激にぴくん、と体が跳ねる。突起や秘部を優しく愛撫され、肌が粟立った。

「やあっ……あん……」

声を出さないようにしていたのに、そのあまりの甘く激しい刺激に漏れてしまう。体中が疼いて止まらなくなり、奥底から何かが込み上げてくるのが分かった。心と体が一気に高まっていく。

「イオ、凄いよ……どんどん溢れてる。気持ち良いんだね」

雄飛は耳元でそう囁くと、唇をイオの耳に這わした。挟んだり、舌先で触れながら、下部の指の動きをゆっくりと早めた。耳に雄飛の甘い吐息がかかって、それが余計にイオの体を熱くさせた。

「はぁっ……ゆ、ゆうひ、アタシだめ、もう……っ」

「何かが込み上げてくるだろ?それはね、イクって言うんだ。いいよ……俺が君を気持ち良くしてあげる」

その途端、雄飛は指の動きを一気に早めた。まるで電流が走ったみたいに甘い疼きが体中に広がる。力を抜いたら膝から一気に崩れ落ちてしまいそうで、イオは必死に雄飛の体にしがみついた。膝が震えて立っているのがやっとだった。

「あぁっ、やあんっ……んん~~!!」

雄飛の胸元に顔を埋めて、声を押し殺しながらイオは果てた。雄飛の体にしがみついたまま、必死に息を吸って大きく吐いた。すると、雄飛は大きな腕でイオを抱き締めながら、優しい声で言った。

「どうだった?」

「……気持ち良かった……」

「そっか。それは良かった」

そう言った雄飛の笑顔はとても優しく、またどこか安心したようにも見えた。すると、雄飛は更に尋ねた。

「もっと気持ち良くなりたい?」

「えっ……そ、それは……」

イオは返答に困り、言葉に詰まってしまった。

(もし、アタシが正直にうんって言ったら、一体どうなってしまうの……?)

その先を期待してしまう気持ちと、これ以上、体に触れられるなんてという、全く正反対の感情にイオは苛まれた。すると、その心をまるで見透かしたように雄飛が優しく言った。

「いいんだよ、イオ。遠慮しなくても。君の正直な気持ちが知りたい」

「えっ、えーっと……アタシ、もっと、したい」

何とか声を絞り出すと、雄飛はふふっと笑って言った。

「嬉しいな。そう言ってもらえるなんて。そうしてあげたいのはやまやまなんだけどね。今はまだ……」

雄飛はそう言って、床に落ちたカーディガンを拾い上げるとイオの肩にそっと掛けた。そして彼はイオの顔を見て、名残惜しそうに微笑んだのだった。
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