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風邪を引いて寝込んでました

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 一昨日の魔法の鍛錬で風邪を引き、寝込んでいた俺は、体調もだいぶ回復した現在、ナクサスにブツブツ言われている最中である。

「はぁぁぁ、魔法の鍛錬で風邪を引くなんて、弱すぎでしょう。弱すぎ」

 ナクサスは文句を言いながらも、換気の為、窓と扉を開け、かいがいしく世話を焼いてくれる。

 熱があった昨日は、黙ってメイド達に的確な指示を出し、1日、俺の看病に当たってくれた。いい奴なんだよな。基本的には。
 でも、これ以上グチグチ言われるのはたまらん。
 ベッドに寝ていた俺は寝返りを打ち、ナクサスに背をむけた。

「俺は病人なんだぞ、少しは労れ」
「自分から労れという病人がどこにいますか?」
「濡れた服で飛行してきたんだぞ。風邪引くだろ」
「はぁ、貴方はアホですか?」

 とうとうナクサスこいつ、俺のこと「アホ」って言ったな!
 減給だ! 減給! 王子をアホ呼ばわりするなぁ。

「あのですねぇ、服が濡れているなら、乾かせばよいでしょう? 服を乾かすくらいの炎なら、少しの魔力で出せたでしょうに」
「……あ」
「はぁぁ、何でバカ正直に濡れたまま飛んできたのか……」

 心底、呆れました。と言わんばかりの大きなため息を1つ。

「そ、そこまで、頭が回らなかったんだよっ」

 俺はナクサスの方を向き直り、少しばかりの反抗をしたが、すぐに返り討ちに合う。

「だから、なんで回らないのですか? 風邪引いて寝込むなんて、情けない」

 うるせーーー死を逃れるのに必死だったんだよっ!
 お前もあの恐ろしい鍛錬受けてみろ、誰でもそこまで頭が回らな……

「ジェスター様はソツなくこなしたというのに……」

 ……撃沈。

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