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第8話 言葉ではなく

結末 Episode:04

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「けどさ、ひと騒動だったけど、落ちついてよかったよね。
 もう向こうのチームとのナワバリ騒ぎも、ないと思うし」

「よかった……」

 俺が思うに、今回のいちばんの収穫はこれだろう。

 今回休戦した上で協同作戦やったりのが良かったのか、この二つのチームは、次にリーダー変わる時にまとることで話がついた。

 まぁ聞いたとこじゃ、もともとひとつだったっつーし、元リーダーだったルーフェイアの親父さんやレニーサさん、クリアゾンのボスあたりからも話が行ったらしい。
 分裂したチームがヘタに張り合って、今回みたいな騒ぎになっても困る、ってのもあったんだろう。

「そうそう、ガルシィがさ、ベルデナード来た時は寄れって言ってた」

「へぇ。
 けどよ、また玄関の外で待たされたりしてな」

「もう、イマドのいじわる! そんなことするわけないでしょ」

 きっちり言い返してきてから、シーモアとナティエスのやつは笑った。

「借り作っちまったね」
「ま、そのうち返してもらうぜ」
「えー、なにそれ! やめてよー」

 シーモアは義理堅いヤツだけど、ナティエスは借りなんて返す気ないらしい。
 てかそもそも、借りって思ってねぇ気がする。

「そんなことより、今度みんなで遊びにいきましょ。あたしが全部面倒見てあげるから」
「母さん!」

 ンなこと言いながら、俺らがワイワイやってた時だ。

「兄ちゃん、姉ちゃん!」
「あ、ウィン」

 あのチビが半分息切らせながら、駅の自走階段を駆け上がってきた。

「もう、行っちゃうって聞いてさ。オイラ急いで来たんだ」
「ごめんね、疲れたでしょう?」

 ルーフェイアのやつがそう言うと、ウィンがぶんぶん首振った。
 どうもこのガキ、こいつの外見に参ってるらしい。

――ま、分かるけどな。

 戦闘さえなけりゃこいつ、どっからどう見ても儚げなお嬢様だ。

「けど、ホントにもういっちまうの?」

 このチビの言葉に、たちまちルーフェイアの顔が曇った。

「その……ごめんね……」
「あぁぁっ! 姉ちゃん、泣かないでっ★」

 思いっきりいつものひと騒動になる。
 けどタシュア先輩がいるわけでもねぇのに、なんでこうなるんだか……。

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