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case4. 略奪◇14
しおりを挟むアーチに手を引かれ部屋の扉を出ると廊下にも部屋と同様赤い絨毯が敷かれており、代わり映えのしない様子にエルミーユは"部屋から出た"という実感が持てなかった。
「エルミーユは手の肌も柔らかくて綺麗だね。」
廊下を歩いている途中、アーチが握るエルミーユの手を見て何気なく呟いた。
軍で名を馳せてきたアーチの手や身体には擦り傷がいくつもあり、エルミーユは同じく戦う一兵士として自分の傷のない肌に恥ずかしさを覚えた。
自分はもしかしたら女だから同士に守られ敵にも手加減されてきたのかもしれない。アーチとアーサに非情に扱われても無理もないと思った。
裏口から裏庭へ出ると夜の風が優しくエルミーユの頬を撫でる。ようやく外に出たと実感が持てた瞬間だった。
庭にはツルを絡ませた白い薔薇が無数に広がり、アーチ型のトンネルも造られている。
屋敷の壁際に置かれている白いベンチがちょうど月明かりに照らされており、美しい景観が形成されていた。
「どお?アーサが品種改良した珍しい種類の薔薇なんだよ。」
「.......綺麗.....」
「見て。花弁が大きくて茎は太いのに棘はないんだよ。」
「....ほんと。不思議....。」
アーチに見せられた花の中心には無数のおしべとめしべが詰まっている。
薔薇のアーチ型トンネルを通し外を見ると、エルミーユより少し背の高い鉄の柵が庭を囲んでいるようだった。
あの高さだったら.........エルミーユの脳裏に"逃亡"の二文字が過る。
外を見つめるエルミーユにアーチが言った。
「......逃げたい?」
「え?」
「今すぐ逃げ出したい気持ちでいっぱいなんじゃない?」
「........」
まるで"逃げてみろ"と言われているような気分になったエルミーユは何と答えてよいか分からずアーチに握られる手を見た。
「逃げてもいいよ。」
「えっ?!」
「逃げてもインハルトとのことは告げ口しないし、というか僕らだってエルミーユを拐ったんだからイーブンだよね??
あんたがそんなにここが嫌なら、逃げればいい.....。」
「......っ..」
アーチがエルミーユの手を緩めた。
ここは敵国で、このまま外に逃げてもインハルトの元まで行けるとは限らないし無事でいられる保証もない。それでもこれまでアーチとアーサにされてきた数々の行いを思い返せば外の方がまだマシかもしれない。
アーチがベンチに腰掛けると、自分を見つめるエルミーユに"行けよ"と目で外へと促した。
何度もアーチを振り返り戸惑いながらも一歩一歩外へと歩いていくエルミーユ。
しかしその後ろを薔薇のツルがずるずると這いずり追っていく。薔薇のアーチを潜ろうとしたところでエルミーユの足首を薔薇のツルが無数に巻き付いた。
「なッ!!」
エルミーユが自身の足首を見たところで今度は手首に無数のツルが巻き付いていく。
「な、何これッッ?!」
「....ああ、その薔薇は女の愛液を補食する植物なんだよ。....でもまあ所詮植物だから、エルミーユの力ならすぐに振りほどけるでしょ?」
愛液と聞きエルミーユの下腹部がピクリと反応する。
アーチがそう言う間にもツルはどんどんエルミーユの身体に巻き付き、あっという間に彼女の身体が宙に浮いた。
「やッッ!」
「エルミーユ、ツルをぶち切っていいんだよ?早くしないと、吸われちゃうよ??」
腰に巻き付いてきたツルをエルミーユが引き剥がそうとするとツルについていた葉が彼女の胸をワンピースの上からくるりと撫で回した。
「っ」
大した刺激ではないのにエルミーユの下腹部が小さく疼き熱を灯す。それに抗おうと彼女が一つ息を呑み、脚を閉じようと膝に力を込めた。
しかしツルはさらに螺旋を描くようにしてエルミーユのふくらはぎから太ももへと巻き付いていく。ついにエルミーユは脚を夜空に開くような形で逆さ吊りにされてしまった。
「や、やだッッなんなのっっ」
逆さまのエルミーユが必死になって脚に絡みつくツルに手を伸ばすと、ツルがエルミーユの脚だけを90度に回転させ、彼女の股の間をアーチに見せるように開かせた。
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