グレイス・サガ ~ルーフェイア/戦場で育った少女の、夢と学園と運命の物語~

こっこ

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第1話 憧憬

約束 Episode:01

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◇Rufeir

 炎の中からどうにか女の子を助け出した後、あたしは教えてもらった公園へ向かった。

 ――確か、左へ曲がって真っ直ぐって。

 思い出しながら、道路を歩いていく。

 遠い空。
 優しい風。
 強い日差しも夏を思わせて、すてきだ。
 道を行き交う人たちもなんだか、みんな楽しそうだった。

 いいな、こういうの……。

 公園までは、意外なくらいすぐだった。
 改造屋さんを探してあれだけ迷ったことを思うと、なんだか信じられない。

 中へ入ってみると、まぶしいくらいの緑が生い茂っていた。
 それにとっても静かで、大通りの賑やかさが嘘みたいだ。

 木々の間からの木漏れ日。
 さらさらと流れぬける風。
 石を並べて作られた、小さな水路のせせらぎ……。
 覗きこんでみると、ちゃんとお魚まで泳いでいた。

 誘われるようにしてブーツを脱いで、足を入れてみる。

 ――気持ちいいな。

 熱くなっていた足が、冷やされていった。

 まだちょっと暑いせいか、公園内はそれほど人はいない。
 きっともう少し遅くなってから、みんな夕涼みにでも来るんだろう。

 隣には聞いた通り、学校があった。
 石造りの立派な建物で、威風堂々、という感じだ。

 けど、人の気配はなかった。
 校庭も校舎も静まり返ってる。

 ちょっと寂しかった。

 学校がどんなとこなのか、あたしは知らない。
 もちろん何度か目にしたことはあるけど、入ったことは一度もなかった。
 当然だけど、中で何をするのかはもっと分からない。

 ――勉強だって、いうけど。

 ただそれを、たくさんの人と一緒にやるんだって言う。
 うまく想像できないけど、楽しそうだと思った。
 きっと、分からなかったりしたら、みんなに訊いて……。

 つい泣いてしまいそうになって、あたしは慌てて唇を噛んだ。
 こんなところで泣いていたら、周りの人だって呆れるだろう。
 なによりあたしには……関係ない話だ。

 考えを無理矢理、明日からのことにもっていく。地形、スケジュール、必要な装備、それから連絡手段。
 かなうわけのない夢よりずっと、そのほうが大事だから……。


◇Imad

 叔父さんと姉貴のダンナを振り切って、俺はどうにか約束の公園まで来た。

 ――まさか、着いてるよな?

 まぁあいつ方向音痴じゃなさそうだし、さっきの場所とちがって今度は簡単だから、ちゃんと行き着いてるだろう。

 ――って、あれ?

 広い公園の中をざっと見回しても、ベンチにあいつの姿はなかった。

「自分で返せって言ったくせに、どこ行きやがったんだか」

 独り言いいながら、その辺をふらふら探す。

 もっともどっかの自然公園ってワケじゃねぇから、あいつの姿は割とすぐ見つかった。
 人工のせせらぎの、水源?に近い奥のほうだ。
 暑かったのか、ブーツ脱いで水に足突っ込んでる。

「悪りぃ、ちょい時間食っちまってさ」
「あ、イマド……?」

 金髪が振り向く。
 なんか、ひどく寂しげな表情だった。
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