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お出掛けすることになりました
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まず、クラリスは文具店に行くといった。
少し古びた感じの店に連れて行かれ、クラリスは気さくに「こんにちはぁ」と扉を開ける。
「いらっしゃい」
店内も外観に負けず、年季が入っていたが、そこがまた懐かしい気分にさせてくれ、置いてある品物も質が良い物が揃えられていた。なかなか良い店である。
店の奥に座っていた眼鏡をかけたじいさんが顔を上げ、クラリスを見て笑いかける。
「おや、嬢ちゃん、彼氏連れてきたのかい?」
「やだぁ、おじいさん。彼氏じゃないわ。友達よ」
クラリスは親しげにそのじいさんと話し出す。
たぶん、この様子だと、じいさんはクラリスが公爵令嬢だとは知らないみたいだ。
じいさんは俺のことをジロジロ見ては「友達のう」とつぶやく。
と、友達で悪いかっ! 本当は婚約者だけどな!
「よく来るのか?」
俺はクラリスにコソッと質問すると、ふふっと笑い「お気に入りのお店です」と答えた。
「素敵なお店ですよね。アンティークぽくって」
「ジェスターのプレゼントは決まってるのか?」
「あ、はい。もう、注文してあって、今日は受け取りにきました。えへへ、万年筆、名入れですよ」
あれ? それって……俺の誕生日にもくれた……
「うふふ、アルベルト様とお揃いの万年筆です。17歳の誕生日は特別ですから。ミカエルにも誕生日はお揃いにするつもりです。3人は仲良しさんですもの」
目をクリクリッとさせ「それぞれの瞳の色に合わせたんですよ」と、満足気に説明する。
ああ、そう言えば、俺の万年筆はブラウンだったな。
恋敵3人お揃いかぁ。
なんとなく複雑な気分でいると、クラリスはじいさんから品物を受け取り、中身を確認し、大事そうにバッグにしまった。
「また、お願いしますね!」
「嬢ちゃん、わしの孫が嬢ちゃんに惚れとるで、今度、孫がいる時に来てやってくれ」
惚れとるで……って、なに、シャラっと孫を売り込んでいるんだよ!
「はぁい」
クラリスはニコニコと返事をする。
はぁい……じゃないぞ。お前……
俺がクラリスに事情を聞こうとすると、じいさんが俺の顔を見て、
「友達、なんじゃろう?」
自分の顎髭をさすりながらニヤリと笑う。
なんで、俺、初対面のじいさんに牽制されてるんだよぉ。
そんな俺達のやり取りにまったく気づかないクラリスは、商品を見ながら店内を1周し、俺の隣にきて、にっこり笑う。
「アルベルト様、行きましょう。おじいさん、ありがとうございました。また、来ますね!」
「嬢ちゃん、またな」
俺もペコリとお辞儀をして、クラリスと一緒に店をでて、2人で並んで歩き始めた。俺はクラリスの事をチラチラ見ながら、気になって仕方ない事を聞いてみる。
「クラリス、あのじいさんの孫と仲いいのか」
「はい、会ったら、遊びますし。この間なんか、ほっぺにチューして」
「チ、チ、チューだと!?」
はぁ!? なんだ、そいつはっ! 王子の婚約者に手を出すなんて、許すまじ。
「はい! かわいいですよね」
「へっ? かわいい?」
「先日、5歳になったんですって!」
「…………じいさんの孫って5歳……なの……か?」
俺は安堵のため息とともに軽い腹立ちを覚える。
くっそー、あのじいさんにからかわれたっ。
いや、待てよ……あのじいさん、本気でクラリスと孫をくっつけるつもりだったりして……なんて…な。ははは……俺もさすがに5才児にヤキモチやいたりは……チッ、ほっぺにチューかよ。
俺は、頭に浮かんだ嫌な考えとじいさんのニヤリとした顔を払うため、頭を横に振り続けた。
少し古びた感じの店に連れて行かれ、クラリスは気さくに「こんにちはぁ」と扉を開ける。
「いらっしゃい」
店内も外観に負けず、年季が入っていたが、そこがまた懐かしい気分にさせてくれ、置いてある品物も質が良い物が揃えられていた。なかなか良い店である。
店の奥に座っていた眼鏡をかけたじいさんが顔を上げ、クラリスを見て笑いかける。
「おや、嬢ちゃん、彼氏連れてきたのかい?」
「やだぁ、おじいさん。彼氏じゃないわ。友達よ」
クラリスは親しげにそのじいさんと話し出す。
たぶん、この様子だと、じいさんはクラリスが公爵令嬢だとは知らないみたいだ。
じいさんは俺のことをジロジロ見ては「友達のう」とつぶやく。
と、友達で悪いかっ! 本当は婚約者だけどな!
「よく来るのか?」
俺はクラリスにコソッと質問すると、ふふっと笑い「お気に入りのお店です」と答えた。
「素敵なお店ですよね。アンティークぽくって」
「ジェスターのプレゼントは決まってるのか?」
「あ、はい。もう、注文してあって、今日は受け取りにきました。えへへ、万年筆、名入れですよ」
あれ? それって……俺の誕生日にもくれた……
「うふふ、アルベルト様とお揃いの万年筆です。17歳の誕生日は特別ですから。ミカエルにも誕生日はお揃いにするつもりです。3人は仲良しさんですもの」
目をクリクリッとさせ「それぞれの瞳の色に合わせたんですよ」と、満足気に説明する。
ああ、そう言えば、俺の万年筆はブラウンだったな。
恋敵3人お揃いかぁ。
なんとなく複雑な気分でいると、クラリスはじいさんから品物を受け取り、中身を確認し、大事そうにバッグにしまった。
「また、お願いしますね!」
「嬢ちゃん、わしの孫が嬢ちゃんに惚れとるで、今度、孫がいる時に来てやってくれ」
惚れとるで……って、なに、シャラっと孫を売り込んでいるんだよ!
「はぁい」
クラリスはニコニコと返事をする。
はぁい……じゃないぞ。お前……
俺がクラリスに事情を聞こうとすると、じいさんが俺の顔を見て、
「友達、なんじゃろう?」
自分の顎髭をさすりながらニヤリと笑う。
なんで、俺、初対面のじいさんに牽制されてるんだよぉ。
そんな俺達のやり取りにまったく気づかないクラリスは、商品を見ながら店内を1周し、俺の隣にきて、にっこり笑う。
「アルベルト様、行きましょう。おじいさん、ありがとうございました。また、来ますね!」
「嬢ちゃん、またな」
俺もペコリとお辞儀をして、クラリスと一緒に店をでて、2人で並んで歩き始めた。俺はクラリスの事をチラチラ見ながら、気になって仕方ない事を聞いてみる。
「クラリス、あのじいさんの孫と仲いいのか」
「はい、会ったら、遊びますし。この間なんか、ほっぺにチューして」
「チ、チ、チューだと!?」
はぁ!? なんだ、そいつはっ! 王子の婚約者に手を出すなんて、許すまじ。
「はい! かわいいですよね」
「へっ? かわいい?」
「先日、5歳になったんですって!」
「…………じいさんの孫って5歳……なの……か?」
俺は安堵のため息とともに軽い腹立ちを覚える。
くっそー、あのじいさんにからかわれたっ。
いや、待てよ……あのじいさん、本気でクラリスと孫をくっつけるつもりだったりして……なんて…な。ははは……俺もさすがに5才児にヤキモチやいたりは……チッ、ほっぺにチューかよ。
俺は、頭に浮かんだ嫌な考えとじいさんのニヤリとした顔を払うため、頭を横に振り続けた。
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