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講師 ―コウシ―
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しおりを挟む入学式は学園長の挨拶から始まった。
ほぼどうでもいい内容である学園長の話を聞き流しながら、ローザと初めて会ったあの日の事を苦々しく思い出す。
なぁにが、人見知り、だ。
なぁにが、勇気を出して声を掛けた、だ。
僕と平然と渡り合う度胸があるくせに。
今だって、新入生代表の挨拶をしなくてはいけない僕がクラリスと離れた途端、待ってましたと言わんばかりにローザはクラリスの隣に座り、人見知りだと言いながらもニコニコと手を繋いでいる。
最近、令嬢達の間では仲の良さをアピールする為、手を繋ぐのが流行っているとかいないとか。
…………気に入らないな。
顔には出さないが、心の中では不愉快全開の僕に好戦的な笑みを見せるローザ。
ほんっっとうに腹立たしい。
すぐにでもクラリスの側に行ってローザを牽制したいのに、立場上この場から離れられない事にやきもきする。
いつになったら学園長の話は終わるんだ……と半ば呆れ気味に学園長に目をやった。
……あれ?
ふと違和感を覚える。
式は順調に進んでいるはずなのに、教師達が緊張しているのだ。
僕は周りの様子を慎重に窺うが、変わった事はないように思えた。
壇上にいる学園長の話を生徒達があくびを噛み殺しながら聞いている光景。
普通。いや、学園長の話の長さは普通じゃないが。でも、それは今に始まった事じゃないだろうし。
では、なぜ教師達が緊張している? よくよく観察をすると学園長が一番緊張している。
なんだろう……何だかおかしい。
何かが起こる前触れだろうか……
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