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二章、未熟な聖杯と終末の予言
22、えっ、薬飲まなくていいの。そんなにポエム読みたいの
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「ロザニイル様は北西の遺跡探索の任務があると聞いておりますぞ。ご準備はよろしいのですかな」
「そんなのとっくに準備万端に決まってるだろ。オレ様は優秀なんだよ」
ネイフェンとロザニイルがバチバチと火花を散らしている室内で、僕は食事を頂いた。
新鮮な二種類の葉野菜を重ねて、薄くスライスされた肉をあわせてシャカシャカと白い粉状スパイスを振る。
塩とチーズ粉末を混ぜたスパイスの味付けと素材の旨味が合わさって、口の中が幸せだ。
噛んだ時の歯ごたえもシャキっ、ふにゃっといった感じで、美味しい。
スープはとろみがある南瓜のスープで、小さく切られた煮皮が大地の恵みって感じの味。
「北西の遺跡探索……僕なんか恋愛ポエムの任務をしないといけないのに、なんか冒険っぽくて羨ましいな」
未知の遺跡探索なんて、ワクワクするじゃないか。
危険もあるのだろうけど。
「魔物が出たりする? 危ないんだろうね。怪我をしないよう、気を付けてねロザニイル。僕、葬儀になっても泣いてあげないよ」
「お前は可愛げがあるんだか無いんだかよくわからんことを言うね。まあ、後半は聞かなかったことにしておくけど」
ロザニイルはそう言って、遺跡は魔物が出ないこと、そんなに危険ではないことを教えてくれた。
「ところで、恋愛ポエム? なんだそりゃ」
ロザニイルが寄ってくる。
ロザニイルは他人との距離が基本的に近い。身体にも気軽に触れてくる。誰にでも。
「カジャ陛下が僕にポエムを書けっていうんだよ」
特に隠すようなものでもない。
送られてきた手紙を見せてやれば、ロザニイルは同情的な眼差しを向けてきた。
「カジャ陛下って絶対あれ羞恥プレイが好きなタイプだよな。かわいそ……オレ預言してやるよ。お前のポエム、大衆に晒されるぞ」
「うわ、やめてよ。本当にやりそうな気がする……」
想像して、僕はゾッとした。
いや、しかし先日の破廉恥な見世物に比べればポエムくらいマシなのか? あれ以上の羞恥ある? 僕はもう底の底を体験したのではないか?
「オレが代わりにポエムつくってやるよ。『ああ、愛しのロザニイルお兄様、僕たちの身体に流れる血も髪も同じ色……』」
「それ、ポエム? あと、どうして相手がロザニイルになってるのさ」
「オレだって従弟のお兄様だろ」
ネイフェンが微妙な顔で僕を見る。
「追い出しますか」
声を出さずに唇がそう問いかけるので、僕は少し考えてから首を横にした。
ロザニイルはあんまり好きではないけれど、賑やかなのは嫌いではないのだ。
じめじめするより、全然良い。
「ポエムはさておき、次期当主のお兄様と仲良くしておいて損はないぞ、エーテル。探索に連れて行ってやってもいい」
ロザニイルは僕が追い出さないと知って嬉しそうにニヤリとした。
そして、肩を抱き寄せて耳元で悪戯話でもするみたいに声を潜める――そんなことをしてもネイフェンには聞こえていると思うけど、きっと雰囲気とか気分の問題なのだろう。
「いいか、探索にはノウファムも来るんだよ。だから、ポエムを書くためですーって言ったらお前がついてくる理由になるだろっ」
「……そんな理由、通るかなぁ……?」
けれど、試しにお伺いをたててみたところ、許可はあっさり下りた。
しかも。
「薬も中断して良い」
というのだ。
「カジャ陛下は、まったくもって気分屋でよくわからない。そんなに恋愛ポエムが読みたいのだろうか」
……謎は深まるばかりであった。
「そんなのとっくに準備万端に決まってるだろ。オレ様は優秀なんだよ」
ネイフェンとロザニイルがバチバチと火花を散らしている室内で、僕は食事を頂いた。
新鮮な二種類の葉野菜を重ねて、薄くスライスされた肉をあわせてシャカシャカと白い粉状スパイスを振る。
塩とチーズ粉末を混ぜたスパイスの味付けと素材の旨味が合わさって、口の中が幸せだ。
噛んだ時の歯ごたえもシャキっ、ふにゃっといった感じで、美味しい。
スープはとろみがある南瓜のスープで、小さく切られた煮皮が大地の恵みって感じの味。
「北西の遺跡探索……僕なんか恋愛ポエムの任務をしないといけないのに、なんか冒険っぽくて羨ましいな」
未知の遺跡探索なんて、ワクワクするじゃないか。
危険もあるのだろうけど。
「魔物が出たりする? 危ないんだろうね。怪我をしないよう、気を付けてねロザニイル。僕、葬儀になっても泣いてあげないよ」
「お前は可愛げがあるんだか無いんだかよくわからんことを言うね。まあ、後半は聞かなかったことにしておくけど」
ロザニイルはそう言って、遺跡は魔物が出ないこと、そんなに危険ではないことを教えてくれた。
「ところで、恋愛ポエム? なんだそりゃ」
ロザニイルが寄ってくる。
ロザニイルは他人との距離が基本的に近い。身体にも気軽に触れてくる。誰にでも。
「カジャ陛下が僕にポエムを書けっていうんだよ」
特に隠すようなものでもない。
送られてきた手紙を見せてやれば、ロザニイルは同情的な眼差しを向けてきた。
「カジャ陛下って絶対あれ羞恥プレイが好きなタイプだよな。かわいそ……オレ預言してやるよ。お前のポエム、大衆に晒されるぞ」
「うわ、やめてよ。本当にやりそうな気がする……」
想像して、僕はゾッとした。
いや、しかし先日の破廉恥な見世物に比べればポエムくらいマシなのか? あれ以上の羞恥ある? 僕はもう底の底を体験したのではないか?
「オレが代わりにポエムつくってやるよ。『ああ、愛しのロザニイルお兄様、僕たちの身体に流れる血も髪も同じ色……』」
「それ、ポエム? あと、どうして相手がロザニイルになってるのさ」
「オレだって従弟のお兄様だろ」
ネイフェンが微妙な顔で僕を見る。
「追い出しますか」
声を出さずに唇がそう問いかけるので、僕は少し考えてから首を横にした。
ロザニイルはあんまり好きではないけれど、賑やかなのは嫌いではないのだ。
じめじめするより、全然良い。
「ポエムはさておき、次期当主のお兄様と仲良くしておいて損はないぞ、エーテル。探索に連れて行ってやってもいい」
ロザニイルは僕が追い出さないと知って嬉しそうにニヤリとした。
そして、肩を抱き寄せて耳元で悪戯話でもするみたいに声を潜める――そんなことをしてもネイフェンには聞こえていると思うけど、きっと雰囲気とか気分の問題なのだろう。
「いいか、探索にはノウファムも来るんだよ。だから、ポエムを書くためですーって言ったらお前がついてくる理由になるだろっ」
「……そんな理由、通るかなぁ……?」
けれど、試しにお伺いをたててみたところ、許可はあっさり下りた。
しかも。
「薬も中断して良い」
というのだ。
「カジャ陛下は、まったくもって気分屋でよくわからない。そんなに恋愛ポエムが読みたいのだろうか」
……謎は深まるばかりであった。
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