グレイス・サガ ~ルーフェイア/戦場で育った少女の、夢と学園と運命の物語~

こっこ

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第9話 至高の日常

緊迫 Episode:12

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「この子が、潜入するって言うんです。自分なら小児科の入院って偽って、紛れ込めるんじゃないかって」
「潜入? どうやって? 病院はあのとおりなのよ」

 あたしと同じ疑問を、この先輩も返してくる。


「なるほどね……検討の余地はあるわね。
 ちょっとウラグ、来てもらえる?」

 詳細を聞いた先輩が、ここの指揮官(たぶん)のウラグ先輩を呼んだ。

「なんだ、誰か可愛い子でも――おぉ、いるじゃないか♪」
「――馬鹿」

 この非常時にこの先輩たち、なに考えてんだか。
 まぁ緊張しまくって失敗すること思えば、このほうが数段マシなんだろうけど……。

「どうせその頭、ロクなこと入ってないんだから、黙ってたほうが身のためよ。
 それで話は変わるけど、この子――ルーフェイア、だっけ? ともかくこの子が、ひとつアイデアを持って来たのよ」

 聞いた瞬間、ウラグ先輩が間髪入れずに答えた。

「採用! 美少女はいつも正しい」
「――捨ててやろうかしら」

 それ以前の問題のような……。
 だけどウラグ先輩も、ほんとこたえない。

「俺は真実を述べただけだぞ。
 それでルーフェイア、どんな案なんだい?」

「その……」

 ルーフェがまた言いよどんだ。大人しいこの子、どうもこゆ場は苦手にしてる。

「遠慮なんかしなくていいんだぞ。美少女の言うことは正しいんだからな」
「は、はぁ……」

 面と向かって言われて、思いっきりきょとんとしてるし。
 けど気さくな態度がよかったんだろう、今度はちゃんと自分で話し始めた。

「あの、小さい子たちが人質になってる話なんですけど……」
「うんうん」

 でも話を聞いているうちに、この女の子好きな先輩の表情が変わる。

「それはダメだ!」
「――あなたさっき、採用って言ってなかった?」

 イオニア先輩がすかさず突っ込んだ。けどウラグ先輩も負けてない。

「それとこれとは別だな。だいいち、美少女を危険な目に遭わせるなんて、出来るわけないじゃないか」
「あなたの馬鹿、死んでも治らなそうね」

 辛辣な言葉が飛ぶけど、間違ってないとこがすごい。
 だけど今回引き下がらなかったのは、いつも大人しいルーフェだった。

「あたしが行って紛れ込めば――小さい子を見張っている犯人への攻撃が、突入と同時に出来ます。

 そうなれば、リスクも最小限で済むはずです」

「それは確かにそうだが……どうやって紛れ込むつもりなんだ」

 確かにルーフェの学年じゃ、こういった突入時の対応なんか勉強してない。
 けどそれはあくまでも、『普通の生徒』の場合だ。
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