薬師なモブのはずですが、呪われ王子が離してくれません

東川 善通

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一章

ここはゲームの世界のようだった

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 毎日毎日残業で体を擦り減らし、対人関係で精神を擦り削られ、ボロボロだった私の癒しはゲームだった。特に金髪紅眼の美少年ギウ君がツボッた。決して、ショタコンじゃないよ。二段階目の進化のあの偉そうだけど民を人を慈しんでるところなんて最高だから。そして、一段階目でも二段階目でもちょっとバカなことをするところもイイんだよ。
 そんな私はとある乙女ゲームに出会った。好みの金髪紅眼の青年がいたんだよ! ギウ君をそのまま素直に大人にしたようなそんな感じの子が!!! 惹かれないわけがないでしょう! 速攻購入いたしました、はい。
 が、しかし、これ『君が王にする~奇跡はその手から花開く~』はとんでもないゲームだった。最初はそのね、乙女ゲーらしかったのよ。でも、途中から王様育成ゲームに切り替わる。マジで、何これよ。つまり、推しは前半で捕まえなきゃいけない。さらにクソなのが、主人公のステータス(魔法適性)がランダムだってこと。名前がランダムになるとかだったら別にと思ったところだよ。
 しかも、ステータスが関係ないのなら問題はないのだが、関係がありすぎて大問題なのだ。何故か、それはステータスによって出会える王子が違うから。
 何度も恋愛パート終わりまでやって推しに出会えなかった私は攻略サイト叡知の書を見てそれを知った。その時の私の主人公のステータスでは出会うことが出来なかったのだ。

「クソゲーかよ!」

 ゲーム機を投げ捨てた。途中まで出会えるだろうと頑張ってた私の頑張りを返せ。出るステータスまでリセットしまくる気力もなく、私はスマホを取り出しいつものゲームを起動、美少年に癒されることにした。え、通称『キミガオ』と呼ばれたあの乙女ゲームは箱の底に沈みましたが、なにか。




 何故、今、あのゲームを思い出してしまったのか。よくない気配がビンビンする。パチパチと瞬きをする私。目に入るのは知らない天井。そして、知らない男女。

「アデリタは今日も可愛いわね」
「当然だろう、俺と君の子だぞ」

 いやー、これはもしかしなくても、もしかするのでは。アデリタというのが、今の私の名前か。発音的にも外国風。ここは日本ではないということだな。いや、そもそも、両親と思われる男女を見ても日本ではないことは分かる。さらに言えば、外国でもないね! だって、母親(暫定)は紺碧の髪に緑の目だし、父親(暫定)は桑色の短髪に小麦色の目をしている。日本やその外国では見られない色合い。言うなれば、異世界ならあり得る色合い。
 私、死んだのか。乗り移ってしまったのか。それはわからないけれど、この世界に来てしまったのは間違いないのだろう。

「にしても、まさか、金色の目を持つとはなぁ」

 おっとまさか、これは不貞疑惑なのでは?? 私、不遇の子なのか??

「ふふ、神様がきっとこの子に幸せになってほしいと思ってるのよ」

 ?? え、目の色が違うことがあるんです?? そういう世界なのかな? とりあえず、大きくなって自分で探れるようになるまではこの両親の言葉などを聞いて推測する他ないね。
 赤ん坊として過ごしているうちに理解したわけだが、この世界にはなんとというかやはりというか魔法があるらしい。やったね!! にしても、ね、ホント、魔法適性とかそういうの聞くとゲームの世界みたいだな。いやーな気配がビンビンするけど、気のせいだよね!! 気のせいであって欲しいな!
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