105 / 125
隣国王子がやってきました
9
しおりを挟む
こんな事態にならない為に今まで頑張ってきたのに、なんでこうなっちゃたんだよ……
俺は失意のどん底の中、王宮に帰り着くと、学園から先に帰ってきていたのかセドニー王子を見かける。俺は背筋を伸ばし、声をかけた。
「セドニー王子、学園体験お疲れ様でした」
「アルベルト王子、ありがとうございます。クラリスとお話中でしたので、先に帰ってきてしまいましたが……」
相変わらずのアルカイックスマイルなのだが、どことなく声が浮かれているように聞こえ、俺は唇を噛む。
「それは構いません。それより、明日はクラリスと出かけるそうですね?」
視線に「クラリスに手を出すな」という思いを込めるが、王子は気づいているのかいないのか、楽しそうに話し始めた。
「クラリスから聞いたんですか? 明日、デートします。クラリスは優しくていい子ですね」
「もちろんです。私の婚約者ですから」
「ああ、そうでしたね。でも、婚約者を名乗っていられるのも今日が最後かもしれませんよ?」
王子は碧い瞳に含みを持たせ、クスリと笑うと「では……」と俺の前から去っていく。
俺はしばらくその場に立ち尽くしていたが、自分の頬をパシンッと叩き、気合いを入れ直す。
俺がどれくらい長い間、想い続けていると思うんだ……そんじゃそこらの恋じゃないんだぞ。他の男に取られてたまるか!
……というわけで、俺は今、公園の木の陰に隠れてクラリスとセドニー王子を見張っている。
一国の王子がコソコソと人のデートについていくなんて、ナクサスが知ったら、情けない……と大泣きするかも。でも、しょうがないだろー! 国の外交だの、王族の掟だの、暗黙の了解だの色々とあるんだから!! 俺が動くのが一番手っ取り早いんだよっ。
そして、どこで聞きつけたのか、ジェスター、ミカエルも一緒にコソコソしていて……傍から見たら、男3人何してんの?って思われてそうだ……
今日は真夏の太陽が戻ってきたのかと思うような暑さで、公園から見える海に太陽光がギラギラ反射して眩しい。クラリスはアイボリーの半袖ワンピースに同じカラーの帽子をかぶり、胸にはザラのペンダント……さぁ、虫よけのペンダントよ、思う存分発動しちゃって下さい……って発動しないのかよっ!
あーあ、なんか楽しそうに笑ってるなぁ……
クラリス達はあちこちの店を楽しそうに覗いていた。お店に気を取られていたクラリスが段差につまづき、王子がクラリスの腰に手を回し、転ぶのを防ぐ。クラリスは恥ずかしそうに王子にペコリペコリと何度も謝り……
ガタンッ
俺の頭に血がのぼるよりも先に、苛立ったジェスターが壁を叩き、その振動で近くに積んであった木箱が倒れる。普段のジェスターからは想像できない行動に俺もミカエルも怒りより先に驚いてしまう。「ごめん」と謝罪するジェスターと3人で木箱を直す。
なにやってんだろう……俺達。
俺は失意のどん底の中、王宮に帰り着くと、学園から先に帰ってきていたのかセドニー王子を見かける。俺は背筋を伸ばし、声をかけた。
「セドニー王子、学園体験お疲れ様でした」
「アルベルト王子、ありがとうございます。クラリスとお話中でしたので、先に帰ってきてしまいましたが……」
相変わらずのアルカイックスマイルなのだが、どことなく声が浮かれているように聞こえ、俺は唇を噛む。
「それは構いません。それより、明日はクラリスと出かけるそうですね?」
視線に「クラリスに手を出すな」という思いを込めるが、王子は気づいているのかいないのか、楽しそうに話し始めた。
「クラリスから聞いたんですか? 明日、デートします。クラリスは優しくていい子ですね」
「もちろんです。私の婚約者ですから」
「ああ、そうでしたね。でも、婚約者を名乗っていられるのも今日が最後かもしれませんよ?」
王子は碧い瞳に含みを持たせ、クスリと笑うと「では……」と俺の前から去っていく。
俺はしばらくその場に立ち尽くしていたが、自分の頬をパシンッと叩き、気合いを入れ直す。
俺がどれくらい長い間、想い続けていると思うんだ……そんじゃそこらの恋じゃないんだぞ。他の男に取られてたまるか!
……というわけで、俺は今、公園の木の陰に隠れてクラリスとセドニー王子を見張っている。
一国の王子がコソコソと人のデートについていくなんて、ナクサスが知ったら、情けない……と大泣きするかも。でも、しょうがないだろー! 国の外交だの、王族の掟だの、暗黙の了解だの色々とあるんだから!! 俺が動くのが一番手っ取り早いんだよっ。
そして、どこで聞きつけたのか、ジェスター、ミカエルも一緒にコソコソしていて……傍から見たら、男3人何してんの?って思われてそうだ……
今日は真夏の太陽が戻ってきたのかと思うような暑さで、公園から見える海に太陽光がギラギラ反射して眩しい。クラリスはアイボリーの半袖ワンピースに同じカラーの帽子をかぶり、胸にはザラのペンダント……さぁ、虫よけのペンダントよ、思う存分発動しちゃって下さい……って発動しないのかよっ!
あーあ、なんか楽しそうに笑ってるなぁ……
クラリス達はあちこちの店を楽しそうに覗いていた。お店に気を取られていたクラリスが段差につまづき、王子がクラリスの腰に手を回し、転ぶのを防ぐ。クラリスは恥ずかしそうに王子にペコリペコリと何度も謝り……
ガタンッ
俺の頭に血がのぼるよりも先に、苛立ったジェスターが壁を叩き、その振動で近くに積んであった木箱が倒れる。普段のジェスターからは想像できない行動に俺もミカエルも怒りより先に驚いてしまう。「ごめん」と謝罪するジェスターと3人で木箱を直す。
なにやってんだろう……俺達。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!
にのまえ
恋愛
すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。
公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。
家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。
だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、
舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。
裏切られた令嬢は、30歳も年上の伯爵さまに嫁ぎましたが、白い結婚ですわ。
夏生 羽都
恋愛
王太子の婚約者で公爵令嬢でもあったローゼリアは敵対派閥の策略によって生家が没落してしまい、婚約も破棄されてしまう。家は子爵にまで落とされてしまうが、それは名ばかりの爵位で、実際には平民と変わらない生活を強いられていた。
辛い生活の中で母親のナタリーは体調を崩してしまい、ナタリーの実家がある隣国のエルランドへ行き、一家で亡命をしようと考えるのだが、安全に国を出るには貴族の身分を捨てなければいけない。しかし、ローゼリアを王太子の側妃にしたい国王が爵位を返す事を許さなかった。
側妃にはなりたくないが、自分がいては家族が国を出る事が出来ないと思ったローゼリアは、家族を出国させる為に30歳も年上である伯爵の元へ後妻として一人で嫁ぐ事を自分の意思で決めるのだった。
※作者独自の世界観によって創作された物語です。細かな設定やストーリー展開等が気になってしまうという方はブラウザバッグをお願い致します。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
見た目は子供、頭脳は大人。 公爵令嬢セリカ
しおしお
恋愛
四歳で婚約破棄された“天才幼女”――
今や、彼女を妻にしたいと王子が三人。
そして隣国の国王まで参戦!?
史上最大の婿取り争奪戦が始まる。
リュミエール王国の公爵令嬢セリカ・ディオールは、幼い頃に王家から婚約破棄された。
理由はただひとつ。
> 「幼すぎて才能がない」
――だが、それは歴史に残る大失策となる。
成長したセリカは、領地を空前の繁栄へ導いた“天才”として王国中から称賛される存在に。
灌漑改革、交易路の再建、魔物被害の根絶……
彼女の功績は、王族すら遠く及ばないほど。
その名声を聞きつけ、王家はざわついた。
「セリカに婿を取らせる」
父であるディオール公爵がそう発表した瞬間――
なんと、三人の王子が同時に立候補。
・冷静沈着な第一王子アコード
・誠実温和な第二王子セドリック
・策略家で負けず嫌いの第三王子シビック
王宮は“セリカ争奪戦”の様相を呈し、
王子たちは互いの足を引っ張り合う始末。
しかし、混乱は国内だけでは終わらなかった。
セリカの名声は国境を越え、
ついには隣国の――
国王まで本人と結婚したいと求婚してくる。
「天才で可愛くて領地ごと嫁げる?
そんな逸材、逃す手はない!」
国家の威信を賭けた婿争奪戦は、ついに“国VS国”の大騒動へ。
当の本人であるセリカはというと――
「わたし、お嫁に行くより……お昼寝のほうが好きなんですの」
王家が焦り、隣国がざわめき、世界が動く。
しかしセリカだけはマイペースにスイーツを作り、お昼寝し、領地を救い続ける。
これは――
婚約破棄された天才令嬢が、
王国どころか国家間の争奪戦を巻き起こしながら
自由奔放に世界を変えてしまう物語。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる