【完】愛が重いNo.1ホストに追いかけられています

由汰のらん

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【キラ視点】3333

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「キラってけっこう甘党なのに、他の女の前だと無理してるわよね。」

あ"ー……こりゃけっこう身体にくるかもしんない。今すぐパーツ交換したい。頭ガンガンする。眉間のシワに思っくそ力を込めてぎゅうっと目をつむる。
 
SEは椅子に座りっぱなしだったし、決められた仕事量を月末に間に合わせればよかったから就業時間も10時から16時のコアタイムだけ踏ん張っていればどうにかなっていた。

でもさすがに営業は自分都合でどうにかなるもんじゃない。客が買うか買わないかの世界。やったらやっただけ評価はされるものの、課ごとに課せられる数字を達成しない限り、ギリギリまで残業させられる。

営業という名のチーム戦。だから別の営業マンに任せときゃいいのに。どうしても負けられない自分がいる。


「はい、オレンジトニック。」

「おうさんきゅう。」

俺が客をもてなす側なのに、今や俺がもてなされる側となっている。いや、俺のことを勝手に精神面で支えるだのなんだのと、自称メンタルエースを気取った女が勝手に俺の世話を焼いてるだけだ。


「それよりさ、こないだ私、電話したんだけど。なんで電話出てくれなかったの?」  

   
金髪に近い髪をぐるぐるに巻いた女、磨白がアルマンドの入ったグラスを持ち、カラカラと氷を揺らす。

「あーあれね。ちょっとうっかりスマホを風呂に落としちゃってさ」

「ええ、じゃあ新しいスマホなの?番号変わってないわよね?」

「変わってないよ?ほら、新品のスマホ。」

最近買ったばかりのホス用のスマホを、磨白に渡してやる。で、こっそり耳打ちでロック画面の暗証番号を教えてやった。

勝手に特別感とやらでも感じてろ。

「やっだあ何その単純な番号~。どうせなら私の名前を暗証番号にしてくれればいいのに。」

「マシロってなに?046とか?やっべえ。地方の俗っぽい雰囲気ダダ漏れじゃん。」

「いいじゃない。たまにはそういう俗っぽさもあったほうが。人間味があるでしょう?」


現スマホの暗証番号『3333』

のび太くんの目が並んだような暗証番号ほど人間味のあるもんはないと思う。

ただパッと3が頭の中に浮かんだだけ。3以外の数字が頭になかった。

次の日、暗証番号をタップしていれば、自分がやたら“3333ミウさん”に囚われているのかもという可能性を思い知る。無意識に設定した自分に冷や汗もん。   
 

ため息を零しつつも、オレンジトニックを一口飲めば、頭の中身がぐわんと歪むのを感じた。俺を甘党だとほざくヤツが堂々とアルコール入れんじゃねえわ。酒なんて苦えじゃん。どうせならファンタオレンジ飲みたかった。   

「ねえキラ。そろそろ私と一緒に住まない?」

「……へ?」

「前から言ってるじゃない!私ってキラだけ指名してもう1年になるのよ?そろそろうちに転がりに来なさいよ。」

レースの白いタイトスカートを履く磨白が、俺に擦り寄り俺の太ももに指を這わせる。さするように人差し指と中指を動かし、股間間際まで触れてくる。
 
今日自分が着ている白いスーツも黒いシャツもベルトも靴下も全部磨白からのプレゼント。中の黒シャツが黒光りしていて、斜め上方向からピカッと光るセンスを感じる。
 
たった1年という月日で、磨白はキラに数億円の金を投資した。昔は証券会社で営業をしていたという磨白は、早期リタイアしてデイトレーダーとして金儲けをしているらしい。

日本でもトップクラスの大学を卒業してエリートコースを歩んできたはずの女は、海外にも羽ばたき凄絶な偉観なる世界に浸かりすぎたせいで、ホスト狂いという窮地に辿り着いた。

そんなすげえ人間が俺みたいなクズに貢ぐ姿は、まさに“天才と馬鹿の紙一重”といったところだ。

でもまあ、世界トップクラスの大学卒業した男が、ホストの世界に就職したなんて話も珍しくない。ただそういう奴らみてるのはいい気分じゃないってのが、俺みたいな底辺の世界の人間。

あんたらにはあんたらの生活レベルってもんがあるんだから、温室育ちは大人しく温室で大きくなれと言ってやりたい。俺等のテリトリーを興味本位一つで侵すな。お前らこそ人間を舐め腐ったクズだろう。

だから俺は、そんな奴らが勝ち組なんかと呼ばれるのを阻止するために1位を取り続ける。ぬくぬくと幸せそうに育ってきた奴らには何が何でも負けたくない。
   
だが、成世秋奈は別枠。俺があれに勝ちたい理由は、すでに俺の中で応えが出ていたりする。
  
 
ふと、遠くのウェイターが俺に手で合図するのがみえる。どうやら他の自称メンタルエースのお出ましらしい。うちの新人くんが、奥のテーブルで必死に尺を稼いでいるのがみえる。

「磨白、わりぃんだけどもうお帰りの時間だわ。」

「やだ。キラが私と一緒に住むっていうまで、私、離れないから。」

「はは、うぜえな。」   
     
磨白を引き寄せ、自分の脚に磨白の片足を強引に乗せてやる。無理に開かれたタイトスカートから手を入れ、内ももをゆっくりとなぞってやる。

「っ、キラ、」

「あのさあ、ちょっと相談つうか。実はスマホ、風呂に落とした件なんだけどさ、」

付け根までは、ゆっくりと爪を這わせていって、そのまま耳に唇をつけて吐息を吹き込んだ。

「あそこの、奥のテーブルにいるピンクロリータ。アイツがお前の鬼電うざいっつって、俺のスマホ風呂に沈めたの。」

「なっ……」

「ピンクロリの執着凄くってさあ。磨白が刺されたら俺、この先生きてけねえし。だから一緒に住むのはその件が片付いたらってことで。」

「う、うそ。まさか、あの子と寝たの?」

「寝てないって。うちまでストーカーされただけだし。」     
   
「大丈夫なの?キラが心配。」

「だからまた生存確認のモーニングコールして?ね?」

耳たぶを甘咬みしてやれば、磨白の太ももが熱くなる。

無事に帰宅宣言をさせて、店外までのお見送りコースにて磨白のコアタイムが幕を閉じた。

「ねえキラ、お願い、バイバイのキスして?」

「教育指導で新人くんのモノをフェラったら口内に性病もらっちゃったんだけど、それでもいい?」

「…………」

磨白の目が死んでいる。俺の頭も身体も死にかけている。マジフラフラする。

ミウさんにいい子いい子してもらいたい気分。

 




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