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第一章:裏社会の片隅で
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伊吹は眉を寄せた。
「知らねぇか。三年前に玉鸞会から分裂した組だ。重岡耕造が組長やってる」
「分裂したのォ!? シゲちゃんが組長!?」
「一大組織の元・若をシゲちゃんとか言うな」
玉鸞会は、ミフユと伊吹が在籍した鳳凰組の、親組織と対立していた団体だ。
「つまり、そこから派生した彩極組っていうのも、敵さんなわけね」
「人の縄張りで勝手な真似したガキに、お灸を据えてやりてーだろ」
フンと笑いかけられて、今度はミフユが眉を顰めた。
「それで、なんでアタシんとこに来るのよ」
「『なんで』?」
すっと笑みを引っ込めた伊吹は、真剣な目でミフユを見据えた。
「俺とお前が組めばすぐ解決するからだろ」
「嫌よ」
「!?」
即答すると、断られるとは思わなかったのか鋭い目がぎょっと見開かれた。
「ああ!? なんでだよ!? うちの組がナメられてんだぞ。ほっとけねえだろうが!!」
「『うち』じゃないわ」
冷たく突っ返す。
ミフユは腕組みして、ピンと人差し指を立てた。
茫然としている伊吹に、懇々と説明する。
「いい?
過去がなんであれ、今のアタシは大冒険ってオカマバーで働いてるミフユなの。
ヤクザの抗争に明け暮れてた鳳凰組の如月美冬じゃない」
「何言って……お前は如月だろうが」
迷いもせずそう言う彼に、微かな憤りを感じた。
「過去の自分とは決別したの。
――帰って。店の客でもないなら警察呼ぶわよ」
「おいっ!」
すっくと立ち上がって、路地裏を出る。
急いで後を追ってきた伊吹に腕を掴まれたが、半ば叩きつけるように振り払った。
「逃げんのか!」
「っさいわね! いいからほっといて――」
がなりつけた時、
「ま、ママ~!」
『!?』
二階からカンカンとヒールを鳴らしながら、キャメロンが鉄階段を下りてきた。
「知らねぇか。三年前に玉鸞会から分裂した組だ。重岡耕造が組長やってる」
「分裂したのォ!? シゲちゃんが組長!?」
「一大組織の元・若をシゲちゃんとか言うな」
玉鸞会は、ミフユと伊吹が在籍した鳳凰組の、親組織と対立していた団体だ。
「つまり、そこから派生した彩極組っていうのも、敵さんなわけね」
「人の縄張りで勝手な真似したガキに、お灸を据えてやりてーだろ」
フンと笑いかけられて、今度はミフユが眉を顰めた。
「それで、なんでアタシんとこに来るのよ」
「『なんで』?」
すっと笑みを引っ込めた伊吹は、真剣な目でミフユを見据えた。
「俺とお前が組めばすぐ解決するからだろ」
「嫌よ」
「!?」
即答すると、断られるとは思わなかったのか鋭い目がぎょっと見開かれた。
「ああ!? なんでだよ!? うちの組がナメられてんだぞ。ほっとけねえだろうが!!」
「『うち』じゃないわ」
冷たく突っ返す。
ミフユは腕組みして、ピンと人差し指を立てた。
茫然としている伊吹に、懇々と説明する。
「いい?
過去がなんであれ、今のアタシは大冒険ってオカマバーで働いてるミフユなの。
ヤクザの抗争に明け暮れてた鳳凰組の如月美冬じゃない」
「何言って……お前は如月だろうが」
迷いもせずそう言う彼に、微かな憤りを感じた。
「過去の自分とは決別したの。
――帰って。店の客でもないなら警察呼ぶわよ」
「おいっ!」
すっくと立ち上がって、路地裏を出る。
急いで後を追ってきた伊吹に腕を掴まれたが、半ば叩きつけるように振り払った。
「逃げんのか!」
「っさいわね! いいからほっといて――」
がなりつけた時、
「ま、ママ~!」
『!?』
二階からカンカンとヒールを鳴らしながら、キャメロンが鉄階段を下りてきた。
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