【完結】新婚のオメガですが、旦那様が処女厨のため抱いてもらえません!

古井重箱

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第七章 愛の歌

39. 愛を伝えて ※

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 広々としたゲストルームのベッドの上で、アレス様は俺のシャツのボタンをゆっくりと外していった。その表情は壊れ物を扱っているかのように真剣そのものである。
 ぷちんと小さな音がして、最後のボタンが外された。シャツがはだけて、胸元がすうすうする。
 俺のベージュ色の乳首がツンと上を向いた。
 恥ずかしさが込み上げてくる。肩を震わせていると、アレス様が俺をぎゅっと抱きしめた。

「お辛いですよね。私に素肌を見せるのは」
「いえ。……いつかは、俺のすべてをアレス様に見てもらいたいと思っていたから」
「お召し物を脱がせてもよろしいですか?」
「はい……」
「失礼致します」

 アレス様の手によって、俺のシャツが取り去られていく。肩がむき出しになり、素肌があらわになった。コンプレックスの源であるベージュ色の乳首を隠してくれるものはもう何もない。
 俺はアレス様に上半身を晒した。
 アレス様は俺の裸をじろじろ眺めるような真似はしなかった。大きな手のひらを俺の肩に当てて、俺の体にできた氷鱗ひょうりんを溶かしてくれた。

「フィーラン殿。他に寒いところはありませんか」
「胸元がひんやりとします……」
「氷鱗ができていますね」

 俺は自分の上半身を見下ろした。
 乳首のすぐ近くに、半透明の氷鱗が張りついている。どうしたものかと戸惑っていると、氷鱗はビキビキと音を立てながら、ハイスピードで俺の皮膚を侵食していった。

「どうしよう。このままだと氷の柱になってしまう……っ!」
「フィーラン殿! いま助けます!」
「あっ」

 アレス様の指先が、乳首の近くにできた氷鱗に触れた。確かにぬくもりを受け取ったのに全然足りない。

「氷鱗が消えない……!?」
「アレス様、寒いです。もっとあっためて……」

 俺がねだると、アレス様は意を決したような表情になった。
 そして、俺の胸元に唇を寄せてきた。ちゅくっという音がして、俺の乳首の近くにできた氷鱗にアレス様の唇が触れた。
 そしてアレス様は、俺の肌を吸った。濡れた舌が氷鱗を舐め溶かしていく。
 初めて与えられた性感に俺は戸惑った。
 こんな口づけを何度も受けていたら勃起してしまう。

「アレス様……っ」
「フィーラン殿。熱が戻ってきましたか?」
「もっと……欲しいです」
「それでは……」

 アレス様が俺の小さな乳首を口に含んだ。温かな舌がねろりと動いて、俺の突起の輪郭をなぞる。アレス様はもう片方の指で、空いている方の乳首をいじった。

「あっ、あぁっ」
「フィーラン殿……。愛しています」
「俺の乳首……、ベージュ色だから……。地味ですよね。お嫌でしょう?」
「あなたの体に不快な部分などありません」

 きっぱりと言い切ると、アレス様は俺の乳首を夢中になってしゃぶった。体に浮かんだ氷鱗が浮かんでは消える。俺は小さな器官に与えられた刺激に翻弄された。甘いような苦しいような不思議な心地になる。
 ちゅぽんっと水音が立った。
 アレス様がようやく顔を上げた。その表情は決死の戦いに挑む騎士のように真剣である。

「私を許さないでください。氷鱗病の治療にかこつけて、あなたの純潔を汚すような真似をしてしまいました」
「まだそんなことを言ってるんですか? 俺ね、体は確かに未通かもしれないけど、アレス様といやらしいことがしたくて頭の中がパンパンになってるんだから。俺の純潔なんてものは、そもそも最初から存在していないんですよ!」

 俺はアレス様に抱きついた。
 そして、アレス様の腹部にできた氷鱗を手のひらで撫でた。アレス様の引き締まった腹筋が上下している。温かい。

「俺たち、生きてますね」
「はい……」
「この病、きっと乗り越えられますよ! 俺たちの愛があれば……」

 アレス様が俺の唇を吸った。
 ちゅくり、ちゅくっと粘ついた音が俺の耳にまとわりつく。ねっとりとしたキスに身を委ねているうちに、俺の体に異変が起きた。
 性器が兆してしまった。

「あっ、あの。これは……アレス様とのキスがあまりにも嬉しくて」
「感じてくださったのでしょう。私は幸せ者ですね」
「どうしよう……」
「そのままでは苦しいでしょう?」

 アレス様はそっと俺のペニスに触れた。
 自分の右手しか知らなかった肉棒が愛しい人の愛撫を受けて、ビンビンと硬くなっていく。先端はぐずぐずに濡れていた。アレス様は俺の先走りが指に絡みついてきても、嫌な顔ひとつせず手を動かしている。
 にちにちという水音と俺の嬌声が重なった。

「アレス様……、気持ち、いいです……」
「よかった。私もあなたに触れることができて嬉しいです」
「俺たち、遠回りはしたけど……両想いですよね?」
「もちろん」

 アレス様がかがみ込んだ。
 何をするのかと思えば、なんとアレス様は俺の竿にちゅっと口づけた。そして舌を小刻みに動かして、俺の性器のあちらこちらを舐めていった。裏筋をたどられた瞬間、腰の奥がぐらりと茹だった。

「だ、ダメです! 出ちゃいます」
「どうぞ放ってください」
「あぁっ、ひ、ぅ……っ。アレス様ぁ。俺、どうしよう。もう……限界ですっ」
 
 アレス様が俺の亀頭を飲み込んだ。そして、手のひらで竿をさすった。
 いいところを同時に責められて、俺は窮地に陥った。喉から変な声ばかり出る。腰も揺れてしまう。まるで快楽をねだるかのように。
 俺、すごく淫乱じゃないか?
 このままじゃアレス様に嫌われてしまう。

「アレス様……、きらいにならないで……」
「何を言ってるんですか。愛しさが募る一方ですよ。あなたは感じやすくて、反応も可愛らしい。私はどうにかなってしまいそうだ……」
「あぁーっ! あーっ!」

 アレス様が俺のカリに口づけた。
 その瞬間、爆発的な快楽が込み上げてきて、俺はペニスの先端から白い矢を放った。どろりと濃くて温かいものがアレス様の顔に吹きかかる。アレス様は満足そうに俺の精液を舐めて、嚥下えんげした。
 体が熱い。
 全身を見渡しても、氷鱗はできていない。

「治ったのかな?」
「神官の話では三日三晩、温め合わねばならないとのことでした」
「じゃあ、まだ始まったばかりですね」

 その時、部屋がノックされた。
 俺は掛け布団をたぐり寄せて、素肌を隠した。

「失礼致します。お着替えと食事を持って参りました」

 サロンで王妃様に仕えていた侍女の声だった。

「お疲れ様です。中へどうぞ」
「失礼致します」

 侍女は入室すると、食べ物が積まれたワゴンと着替えが入ったかごを置いた。

「お風呂の準備もよろしいでしょうか?」
「お願いします」

 ゲストルームの隣の浴室に、侍女の姿が消えていく。
 俺とアレス様はベッドの上で、侍女が戻ってくるのを待った。

「お邪魔致しました。他に必要なものがありましたら、呼び鈴を鳴らしてください」
「ありがとうございます」
「助かりました」

 侍女が去っていった。
 再びふたりきりになった俺たちはキスを交わした。

「フィーラン殿。お腹が空いていませんか?」
「少し……」
「では何かつまむと致しましょう」

 アレス様がワゴンからフルーツの盛り合わせを持ってきた。俺はブドウを口に含んだ。ベッドの上で食べ物を口にするのは初めてだ。

「アレス様。これってお行儀が悪いでしょうか?」
「非常事態ですからね。いいんじゃないですか」

 栄養補給を終えてホッとしていると、アレス様の腹部にまたしても氷鱗が浮かんできた。
 俺はアレス様のよく鍛えられた腹部にできた氷鱗に口づけた。舌に冷気が突き刺さる。でも、こんなのは苦しみのうちには入らない。俺はちゅっちゅっと音を立てながら唇を押し当てて、氷鱗を溶かしていった。
 やがて氷鱗が消えた。

「よかったですね! アレス様。他に辛い箇所はありませんか?」

 俺が訊ねると、アレス様は目を伏せた。

「……フィーラン殿。申し訳ありません」
「なんで謝るんですか? ……あっ」

 気がつけばアレス様の性器がすっかり上を向いていた。堂々とそそり立ったモノは猛々しくて、俺は思わず唇を震わせた。優しくて真面目なアレス様が、こんなにも雄々しすぎる逸物をお持ちだったなんて。
 アレス様のペニスの先端からは透明な糸がじゅくじゅくと垂れている。アレス様の顔を見上げれば、頬はもちろん、耳まで真っ赤に染まっていた。

「己の浅ましさが嫌になる……。フィーラン殿、私を軽蔑してください」
「軽蔑なんてするわけないでしょ。性的なこともアレス様を形づくっているものなんだから。俺はあなたを丸ごと愛してます!」
「……あなたはどこまでもお優しい」
「アレス様、恥ずかしがらないで。俺に任せてください」

 俺は膨らみきったアレス様のペニスに指を這わせた。
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