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第7話 力の行方

反撃 Episode:13

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「殿下……お心遣いはありがたいのですが、ここはファレル卿の仰る通り、先にお戻りください。その方が安全です」
「だが……」

 まだ渋るとか、いったいどうなってんだか。
 だいいちこっちが「戻れ」って説得するなんて、奇妙としか言いようがないじゃないか。

「殿下、私たちは全員、訓練を受けています。それもかなり高度なのを。ですから、ご心配なさらずに」
「………」

 やっぱルーフェイア、殿下になんだか言ったらしい。
 で、殿下の方もお気に入りの美少女に言われたから、考え改めたんだろう。

 ――単純。

 けどここまで変わるとか、いったいなんて言ったんだろね?
 まぁあとで落ちついたら聞いてみるかな。

 ともかくこんなとこに長居してたら、ロクなことにはならないはずだ。
 スラムにいた時もそうだったけど、ヤバいとこからはさっさとズラかるに限る。

「ともかく行きましょう。長居は禁物です」

 エレニア先輩も同じことを言って、暗がりの中、建物から急いで離れる。
 中じゃ、何か騒動が始まったっぽかった。なんか聞こえた銃声は、ミルだろう。

 ただ、次は予想外だった。あたしらが見てる前で、建物が崩れ出す。

「ちょっと待ちなよっ!」

 思わずそう突っ込んだけど、それで崩れるのが止まるワケがない。
 ただ、二人ばっかし、人影が飛び出してきたのはわかった。

 舞い上がる土煙を透かして、誰だか必死に見極める。

「ナティエス、ミルっ!!」

 いつも一緒にいるんだ、すぐにわかる。
 ざっと辺りを確かめたけど、敵はいなそうだったから、そっちへと走った。

「大丈夫かい?!」
「うん。ルーフェイアの魔法でね、なんでもなかった……あれ? よく考えたらシーモアも殿下も、なんでまだここにいるの?」

 いや、こっちもさっさと帰る予定だったんだけどね。
 んであたしが説明しようとしたんだけどさ、殿下の方が早かった。

「お前たちを残して逃げるのは、卑怯だと思っただけだ」
「殿下……熱、ありません?」

 ナティエス、ナイスなリアクション。殿下の額に手をあてて、熱計ってるよ。

「あなたたち、それどころじゃないでしょう……」
「え? あっ!!」

 どうも殿下の妙なペースに巻き込まれて、大事なことを忘れてた。

 ――シルファ先輩と、ルーフェイア。

 無事だとは思うけどさ……。
 だからあたしは、聞いてなかった。殿下とミルの会話を。
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