ストーカーから逃げ切ったのも束の間、転移後はヤンデレ騎士団に殺されかけている現実!

由汰のらん

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⑲(グレコ視点)

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海賊事件から数日後。

『純和香』に行こうと、花街に足を踏み入れる。

まだ早朝という時間帯だというのに、裏通りでは女の闘いが繰り広げられていた。

「なんでついてくんのよ! ウザいのよあんた!」

「待って下さいネネさん! シロちゃんを勝手に連れてかないで!」

ネネと呼ばれた男娼の娘の手には、白い鳥が逆さまに掴まれている。

鳥はピーピー泣き叫んでいて、かなり嫌がっている様子だ。

「この鳥、魔物なんでしょ? それならとっとと殺すべきじゃない!」

「ちがうんです! ってそうですけど……でもその子は貴重な薬剤の卵を生む子で!」

あのネネという男の娘。確か、ハルにあらぬ罪を着せて、ダン隊長とミレ婆にこっぴどく怒られていたと思ったが。相当気が強いらしい。

きっとハルのことが相当気に食わないのだろう。
  
「もしその子を殺しちゃったら、ミレーヌさんにまた怒られちゃいますよ?」

「うるさいわね! どうせネネは独りに慣れてるんだから、どうなろうといいのよ!」

ハルがつまずいて転んだ。鈍臭いにもほどがある。   
   
利用されるとわかっていながら利用されるし。ルナ隊長も言っていた通り、とんだお人好しだ。

「この鳥なんて串刺しにしてやるわよ!」
「ピピーーー!!!」
 
ネネが自分の髪からかんざしを抜いた。それを白い鳥の腹に突きつける。

「待って! やめてネネさん!!」

5分ほど前からだろうか。

窓から彼女たちの様子をじっと見ていた女が、彼女たちの間に割って入った。

「なあに? 朝から騒々しいんだけど。」
     
桃色の襦袢と、赤い着物を着崩したカルミが、赤茶の髪をゆるく結んで言った。

3人でバトルか。非常に面白い。

罪人闘技場の殺し合いとまではいかないだろうが、女の闘いほど精神をギタギタにするもんはない。楽しみすぎる。 

「か、カルミさん?!」

「あなた、『純和香』の男娼さんじゃなかった? こんなところでなに? その手に持っている鳥はなんなの?」

「こ、これは、この女が勝手に保護してる魔物で。危険だから殺そうかと思って、」

「あらあなた。そういえばこの間、この辺りで妙なこと口走っていたわよね。」

「妙なこと?」

「賊みたいな男集団に『『癒し』の力を持つ女がいる』って言いふらして。『他国の闇市の競売にかければ、必ず大金が手に入る』って。」       
 
ネネの顔が引きつる。

なるほど。アルゴン海賊団はネネから助言を受けハルを攫おうとした、というわけか。

カルミが後れ毛を掻き上げながら続ける。

「しかも、『死海を再生させてほしいとか上手いこと言って連れ出せば、すぐについて来るはず』とか、具体的なアドバイスまでしてたわよねえ?」

「そ、そんなこと言ってない!」

「あなた、可哀想な子ね。自分の能力を不貞行為にしか使えないなんて。」

「なに言って……! カルミさんにネネの気持ちなんてわかんないわよ!」

ネネがカルミに向かって鳥を投げつける。

でも鳥は解放され大きく羽ばたき、カルミの手の中にすっぽり収まった。

「ネネだっけ? あなたよくこの辺りを独りでフラフラしてるわよね。変な男に身売りするくらいなら私のとこ来なさいな。」

「行くわけないでしょ?!」

「あなたの噂はルナから聞いてるわ。安心して。私はこの通り、ダンピールだけどなんの魔力もないの。」

ネネが結んだ拳を震わせている。

予想外にもカルミが歩み寄ってくれたことに嬉しさを感じているのか、それとも同情されたことに悔しさを感じているのか。     
        
なんだこれ。全然バトルじゃない。糞つまんないただの親睦会か。がっかりだ。

俺は懐から『人間解体新書改版』を取り出し読み始めた。 

「いつでもいらっしゃいな。あなたの血をたっぷりと飲んであげるから。」

「なによそれ! ただネネの血がほしいだけじゃない! フンだ! ぷんすかぷんぷん!」

ネネが頬を膨らませ、真っ赤にして走っていく。3流のツンデレ女子か。

ルナ隊長専用ともいえるカルミは、尖った耳を見ればわかるとおり、ダンピールだ。

カルミの母親は、カルミが幼い頃に病で死んだ。

ダンピールである父親は元々騎士団にいたが、魔物との戦いで片足が不随となった。今は辺境地の片田舎でひっそりと暮らしている。

先日、その父親が住んでいる片田舎が土砂崩れに巻き込まれた。

ルナ隊長がカルミに、腎臓を売って故郷復興の資金源にすればいいと冗談半分でアドバイスしたのだが、カルミは本気で売るつもりだった。

ルナ隊長とカルミは特別な関係だ。

ルナ隊長の本当の母親も父親も誰かはわからない。隊長はこの花街で生まれ、この花街で育てられてきた。
  
花街で生まれてしまった子供は少なくない。昔は特に。どの店にも、大抵乳母役というのが存在した。

隊長の乳母として『シルキーウェイ』で働いていたのが、カルミの母親だった。

隊長とカルミは、兄妹とまではいかないが、同じ女に育てられたという絆で繋がっている。

だからルナ隊長は、カルミの腎臓を本気で売ろうとだなんて最初っから思っていなかったのだ。
 
 
「あなた、お名前は?」

カルミがつまずいたハルの手を引き、立ち上がらせる。

「ハルと申します。」

「そう。あなたがハルさんね。」 

カルミが白い鳥をハルに渡した。鳥は安心した様子でハルの肩に停まった。

「あなたのことはルナから聞いてる。」    
 
「う……ルナさんからですか?」

「ええ。あなたが私に故郷復興の資金源をくれた張本人だって。」 
 
なぜだろう。ハルの顔が異様に青ざめている。

まさかカルミに、出資元であるハルのことを話すのはまずかったということだろうか?

「ほんとうに、ありがとう……。ありがとう、ハルさん。」

カルミがハルの手を握り、涙ぐんでいる。

あの高飛車なカルミが、信じられない。そうまでして父親が住む故郷を救いたかったのだろうか?

俺には理解できない。

「私の母さんね、この花街で働いていた人間だったの。最初は身体を売って生活してたんだけど、当時ダンピール騎士団に入っていた父さんが身請けしたのよ。」

「そうだったんですね。」 
     
「父さんと結婚してからは、母さんはここで乳母として働いていてね。その時にルナの乳母役だったってわけ。」 
 
「も、もしかして! カルミさんとルナさんは、ご兄妹?」

「違うわ。ルナの母親は別の遊女よ。この花街でトップ遊女だったらしいわ。」 
        
「なるほど……。」

「ルナのお母さんも私の母さんも病気で死んじゃったけどね。お店で流行り病をもらうことは多かったのよ。」

「ミレーヌさんは?」

「まだミレーヌさんはいなかったわ。元々あの人は王宮の近衛騎士団にいたしね。」  

まさかの身の上話を始めやがった。もっと醜い争いが見たかったのに。

 
ミレ婆がこの花街にやって来たのは15年ほど前だと聞いている。ちなみに俺がこの辺境地にやって来たのは10年ほど前だ。

俺は孤児だ。物心つく頃には、野盗のアジトで幻獣や人間の身体を解体する仕事をしていた。

でも俺が成長するにつれ、野盗らは俺を人攫いや殺しの仕事をさせるようになった。

ダンピールは人間より強いっていうのがあったから。俺もそのことを誇りに思っていた。

でもある日、この花街の女を攫おうとした時だった。ミレ婆に、ここぞとばかりに打ちのめされた。

ただの鉄の棒で頭を44回殴られて、みぞおちを95回突かれて、股間も73回蹴られた。あとケツにも5回刺された。 

俺には水属性の魔力があるってーのに、 あの婆さんは魔力一つ使わず、力技だけで俺をボコボコに叩きのめした。

『お前の力じゃ到底ワシには敵わん。強くなりたきゃ騎士団で修行してこい!』

人間の癖に、婆さんの癖に。魔力も使わず力だけでねじ伏せられるなんて。

その直後、野盗は騎士団に捕まり、子供だった俺はミレ婆の推薦もあってダンピール騎士団に入団した。 
 
殺しを働いてきた俺は、罪人として扱われるべきところを、ミレ婆のお陰で免れたのだ。

まあ王族だって気に入らない人間を不当に扱い、すぐに追放だの処刑だの『殺し』という認識なしに行っているけどね。  

俺は騎士団で一般常識を学んだ。

女はおっぱいに限ると。
 

「それよりもハルちゃん、あ、ハルちゃんて呼んでもいいかしら?」

「は、はい! もちろんです!」

「私のことも気軽にカルミって呼んでね!」

「そんな、トップ遊女さんに失礼ですよ。」

「私、気軽にお話できる友達っていないのよ。それにハルちゃん、その鳥さんも私の故郷を助けてくれたんだから。謙遜しないで? ね?」    

なぜかハルがはにかんで頬を染めている。しかも目頭に涙まで溜めて。そこまで嬉しいの?

そうか。あいつ、女好きだったのか。

「カルミ……ちゃん。」

「嬉しい! これからよろしくねハルちゃん!」

勢いよくカルミがハルに抱きつく。     

ハルも辿々しい手つきでカルミを受け入れて、でもカルミはすぐにハルの首元の匂いを嗅いでいた。

まあ、そうだよね。ダンピールなら誰しもハルの美味しそうな血の匂いに気付くだろう。

「ハルちゃん……すっごい、美味しそう……」

「え?!」

「しかもハルちゃん肌が綺麗だから、蒼い血管が透き通って見えて、ああ、血欲が煽られる……」

カルミが牙を光らせ、ハルの首にかぶりつこうとする。

やれやれ。ここは俺が止めるべきかもしんない。けど、すでにカルミの前にはダン隊長が立っている。ものすごい剣幕で。

「おい貴様。なに勝手にハルの血を飲もうとしている?」

「うわッび、びっくりしたー!! ダンさんじゃない!」
  
「こいつからとっとと離れろ。ダンピール遊女が。」

ダン隊長がカルミからハルを引き剥がした。

なんだあの人。いつからいたの? 俺の視力でも気配が視えなかった。

しかもこんな早朝から一体なにしてんだあの人。
     
「ダンさん! おはようございます。」

「ああ。こんなところでなにしてた?」

「その、ちょっとシロちゃんを連れ戻しに。それでカルミさんが助けてくれて。」 

「ピピュィ!!」

鳥がダン隊長の殺気に恐怖を感じたのか、慌ててカルミの肩に移る。

あの鳥の勘は正しい。ダン隊長は、ここ最近殺気がダダ漏れているから。

海辺で俺の首を絞めた時の力はまともじゃなかった。なにせあの時俺は、ハルとのキスにより魔力が増強された状態だったのだ。

それなのに、俺の力ではダン隊長の握力から逃れることは出来なかった。

リヨ隊長との模擬戦では、リヨ隊長の魔力増強によりリヨ隊長が勝っていたはずなのに。

あの時、海辺でダン隊長はハルから体液を取り入れてはいなかったはず。

つまり、なにかしらが引き金となり、ダン隊長の魔力が異常をきたしたということだ。

ルナ隊長は、これからハルが色々な脅威にさらされていくと言っていたけれど、  実は一番の脅威はダン隊長なのでは?

 
「ち、違うのよダンさん! ネネって男娼さんに無理やりこの鳥を殺されそうになってね。ハルちゃんが必死に庇おうとしていたのよ。」

カルミもダン隊長の殺気に怯んだのか、慌てて全てを暴露した。

するとダン隊長が眉をひそめてハルを見る。

「ハルはすぐにネネを庇おうとする。あれを放っておけば、ハルがさらに危ない目にあうかもしれんのだぞ。」

「そ、そうだとしても、ネネさんにだって思うところはあるでしょうし。」

「じゃじゃ馬だけならまだしも、ハルを危険な目にさらそうとする行動は目に余る。どうにかしないと駄目だろう。」

「どうにかって。あの、ダンさん。 わからないんですか?」      
     
「なにがだ?」

ハルが気まずそうに視線を落とす。なにか言いにくいことでもあるのだろうか?

「ネネさん、私に嫉妬してるんですよ。ダンさんのことが好きだから。私にダンさんを取られると思っているんだと思います。」

なるほどね。そういえばさっきのネネという男娼は、昔、ダン隊長が助けた人間だったっけ。
 
ダン隊長がネネの常連客であるなら尚の事、ネネは独占欲からハルを排除したいだろう。
  
「それなら俺は、ハルに被害が出ないようネネと仲良くしてろとでもいうのか?」    
       
「……私に被害が出ないようにというか、ネネさんのためにも、できればネネさんの傍にいてあげた方がいいのかなって。」

「ほほう。それは本心か? それならなぜ貴様は俺にキスなんてした?」

ダン隊長が相変わらず殺気を放ってハルを見下ろしている。

でもハルは、顔を真っ赤に染めて、エプロンの裾を力強く掴んでいる。

「あ、あれは、ダンさんを正気に戻すことに必死で……」

視線を泳がせるハルに、白い鳥が大きく欠伸をした。ちなみに俺も欠伸が出た。 

「もうダンさん! そんなハルちゃんを怖がらせてどうするの? ほんと不器用なんだから!」     

「はあ? 貴様に言われる筋合いはない!」

「そんなんだと他のダンピールどもにハルちゃん奪われちゃうよ~?」  

「だったらなんだというのだ!」

そんなくだらないやり取りの中、俺は新たな気配を視つける。

空からでっかいコウモリが降ってくる。コウモリの幻獣か。一度、あれも解体してみたいな。

「ダン様、そろそろ討伐のお時間です。本日第2部隊は団長より王都周辺警護を仰せつかっております。」  

「知ってる。すぐに行く。」

スキュラが周りの様子を見て降り立てば、すぐに俺が隠れる角に視線を向けた。

「ハル様、カルミ様。どうやらお二人のどちらかに害虫がついておいでのようです。」

「ええッゴキブリっ?!」

「早朝といえども、外に出るのはもう少し明るくなってからの方がいいかと。」      

スキュラが口角を持ち上げ、俺に視線を送る。

やれやれと、仕方なしに角から顔を出す。  

「おはよう。」

「グレコさん?!」
「あらグレコちゃん!」

ハルと2人きりになれるタイミングを探してたなんて死んでも言えないな。

「なんだ。なぜ貴様がこんなところにいる?」

ダン隊長に冷ややかな目で見下された。

面倒くさいから、素直に本当のことを話そう。
   
「この間のお詫びだよ。ハルにお詫びの品を持ってきたんですよ。」

「アルゴン海賊団の件か? それならハルには貴様の心臓を差し出さねば割に合わんな。」

「なんでダン隊長に言われてんすか。あんたちょっとキモいっすよ。」

「は?!! なんだと?!」

剣を抜こうとするダン隊長は無視して、ハルにお詫びの品が入った木箱を渡す。赤い結び紐で飾った木箱だ。

「あ、ありがとうございますグレコさん! なんだか高級そうな木箱ですね。」

「希少なものなんだよ。けっこう苦労したんだから。」

長い前髪の間から、ハルの瞳を見つめる。

やっぱりこの子、かなりかわいい顔をしている。眉毛の下がり方がゆるくて、口角がきゅっと窪んでて、瞳は大きく輝いている。

俺は視力がいいとはいえ、人の行動に目を光らせることが多いから、あまり人の顔の作りとか気にしたことがなかった。
 
なんだろう。ちょっと目が離せないくらいかわいいかも。 

と、そんなことを考えている間にもハルが赤い飾り紐を指でつまんで解く。そっと木箱の蓋を開けた。

「……な、なんですか、これ。」

「アカヘビの胆嚢たんのう蛇胆じゃたんだよ。」

「ど、どうするものなんですか?」

「食べるの。食べれば老化防止や美肌の活性に繋がるの。」

「…………」
    
レバーのような小さな楕円の胆嚢を見て絶句するハル。

女はこういう美容にいいものを好むかと思って、希少なアカヘビを捕まえて取り出してみたのだ。

ハルの木箱を持つ手が震えているのは気の所為だろうか。

「そっか。そんなに嬉しいんだハル。」

カルミが隣で「いいなあ」とつぶやいた。次回捕まえたらカルミに蛇胆をやるとしよう。

「貴様、アカヘビの胆嚢とは相当希少ではないか……。」    

「ダン様も王都でハル様になにか見繕って差し上げてはいかがです?」  

「そうか。それなら俺は、ゴカイとユムシの竜田揚げを買ってきてやろう。」 
   
「どちらもほぼ害虫ですけどね。きっと女性には刺激が強すぎて、夜も眠れ無くなるかと思います。」

ダン隊長とスキュラが楽しそうに話す中、ハルが抜け殻の真っ白になって、歯をガタガタいわせている。
  
確かにゴカイもユムシも見た目の刺激は強いかもしれない。

でもそれ以上の害虫が、花街の門の向こうに視えるのが今は問題だ。

ハルの肩を軽く叩き、ハルに小声で知らせる。

「リヨ・ダリアンには気をつけて。」

「え?」  

「彼はただの道化にみえて、腹の底はとんでもないジョーカーだよ。」 

彼ほど思慮深いダンピールを、俺は知らない。



   
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