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風邪を引いて寝込んでました
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クラリスは膝の上に置いた箱を開ける。中には、片手で持てるくらいの大きさのガラスのコップが3つ。
「アルベルト様。食欲はございますか? 私、食欲がなくても食べられるかと、ゼリーを作ってきましたの」
「ゼリー?」
「お嫌いでしたか?」
「いや……えっ? クラリスが作ったのか?」
「はい。調理の者が今日は里帰りしていたもので。本当なら、牛乳寒天とかの方が栄養があっていいのですけど……」
「ギュウニュウカンテン?」
「あ、いえ、なんでもございません。ゼリー食べますか?」
クラリスの手作り!?
公爵令嬢が調理場に立ってゼリーを作るなんて聞いたことないけど……嬉しい。
クラリスは箱からグラスを1つ取り出した。
「りんごで作りましたの。アルベルト様どうぞ。ナクサスも良かったら……」
「クラリス様、この私めにもいただけるなんて、ありがたい事です」
「大袈裟だわ、ナクサス」
クラリスは楽しそうにクスクス笑った。
俺はクラリスから手渡されたゼリーをジッと見つめる。
りんごのコンポートまで入ってる……令嬢がゼリーを作ることだって、本当はあり得ないのに……手間隙かけてくれたんだな……今、忙しいのにさ。
胸の奥から、キュンと音が聞こえた気がした。
ホント、もう……そういうとこな……
すぐに食べるのがもったいなくて、手のひらに乗った小さな重みに幸せを噛みしめていると、それに気づいたクラリスがとんでもない事を言い出した。
「アルベルト様。食欲はございますか? 私、食欲がなくても食べられるかと、ゼリーを作ってきましたの」
「ゼリー?」
「お嫌いでしたか?」
「いや……えっ? クラリスが作ったのか?」
「はい。調理の者が今日は里帰りしていたもので。本当なら、牛乳寒天とかの方が栄養があっていいのですけど……」
「ギュウニュウカンテン?」
「あ、いえ、なんでもございません。ゼリー食べますか?」
クラリスの手作り!?
公爵令嬢が調理場に立ってゼリーを作るなんて聞いたことないけど……嬉しい。
クラリスは箱からグラスを1つ取り出した。
「りんごで作りましたの。アルベルト様どうぞ。ナクサスも良かったら……」
「クラリス様、この私めにもいただけるなんて、ありがたい事です」
「大袈裟だわ、ナクサス」
クラリスは楽しそうにクスクス笑った。
俺はクラリスから手渡されたゼリーをジッと見つめる。
りんごのコンポートまで入ってる……令嬢がゼリーを作ることだって、本当はあり得ないのに……手間隙かけてくれたんだな……今、忙しいのにさ。
胸の奥から、キュンと音が聞こえた気がした。
ホント、もう……そういうとこな……
すぐに食べるのがもったいなくて、手のひらに乗った小さな重みに幸せを噛みしめていると、それに気づいたクラリスがとんでもない事を言い出した。
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