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風邪を引いて寝込んでました

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「ああ、心配かけて、悪かった。ミカエルとジェスターは?」
 
 キョロキョロと周りを見渡すが、部屋にはクラリス、ナクサスと数人のメイドが控えているだけで、ミカエルもジェスターも姿は見えなかった。
 
 おかしい……あいつらが、クラリス1人を見舞いに来させる訳がない。どっかに隠れているのか? 

「私の勉強が終わる時間がわからなかったので、ジェスター様には声をかけませんでした。出かける時、ミカエルは別件で出ておりまして……すみません。親友の2人にも来てほしかったですよね」

 クラリスは、少し困ったような申し訳無さそうな顔をした。

 えっ? 本当に? 
 クラリスは1人で来た? 
 あの2人はこの事を知らない? 
 ってことは、今日は邪魔は入らないって事だよな? だよな? あってるよな?

 最近、邪魔ばかりされているせいで、疑り深くなっている俺は頭の中で何度も何度も確認をする。

「今から、連絡しますか?」
「いや、あの2人も忙しいだろうから……」
「あとで、なんで言わなかったの、なんて言われないかしら?」

 いやいや。言わない。言わない。言わせない。むしろ、連絡なんてしないでくれ!

 2人に連絡をするのを諦めるような自然な言い回しはないものかと考えあぐねていた俺。それを横目で見ていたナクサスが、ふぅと小さく息を吐き、クラリスにニコリと微笑みかけた。

「クラリス様。お話し中、失礼いたしますが、そちらの箱は何でしょうか?」
「あ、そうなの!」

 部屋に入ってきた時にテーブルに置いた箱について質問されると、クラリスは思い出したかのように両手を胸の前でパンッと叩き、持ってきた箱を膝の上に置く。
 すっかり2人の事から話題はそれた。

 ……助かった。

 俺はクラリスの目を盗んで、安堵の吐息をもらす。
 
 ナクサス、よくやった。
 特別手当、奮発しちゃうぞ。
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