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第9話 至高の日常

破局 Episode:05

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 ◇Rufeir

 ひざに顔をうずめていたあたしは、そっと視線を上げた。

 周囲を覗う。

 小さい子たちは、睡眠薬のせいでみんな眠っていた。
 これなら派手に動いても、この子たちにとんでもないものを見せないで済むだろう。

 時計の針は、もう22時の2分ほど前を差している。

 そっと手を動かして、太刀の柄にかけた。
 息詰まる時間。

 確かなのは、ここにいる見張りを倒さなければ、この子たちの命が危ないということだけだ。
 3人とも結局ミルクは飲まなかったから、全力で行くしかない。

 犯人たちに気づかれないよう、じりじりと体勢を変えた。
 ほんの僅かのはずなのに、とても長い間待って……。

 ――爆発音。

「なんだ? 誰か見て――」

 その時にはもう、あたしは魔法を唱え終わっていた。

「――ホズ・ブリンドっ!」

 闇を呼ぶ呪文に、三人が視界を奪われる。

「な……?!」

 見張りがパニックを起こした時にはもう、あたしは抜刀して立ち上がりかけていた。
 ためらうことなく刃を振り下ろし、次いで鳩尾へ切っ先を突き入れる。

 ――まず、ひとり。

 絶叫が上がり、リーダー格の見張りが倒れた。

「誰だ、誰がやられたっ?!」
「ちきしょう、明かりを――っ!!」

 太刀を引き抜きながら振り向いて、先に遠いほうの見張りを薙ぎ払う。
 相手の両腕が払われ、腹部が裂けた。

 さらに返す刃を振り下ろして、残った見張りを首あたりから袈裟切りにする。

 最後にひとりづつ、念のために心臓を突いて――それで終わりだった。
 泣きたくなる。

 ――なんで、こんなことばかっり上手いんだろう?

 3人の大人を倒すのに、たったこれだけなんて……。

 それからあたしは首を振った。
 今は……まだ終わってない。

 もう一度部屋を振り返って、危険がないことを確かめる。

 ――大丈夫。

 見張りは全員絶命している。
 ここは後は、看護士さんたちに任せるだけだ。

 あたしはそっと扉を開けて倉庫を出た。
 すぐ隣のナースステーションへと向かう。

 フロアでは次々とクリアの声が上がっていて、上級傭兵の先輩たちが順調に制圧しているのが分かった。
 その中、急いでナースステーションに入り込む。

 最初に目に入ったのは、シルファ先輩だった。
 何故かイマドの長剣を振り上げている。

 しかもどういうわけか、相手にしているテロリスト――リーダーだったはずだ――には、炎がまとわりついていた。
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