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第四章:The Catcher in the "Lie"
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「うちと並んで歌舞伎を制している鳳凰が消えてくれれば、日本を牛耳ることさえ夢じゃない。
この計画で彩極組がトップになれば……僕は実質、この国の頂点に立つ。
日本でも麻薬王はやれるんですよ」
「こんなちっぽけな島国で、そんな大層なモンになったとして、何がしてぇんだよ……お前は」
こうして目論見を明かされても、伊吹には相手の言うことがさっぱりだった。
薬物で日本を制覇したとして、それがなんになるというのか。そもそも実現するとすら到底思えない、馬鹿げた話だ。
それでも水無月は何か明確な未来を思い描いているようで、本気か冗談かも分からない口ぶりで言う。
「そうだな。
王様にでもなった暁には……僕は、遥斗として、なんの心置きもなく生きていける。
僕が国のナンバーワンなんだから、『水無月春悟』を捨てたって誰も文句は言わないでしょう?
王者らしく女に高い酒を注がせて、万札で扇がれながら高笑いでもしてやりましょうかね。歌舞伎町の中心で」
青写真を描きながら、水無月はぎりぎりと伊吹の首元を締め上げた。
「それが、お前らのせいで台無しだ……僕の正体がばれたらホストなんてやってられなくなる――言えよ、誰だ、誰を殺れば僕の遥斗を守れる!?」
「ったく、イカれてんな……っ」
そんなことのために自分の舎弟を手にかけたのかと。
ホストを続けたいがため、鳳凰組と真っ向から対立してでも秘密を知る全員の口封じをしたかったのかと、驚く。
「諦めろ……いまさらどうにかしようたって、無理だよ」
伊吹の言葉を聞き、すっと瞳を翳らせた水無月は。
震えていた拳をぴたりと止めて、平坦な声で応えた。
「……ああ、そうか。じゃお前はもういいや」
さっきからずっと藻掻いているが、拘束された手足はいっこうに解ける気配がない。
「死ね」
伊吹の首を掴み上げたまま、水無月が拳を振り上げた。
伊吹は苦い笑みを浮かべて、この苦境をどう乗り越えるかを探る。だが――思い当たる手段はない。自分に打てる手はなにも――。
そこへ。
「伊吹!!」
――二度と聞くことはないだろう、と諦めかけていた声が響いた。
「あっ! んもうっ、ちょっと! アタシの伊吹ちゃん勝手に押し倒さないでくれる!?」
「アホ……」
両手拳を顔の前で握り締め、くねっとシナを作った男に伊吹はぼそりと呟いた。『如月』と呟いたつもりだったので、あれ?と内心首をひねる。
「伊吹ちゃん、生きてる!?」
とにもかくにも、これ以上ないくらい心強い助っ人が現れた。
この計画で彩極組がトップになれば……僕は実質、この国の頂点に立つ。
日本でも麻薬王はやれるんですよ」
「こんなちっぽけな島国で、そんな大層なモンになったとして、何がしてぇんだよ……お前は」
こうして目論見を明かされても、伊吹には相手の言うことがさっぱりだった。
薬物で日本を制覇したとして、それがなんになるというのか。そもそも実現するとすら到底思えない、馬鹿げた話だ。
それでも水無月は何か明確な未来を思い描いているようで、本気か冗談かも分からない口ぶりで言う。
「そうだな。
王様にでもなった暁には……僕は、遥斗として、なんの心置きもなく生きていける。
僕が国のナンバーワンなんだから、『水無月春悟』を捨てたって誰も文句は言わないでしょう?
王者らしく女に高い酒を注がせて、万札で扇がれながら高笑いでもしてやりましょうかね。歌舞伎町の中心で」
青写真を描きながら、水無月はぎりぎりと伊吹の首元を締め上げた。
「それが、お前らのせいで台無しだ……僕の正体がばれたらホストなんてやってられなくなる――言えよ、誰だ、誰を殺れば僕の遥斗を守れる!?」
「ったく、イカれてんな……っ」
そんなことのために自分の舎弟を手にかけたのかと。
ホストを続けたいがため、鳳凰組と真っ向から対立してでも秘密を知る全員の口封じをしたかったのかと、驚く。
「諦めろ……いまさらどうにかしようたって、無理だよ」
伊吹の言葉を聞き、すっと瞳を翳らせた水無月は。
震えていた拳をぴたりと止めて、平坦な声で応えた。
「……ああ、そうか。じゃお前はもういいや」
さっきからずっと藻掻いているが、拘束された手足はいっこうに解ける気配がない。
「死ね」
伊吹の首を掴み上げたまま、水無月が拳を振り上げた。
伊吹は苦い笑みを浮かべて、この苦境をどう乗り越えるかを探る。だが――思い当たる手段はない。自分に打てる手はなにも――。
そこへ。
「伊吹!!」
――二度と聞くことはないだろう、と諦めかけていた声が響いた。
「あっ! んもうっ、ちょっと! アタシの伊吹ちゃん勝手に押し倒さないでくれる!?」
「アホ……」
両手拳を顔の前で握り締め、くねっとシナを作った男に伊吹はぼそりと呟いた。『如月』と呟いたつもりだったので、あれ?と内心首をひねる。
「伊吹ちゃん、生きてる!?」
とにもかくにも、これ以上ないくらい心強い助っ人が現れた。
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