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何だかとんでもないものに捕まりました
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(何で…こうなった…?)
目の前には天敵小林、後ろは壁。今、自分に起きている事柄に理解が及ばず、美緒は呆然とそう思った。
あれからシャワーを浴びた美緒は、今度こそ帰るぞと固い決意を胸にリビングに戻った。とにかくこの場から離れるのが最優先、これ以上小林のペースに乗せられると帰れなくなりそうな気がしたからだ。既に自分の服にも着替えて、帰る準備はばっちりだ。
それに、小林には好きな子がいるという。朱里が大石と付き合い始めた今、小林が早く相手を決めないと大好きな朱里がいつまで経っても好きな人と自由にデートも出来ないし、一々カモフラージュ要員として引っ張り回されるのも勘弁したい。
第一、こんな事が社内の肉食女子達にばれたら…美緒に逃げ場はない。小林ファンならまだしも、下手を打てば大石ファンからもトイレに呼び出され、どんな目に遭わされるかわかったもんじゃない。今だって、ただ小林班の補佐をしているというだけで、嫌味や舌打ちが日常茶飯事なのだから、その先は想像するだけでも恐ろしかった。
「じゃ、私帰るわ」
リビングに戻った美緒は、小林の顔を見るなりそう宣言した。小林のペースに乗らないためには、先手必勝だと思ったからだ。
「は?え…?」
いきなりの宣言に、両手にマグカップを持った小林が呆気にとられた声を出した。どうやら美緒の宣言は想定外ったらしい。先手を取れた、と確信した美緒は、やっと帰れるとホッとした。
「いや、さすがにこれ以上迷惑かけられないし?それに、私がここにいたんじゃ、あんたの好きな子にも悪いじゃない。変な誤解されてこれ以上印象悪くするわけにもいかないでしょ」
「いや、それは…」
「その…色々迷惑かけた事は…時間かかっても仕事で埋め合わせするし、費用も一括じゃ無理だけど分割で払うから。あと、この事は誰にも言わないからあんたも言わないでね」
とりあえず言いたい事を言い切った美緒は、バックを手にするとそのまま玄関に向かった。とにかく、ここにいる事を誰かに知られるなど面倒でしかない。美緒が会社で平和に過ごすためには、小林の恋が上手くいくのは重要案件なのだ。特別な資格も持たない事務職では転職が容易ではないだけに、これはある意味死活問題だった。
「おい、待てよ!」
さっさと帰ろうとする美緒に小林が慌てて声をかけたが、美緒は振り返らなかった。とにかく逃げるか勝ちだ。だが、玄関のドアまであと数歩というところで小林に腕を取られ、そのまま壁に押しつけられて冒頭に至る。
(は?なに…?)
急な事に頭がついてこず、美緒は目を丸くして目の前の景色を眺めていた。目の前には小林の胸元があって、自分は壁を背にしていた。小林の背は百八十センチ半ばと聞いたから、身長差は三十センチ以上あるのだろうが、こうして近づくとその差は顕著で、これだと顔を見るなら首が痛くなる角度だろう…ちなみに両腕も掴まれていて、これは世に言う壁ドンというやつではないだろうか…だが、何故こんな状況になっているのか、美緒は全く理解出来なかった。そして、掴まれた腕が痛い…
「あの…腕、痛いんだけど?」
掴まれた腕が思いのほか痛くて、離して欲しいと言外に匂わせると、小林の息を飲む音がして直ぐに力は緩んだが、それでも離してもらえなかった。何がどうなっているのかと思うのだが、何だか顔を見るのも怖い気がする。何だろう…迷惑をかけたお詫びもせずに帰ろうとしたから怒らせてしまったのだろうか…だが小林に好きな相手がいるなら、自分がここにいる事が最大の迷惑事案だろうに…美緒は小林の行動原理がさっぱりわからなかった。
「何で帰るんだ?」
頭上から下りてきた声は、怒っているようにも呆れているようにも聞こえる、感情を押し殺したような声だった。やはり気分を害してしまったらしい…とは思ったが、迷惑をかけたのだ、帰って欲しいと思われてもその逆はないだろうに…
「え…?でも、ここにいたらあんたの好きな子が…」
小林の恋路の邪魔になるから帰るのだと美緒が告げると、目の前の男は美緒の両腕を壁に押しつけたまま、がっくりと盛大なため息をつきながら項垂れた。何、そのリアクション…あからさま過ぎるとはいえ、その理由が思い至らず美緒は困惑するしかなかった。
「あの…?」
「お前、本当に昨夜の事、覚えてなかったのかよ…」
戸惑う美緒に対し、酷く傷つきましたと言わんばかりの小林の言い様に、美緒はうっと声を詰まらせた。昨夜の事を全く覚えていなかったからだ。日本酒をしこたま飲んで記憶がなくなる程に酔ってしまったらしい。らしいというのは、美緒は記憶になく、小林から話を聞いただけだったからだ。申し訳ないと思う一方で、そんな態度を取らせるような何かがあったのかと非常に気になった。記憶がないというのは、思った以上に居心地が悪く、不安を煽るものらしい…
「えっと、なんか、ごめん…?」
とにかく覚えていないのは事実だし、そのせいで小林を大いに落胆させたのだと感じた美緒は、謝るしか出来なかった。ハイエナさん達が面倒だからあまり関わりたくないとは思っているが、別に小林の事は嫌いではないし、顔だけなら非常に好みだ。それに昨日一緒に過ごした事で、これまでのイメージが単なる思い込みだと分かった部分もあり、以前ほど苦手だと思わなくなっているのもある。だが、美緒の謝罪は小林の不満を解消するものにはならなかったらしく、また大きくため息をつかれた
「…って言った」
「え…何?」
耳に届いた小林の声は、殆ど聞き取れないほどのもので、美緒は語尾しか聞き取れなかった。
「お前が好きだって言ったんだよ!聞こえたか?」
突然大きな声でそう言われた美緒は、声の大きさとその内容に二重の驚きに見舞われ、頭の中が真っ白になった。え~っと…どういう事だと思って小林を見上げて…今度は呼吸が止まった。美緒の目に映ったのは、顔をわずかに赤らめながらも険しい表情で自分を見下ろす自分の好みのイケメンだったからだ。心臓が止まりそうなその表情は反則だろう…いや、この状況では凶器かもしれない…
「聞こえたか?」
鼻先がくっ付きそうな距離で迫力そのままに念を押す様に聞かれた美緒は、こくこくと頷くしか出来なかった。
「あと、付き合って欲しいって言ったら、いいと言った」
「はぁ?!」
さすがにこの言葉には美緒も反射的に声が出た。好きと言われた記憶もないが、自分がオーケーを出した事も全く記憶になかったからだ。少なくとも普段の自分ならオーケーしない。それは社内でハイエナさん達に吊るし上げられ、私刑まっしぐらと同意語だからだ。自分がそんな事を言ったとは俄かには信じられない美緒だった。
「ちょっと待って…付き合うなんて…そんな事…」
「何だよ、俺が付き合ってくれって言ったら、いいよって言っただろうが…」
「いや、でも酔ってる時にそんな事言われても…」
「酔ってないって言い張ってたのはお前だぞ…」
それこそまさに酔っ払いの戯言ってやつですよ、おにーさん!と叫びたかった美緒だが、さすがに相手が真剣な表情だったためそうとは言えなかった。多分…いや、確実に酔っていたんだろうし、ここは酔っていたからカウントなしとするべきところだと思う。思うのだが、それが今の小林に通じるとも思えなかった。小林からの圧がそれを物語っている…
「いや…あの…でも…」
「何だよ…じゃあ、からかったのかよ…」
それでも言い逃れしようとした美緒の耳に届いたのは、低く感情を押し殺した声だった。何だか穏やかではない何かが含まれているような気がして、美緒は身を固くした。
「め、め、滅相もない!」
さすがにからかったなどと言われると良心が痛むし、そんなつもりなど全くなかった。そもそも天敵とも言える小林に好意を持たれていたとか想定外過ぎて現実味がない。こうなるとドッキリだと言われた方が納得できるくらいだ。昨日も嫌いだとの前提で話をしていただけに、好かれる理由が全くわからない。
「そっか。ならよかった。そういう訳で、これからもよろしくな」
困惑し、疑問しか浮かばない美緒をよそに、小林はその綺麗な顔に嬉しそうな幸せそうな満面の笑みを浮かべると、そっと美緒の唇に自分のそれを重ねた。それは時間にすると一秒にも満たない程ささやかなものだったが、美緒の戦意を失わせるには十分すぎるものだった。美緒は驚きすぎてへなへなとその場にへたり込んでしまい、それを見た小林が一瞬驚きを現したが、また嬉しそうに笑った。これはダメだ、反則過ぎる…そう思う美緒だったが、腰が抜けた様にその場から動けなかった。何だかとんでもないものに捕まったような気がしたが、その正体が何なのか、今の美緒には皆目見当がつかなかった。
目の前には天敵小林、後ろは壁。今、自分に起きている事柄に理解が及ばず、美緒は呆然とそう思った。
あれからシャワーを浴びた美緒は、今度こそ帰るぞと固い決意を胸にリビングに戻った。とにかくこの場から離れるのが最優先、これ以上小林のペースに乗せられると帰れなくなりそうな気がしたからだ。既に自分の服にも着替えて、帰る準備はばっちりだ。
それに、小林には好きな子がいるという。朱里が大石と付き合い始めた今、小林が早く相手を決めないと大好きな朱里がいつまで経っても好きな人と自由にデートも出来ないし、一々カモフラージュ要員として引っ張り回されるのも勘弁したい。
第一、こんな事が社内の肉食女子達にばれたら…美緒に逃げ場はない。小林ファンならまだしも、下手を打てば大石ファンからもトイレに呼び出され、どんな目に遭わされるかわかったもんじゃない。今だって、ただ小林班の補佐をしているというだけで、嫌味や舌打ちが日常茶飯事なのだから、その先は想像するだけでも恐ろしかった。
「じゃ、私帰るわ」
リビングに戻った美緒は、小林の顔を見るなりそう宣言した。小林のペースに乗らないためには、先手必勝だと思ったからだ。
「は?え…?」
いきなりの宣言に、両手にマグカップを持った小林が呆気にとられた声を出した。どうやら美緒の宣言は想定外ったらしい。先手を取れた、と確信した美緒は、やっと帰れるとホッとした。
「いや、さすがにこれ以上迷惑かけられないし?それに、私がここにいたんじゃ、あんたの好きな子にも悪いじゃない。変な誤解されてこれ以上印象悪くするわけにもいかないでしょ」
「いや、それは…」
「その…色々迷惑かけた事は…時間かかっても仕事で埋め合わせするし、費用も一括じゃ無理だけど分割で払うから。あと、この事は誰にも言わないからあんたも言わないでね」
とりあえず言いたい事を言い切った美緒は、バックを手にするとそのまま玄関に向かった。とにかく、ここにいる事を誰かに知られるなど面倒でしかない。美緒が会社で平和に過ごすためには、小林の恋が上手くいくのは重要案件なのだ。特別な資格も持たない事務職では転職が容易ではないだけに、これはある意味死活問題だった。
「おい、待てよ!」
さっさと帰ろうとする美緒に小林が慌てて声をかけたが、美緒は振り返らなかった。とにかく逃げるか勝ちだ。だが、玄関のドアまであと数歩というところで小林に腕を取られ、そのまま壁に押しつけられて冒頭に至る。
(は?なに…?)
急な事に頭がついてこず、美緒は目を丸くして目の前の景色を眺めていた。目の前には小林の胸元があって、自分は壁を背にしていた。小林の背は百八十センチ半ばと聞いたから、身長差は三十センチ以上あるのだろうが、こうして近づくとその差は顕著で、これだと顔を見るなら首が痛くなる角度だろう…ちなみに両腕も掴まれていて、これは世に言う壁ドンというやつではないだろうか…だが、何故こんな状況になっているのか、美緒は全く理解出来なかった。そして、掴まれた腕が痛い…
「あの…腕、痛いんだけど?」
掴まれた腕が思いのほか痛くて、離して欲しいと言外に匂わせると、小林の息を飲む音がして直ぐに力は緩んだが、それでも離してもらえなかった。何がどうなっているのかと思うのだが、何だか顔を見るのも怖い気がする。何だろう…迷惑をかけたお詫びもせずに帰ろうとしたから怒らせてしまったのだろうか…だが小林に好きな相手がいるなら、自分がここにいる事が最大の迷惑事案だろうに…美緒は小林の行動原理がさっぱりわからなかった。
「何で帰るんだ?」
頭上から下りてきた声は、怒っているようにも呆れているようにも聞こえる、感情を押し殺したような声だった。やはり気分を害してしまったらしい…とは思ったが、迷惑をかけたのだ、帰って欲しいと思われてもその逆はないだろうに…
「え…?でも、ここにいたらあんたの好きな子が…」
小林の恋路の邪魔になるから帰るのだと美緒が告げると、目の前の男は美緒の両腕を壁に押しつけたまま、がっくりと盛大なため息をつきながら項垂れた。何、そのリアクション…あからさま過ぎるとはいえ、その理由が思い至らず美緒は困惑するしかなかった。
「あの…?」
「お前、本当に昨夜の事、覚えてなかったのかよ…」
戸惑う美緒に対し、酷く傷つきましたと言わんばかりの小林の言い様に、美緒はうっと声を詰まらせた。昨夜の事を全く覚えていなかったからだ。日本酒をしこたま飲んで記憶がなくなる程に酔ってしまったらしい。らしいというのは、美緒は記憶になく、小林から話を聞いただけだったからだ。申し訳ないと思う一方で、そんな態度を取らせるような何かがあったのかと非常に気になった。記憶がないというのは、思った以上に居心地が悪く、不安を煽るものらしい…
「えっと、なんか、ごめん…?」
とにかく覚えていないのは事実だし、そのせいで小林を大いに落胆させたのだと感じた美緒は、謝るしか出来なかった。ハイエナさん達が面倒だからあまり関わりたくないとは思っているが、別に小林の事は嫌いではないし、顔だけなら非常に好みだ。それに昨日一緒に過ごした事で、これまでのイメージが単なる思い込みだと分かった部分もあり、以前ほど苦手だと思わなくなっているのもある。だが、美緒の謝罪は小林の不満を解消するものにはならなかったらしく、また大きくため息をつかれた
「…って言った」
「え…何?」
耳に届いた小林の声は、殆ど聞き取れないほどのもので、美緒は語尾しか聞き取れなかった。
「お前が好きだって言ったんだよ!聞こえたか?」
突然大きな声でそう言われた美緒は、声の大きさとその内容に二重の驚きに見舞われ、頭の中が真っ白になった。え~っと…どういう事だと思って小林を見上げて…今度は呼吸が止まった。美緒の目に映ったのは、顔をわずかに赤らめながらも険しい表情で自分を見下ろす自分の好みのイケメンだったからだ。心臓が止まりそうなその表情は反則だろう…いや、この状況では凶器かもしれない…
「聞こえたか?」
鼻先がくっ付きそうな距離で迫力そのままに念を押す様に聞かれた美緒は、こくこくと頷くしか出来なかった。
「あと、付き合って欲しいって言ったら、いいと言った」
「はぁ?!」
さすがにこの言葉には美緒も反射的に声が出た。好きと言われた記憶もないが、自分がオーケーを出した事も全く記憶になかったからだ。少なくとも普段の自分ならオーケーしない。それは社内でハイエナさん達に吊るし上げられ、私刑まっしぐらと同意語だからだ。自分がそんな事を言ったとは俄かには信じられない美緒だった。
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「いや、でも酔ってる時にそんな事言われても…」
「酔ってないって言い張ってたのはお前だぞ…」
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それでも言い逃れしようとした美緒の耳に届いたのは、低く感情を押し殺した声だった。何だか穏やかではない何かが含まれているような気がして、美緒は身を固くした。
「め、め、滅相もない!」
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