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【1】幼なじみの男の子
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「芽衣、お風呂入って早めに寝るのよ。お母さん行ってくるからね」
「うん。行ってらっしゃい。仕事頑張ってね」
私、鈴木芽衣は、カレーを食べたお皿を洗いながら半分振り向いて、慌ただしく出かけていく母に声を掛けた。
お風呂のお湯がたまるまでソファに寝そべりスマホを弄る。
時刻は午後七時半。お風呂に入ってもまだまだ寝るまでには時間がある。
中学までは勉強するのも好きだったけど、今はあんなにやる気にはなれない。
そんなことより、もっと楽しいことを見つけてしまったのだ。
お風呂から上がるとLINEが来ていた。『今夜行くから』と短い文章に、すぐに『待ってる』と返した。
返事を焦らすという恋愛の定番テクニックもこの人の前だと使えない。
戸締りを確認した後、私の部屋の掃き出し窓の鍵を外してベッドに入る。
ここはマンション。ベランダは隣の家と繋がっている。
昔ぶつかって壊れたままの仕切り板を外せば、隣の家のベランダと繋がっている。
そこから内緒で行き来するようになったことは他に誰も知らない。私たちだけの秘密。
微睡みながら寝返りを打つとベランダのドアが開いた。
やっと来た。隣に住む同い年の佐藤直くん。
最近ぐっと大人っぽくなってしまった、幼馴染。
「もう寝てんの?」
「ううん。これから寝ようとしてたところ……」
直くんも湯上りでまだ髪の毛が少し濡れていた。首に掛けたタオルでごしごしと髪を拭いているのを布団に包まりながら見つめる。と、直くんがくしゃみをした。
「……さみい」
「ここ入って」
布団を開けて直くんを迎える。ベッドを軋ませて直くんが入ってきた。少し冷えた頬を擦り合わせてぎゅうっと抱きしめられて、その温かさにほっとする。
直くんの髪が冷たくてくすぐったい。背中に手を回してきゅっと強く抱き着く。
この匂いが大好き。
「うん。行ってらっしゃい。仕事頑張ってね」
私、鈴木芽衣は、カレーを食べたお皿を洗いながら半分振り向いて、慌ただしく出かけていく母に声を掛けた。
お風呂のお湯がたまるまでソファに寝そべりスマホを弄る。
時刻は午後七時半。お風呂に入ってもまだまだ寝るまでには時間がある。
中学までは勉強するのも好きだったけど、今はあんなにやる気にはなれない。
そんなことより、もっと楽しいことを見つけてしまったのだ。
お風呂から上がるとLINEが来ていた。『今夜行くから』と短い文章に、すぐに『待ってる』と返した。
返事を焦らすという恋愛の定番テクニックもこの人の前だと使えない。
戸締りを確認した後、私の部屋の掃き出し窓の鍵を外してベッドに入る。
ここはマンション。ベランダは隣の家と繋がっている。
昔ぶつかって壊れたままの仕切り板を外せば、隣の家のベランダと繋がっている。
そこから内緒で行き来するようになったことは他に誰も知らない。私たちだけの秘密。
微睡みながら寝返りを打つとベランダのドアが開いた。
やっと来た。隣に住む同い年の佐藤直くん。
最近ぐっと大人っぽくなってしまった、幼馴染。
「もう寝てんの?」
「ううん。これから寝ようとしてたところ……」
直くんも湯上りでまだ髪の毛が少し濡れていた。首に掛けたタオルでごしごしと髪を拭いているのを布団に包まりながら見つめる。と、直くんがくしゃみをした。
「……さみい」
「ここ入って」
布団を開けて直くんを迎える。ベッドを軋ませて直くんが入ってきた。少し冷えた頬を擦り合わせてぎゅうっと抱きしめられて、その温かさにほっとする。
直くんの髪が冷たくてくすぐったい。背中に手を回してきゅっと強く抱き着く。
この匂いが大好き。
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