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風邪を引いて寝込んでました

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「アルベルト様、本当に大丈夫ですか?」
「お、おう。大丈夫、だ。それより、ゼ、ゼリー、食べたいのだが……」

 照れているのを悟られないよう、あらぬ方向を見ながら、クラリスに伝えた。が、どうしても声に緊張していることが出てしまう。

「まぁ、良かった。食欲はあるのですね」

 俺の緊張も何のその、気にせずニコッと微笑むクラリス。
 
 たまには、鈍感も役に立つもんだ。

 クラリスはりんごのゼリーにスプーンをスッと入れ、一口分をすくう。

「はい、どうぞ。アルベルト様」

 俺はぎこちなくも口をあけ……

 こ、これが、男の夢「あ~ん」ってやつだな。
 婚約者なんだし……いいよな?
 
「あ~……ん?」

 目の端にここにいないはずの人物達が映る。


「アルベルト、大丈夫?」
「見舞い買ってきたぞ」

 ゼリーが口に入る、まさに直前、ミカエル、ジェスターの悪魔のような声とともに、メイドに先導された2人が元気よく部屋に入ってきたのだ。
 クラリスは無意識にゼリーの乗ったスプーンを手元に戻し「あら……」と呟く。

「な……んで……」

 俺は呆然とし、言葉が出ない。出す元気もない。
 片手を額に当て、苦悩する。

 お前ら…………なんだこのタイミング。
 なんで、来たんだよ……

「王子がジェスター様とミカエル様にも会いたそうでしたので、早馬を出しておきました」
「まぁ、ナクサス、さすがね」
「お褒めいただき恐縮です」

 ナクサスが澄ました顔で説明しているのが聞こえ、頭の中でぐるぐる回っていた俺の疑問は氷解した。
 恨みがましくナクサスを見るが、ナクサスはどこ吹く風で、無表情で控えている。

 お前ーーーー給料引くぞ!
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