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番外編章
【番外編】俺とコムギの、あの日の披露宴 前編
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※番外編『結婚式は秋風の中』でカットした披露宴中の話のため、本編の第三章後のエピソードです。三章までの内容に触れています
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俺とコムギの結婚式には披露宴があり、それは天界で行なわれる。
ただし、さすがに巫女ではない普通の人間を天界に沢山連れていくのは障りがあるとバージルが言っていた。
だから下界は下界で披露宴を控えめに行ない、その後に天界へと向かうことになっている。披露宴のハシゴっていう凄い形になってるな……!
――本来はフルーディア王国では披露宴という文化は存在はしてもポピュラーではないらしいんだが、村のみんなは俺と一緒に祝いながら飲み食いをしたがってたから似たようなものだと受け入れられるのも早かった。
そんなこんなで天界に着く頃には夜になっていたが、下界よりも星がはっきりと見える天界の夜空は天然プラネタリウムのように綺麗で、むしろちょっと得をした気分だった。
いつだったか「しっかりと見えるからこそ生まれ落ちた時は星々が金平糖に見えたんだよなぁ」と言ったことがあるがフライデルに変な顔をされた。
今でもたまにそう見えるぞ。
群青色を更に煮詰めたような空に輝く星々と月が浮かんでいる。
空気は少しひんやりとしていて、下界で火照った頬を程よく冷ましてくれた。
下界なら夜でも見える灰色の雲は見当たらない。やっぱり天界は相当高い場所にあるみたいだな。
そんな天界の屋外に作られた会場には様々な神が集結しており、まるでこれから重要な審判でも下されるのかと錯覚するほどだったが、中央に設置されているのは大きなテーブルだ。
その大きなテーブルを取り囲むように小さなテーブルがいくつも並び、それぞれに多種多様な料理が並んでいた。
食材をそのままを並べた場所もある。
調理せずに食べてよし、そこから食材を調達して自分で調理してもよし、という計らいだ。奥にはキッチンスペースもあった。
すでになにか作り始めている神もおり、その中にはソルテラも混ざっている。
「想像してたより盛大だな……あと雰囲気がフードファイトに似てるかも」
「ふふ、それだけシロさんのフードファイトが楽しげってことですね」
微笑むコムギの言葉に、そうか、と納得する。
俺が生まれ落ちるまでのフードファイトは楽しさとは無縁のものだった。
だからこんなにも楽しげな披露宴を見て『フードファイトみたいだ』と思えたのはコムギが言う通りなのかもしれない。嬉しいな。
するとコムギが「あっ! あれ見てください!」と会場の飾りを指さした。
なにか可愛いものでも見つけたんだろうか、と視線で追うと――テーブリア村が発祥の地になったマスコットキャラクター、シロシロさまの人形がぶら下がっていた。
相変わらず白米の人形に見えるがモデルは俺らしい。
未だに解せないんだよなぁ、これ……。
「て、天界にも広まってたのか」
「ニッケ様が気に入って買い求めているのを見た人がいる、って聞いたことがあるんで、そのせいかもしれませんね。しかも何体も抱えていたそうですよ」
かも、っていうか確実にそれが原因な気がしてきたぞ……!
ま、まあ、楽しさを演出する手助けになってるならいいんだが、うん。
そんなことを考えていると背中をバンバンと叩かれた。
わりと容赦のない叩き方だからコムギじゃない。振り返ると――体に巻いたベルトをくねらせたフライデルが立っていた。
手足のように使っているベルトで叩かれたのかと思ったが、どうやらわざわざ手の平で叩いたらしい。この世界に暴力という概念はないから多分善意だ。
「祝いの席でなにを悩んだ顔してんだ、いつも通り嬉しそうに美味いもんでも食ってこいよ」
「ああいや、べつにそこまでシリアスな悩みじゃなかったんだが……気を遣ってくれたのか、ありがとうな」
お礼を言うとフライデルは「礼を言われるためにやったんじゃねぇ」と言いながら去っ――たかと思ったが、様々な料理の皿を持って再登場した。わりとすぐに。
しかも両手だけでなく数本のベルトを駆使してるんで凄い量だ。
なんとなく千手観音っぽい。グルメ千手観音がいたらこんな感じだろう。
そのままこれを食えあれを食え、こっちは美味かったあれは癖があるなどと説明しながら世話を焼いてくる様子を見て俺もコムギもついつい笑ってしまった。
母さんより母さんっぽいって言ったらきっと怒るな。
だがまあ、これだけ沢山ある料理を楽しまないのは損だ。
俺たちはフライデルが勧めてくれたものを皮切りに好きなものを好きなだけ食べることにした。
***
まず最初に手に取ったのはクリームシチューだ。
サラッとしたものも好きだが今回用意されていたのはトロッとしたとろみの強いもので、そのおかげか冷めるまで時間がかかる代物である。
つまり最後まで熱々で頂けるということだ。
今回はそこにクロワッサンを合わせた。
それもただのクロワッサンじゃない。
普段より何度も重ねては練ったサクサク感の強いクロワッサンである。
いやぁ、とろみのある食感とサクサクの食感が合わさると、齧った瞬間の感動は筆舌に尽くし難いものがあるな。
何層あるか数えたくなったが数え終わる前に完食すること必至だ。
それはコムギも同じだったようで、隣でクロワッサンにクリームシチューをつけながらニコニコとしていた。
「味が濃くてしょっぱめのクリームシチューって、香ばしいのに噛んでると甘くなる生地によく合うんですね……! 美味しいです!」
「だろ? ふふふ、でもこの後にクロワッサン単品で食べるのも乙なものだぞ」
料理人が張りきってくれたのかそれぞれ最高の料理ばかりだからな。
そう言いながら視線を巡らせていると珍しいものが視界に入った。
黄身にマスタードやマヨネーズ、そして香辛料を混ぜてペースト状にし、半分に切った白身にそれを詰めたものだ。シンプルだが目を引く見た目をしている。
俺はついつい前のめりになってしまった。
「もしかしてデビルドエッグってやつか!? 前世でもそういう料理があるって知識しかなかったんだよなぁ、まさかここでお目にかかれるとは……」
「でび……?」
「アメリカとかイタリアとか――ええと、前世の俺が生まれた故郷以外の国の料理なんだ。イースターっていうイベントがあるんだけど、その日によく食べられてたらしい。たしかコース料理の前菜だったかな?」
とはいえ、絶対にその日以外は作っちゃダメなわけじゃない料理だ。
軽くイースターの説明もしたことで、大雑把ながら卵が関わるイベントだと理解したコムギは「なるほど!」と微笑んで俺の手を引く。
「なら折角の機会です、食べましょうか!」
「あはは、そうだな!」
気になってた料理を大切な子との披露宴で食べられるなんてツイてる。
いそいそと近づき、俺たちはひとつずつ手に取ると同時にデビルドエッグを齧った。……おお、思ってたより味が濃い!
こういうのを病みつきになる味って呼ぶんだろうな。
なにせ気がついたら二個目を手に取ってたし。
それにシンプルなぶんアレンジもしやすいのか、隣の皿を見るとベーコン入りやチーズ入りなどの色々なデビルドエッグが並んでいた。
これをひとつずつ味わうのも楽しそうだ。全種制覇、やってみるか!
そうしてしばらくそこに居座っているとツンツンと背中をつつかれた。
しまった、もしかして邪魔になっていただろうか、と振り返った先にいたのは——レイトだ。手にはシュークリームを持っている。
「あっちにシュークリームの木みたいなんがあったで。ああいうの好きやろ?」
「シュークリームの木!? あっ、もしかして……」
レイトに案内されていそいそと移動すると、そこには円錐状に積み重ねられた大きなシュークリームの塊があった。
隙間には生クリームが添えられ、チョコや砂糖菓子の飾りが付いている。
うーん、凄まじい物量。視界が甘いと感じられるほどだ。まるでツリーだな。
そしてまさに『シュークリームの木』とも言えるそれはまさしく――
「クロカンブッシュか!」
――そう、前世の世界ではフランスのお菓子だったクロカンブッシュだ。
クロカンブッシュは沢山の小さなシューを積み上げてカラメルや飴などで固めたもので、ウエディングケーキとして出したりとおめでたいものとしても扱われる。
つまり、披露宴とはいえここにあってもなんら不思議ではないというわけだ。
高く積み上げる傾向があるって本で読んだ記憶があるが、ウチのはさすがだな。
まさに天を衝くほど高い。聞けば芯になる飴があるから下から取っても崩れないらしいが少し尻込みするくらいだ。
「これも初めて見るんだよなぁ、……なあ、最初はここから食べるべしってマナーとかあったりするのか?」
「あっ、聞いたことがありますよ。好きなところから剥がす感じらしいです。もしくはバラバラにしてから皆さんに配ることが多いみたいですね」
「……! そうか、どっちかといえばひとりで食べるものじゃないのか」
そりゃそうやろ、とレイトのツッコミが耳に届いた。
だがこの披露宴ではクロカンブッシュが複数用意されており、一皿丸々俺が食べても問題ないそうだ。なんだかクロカンブッシュの森っぽいな。
もちろんこれは食事の神の披露宴だからこそ用意されたものらしい。
うーん、みんなの理解力に感謝しないと。
そうして俺たちは様々な美味しいもの、そして様々な初めて食べるものに舌鼓を打ち——『ある時間』が近づいてくるにつれ、俺は呼吸を整えることが増えてきた。
じつはこの後にちょっとしたイベントを考えてあるんだ。
ただ、食べることなら負ける気はしない俺だが……そのイベントで披露するものはまだまだ人並みだ。失敗しないか不安になる。
(でもきっとコムギなら……俺が失敗しても笑顔で楽しんでくれるだろうな)
そう自然と思えることが嬉しい。
落ち着いた心臓を胸の上から撫で、俺はその瞬間が来るまで心置きなく料理を口に運んだ。
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俺とコムギの結婚式には披露宴があり、それは天界で行なわれる。
ただし、さすがに巫女ではない普通の人間を天界に沢山連れていくのは障りがあるとバージルが言っていた。
だから下界は下界で披露宴を控えめに行ない、その後に天界へと向かうことになっている。披露宴のハシゴっていう凄い形になってるな……!
――本来はフルーディア王国では披露宴という文化は存在はしてもポピュラーではないらしいんだが、村のみんなは俺と一緒に祝いながら飲み食いをしたがってたから似たようなものだと受け入れられるのも早かった。
そんなこんなで天界に着く頃には夜になっていたが、下界よりも星がはっきりと見える天界の夜空は天然プラネタリウムのように綺麗で、むしろちょっと得をした気分だった。
いつだったか「しっかりと見えるからこそ生まれ落ちた時は星々が金平糖に見えたんだよなぁ」と言ったことがあるがフライデルに変な顔をされた。
今でもたまにそう見えるぞ。
群青色を更に煮詰めたような空に輝く星々と月が浮かんでいる。
空気は少しひんやりとしていて、下界で火照った頬を程よく冷ましてくれた。
下界なら夜でも見える灰色の雲は見当たらない。やっぱり天界は相当高い場所にあるみたいだな。
そんな天界の屋外に作られた会場には様々な神が集結しており、まるでこれから重要な審判でも下されるのかと錯覚するほどだったが、中央に設置されているのは大きなテーブルだ。
その大きなテーブルを取り囲むように小さなテーブルがいくつも並び、それぞれに多種多様な料理が並んでいた。
食材をそのままを並べた場所もある。
調理せずに食べてよし、そこから食材を調達して自分で調理してもよし、という計らいだ。奥にはキッチンスペースもあった。
すでになにか作り始めている神もおり、その中にはソルテラも混ざっている。
「想像してたより盛大だな……あと雰囲気がフードファイトに似てるかも」
「ふふ、それだけシロさんのフードファイトが楽しげってことですね」
微笑むコムギの言葉に、そうか、と納得する。
俺が生まれ落ちるまでのフードファイトは楽しさとは無縁のものだった。
だからこんなにも楽しげな披露宴を見て『フードファイトみたいだ』と思えたのはコムギが言う通りなのかもしれない。嬉しいな。
するとコムギが「あっ! あれ見てください!」と会場の飾りを指さした。
なにか可愛いものでも見つけたんだろうか、と視線で追うと――テーブリア村が発祥の地になったマスコットキャラクター、シロシロさまの人形がぶら下がっていた。
相変わらず白米の人形に見えるがモデルは俺らしい。
未だに解せないんだよなぁ、これ……。
「て、天界にも広まってたのか」
「ニッケ様が気に入って買い求めているのを見た人がいる、って聞いたことがあるんで、そのせいかもしれませんね。しかも何体も抱えていたそうですよ」
かも、っていうか確実にそれが原因な気がしてきたぞ……!
ま、まあ、楽しさを演出する手助けになってるならいいんだが、うん。
そんなことを考えていると背中をバンバンと叩かれた。
わりと容赦のない叩き方だからコムギじゃない。振り返ると――体に巻いたベルトをくねらせたフライデルが立っていた。
手足のように使っているベルトで叩かれたのかと思ったが、どうやらわざわざ手の平で叩いたらしい。この世界に暴力という概念はないから多分善意だ。
「祝いの席でなにを悩んだ顔してんだ、いつも通り嬉しそうに美味いもんでも食ってこいよ」
「ああいや、べつにそこまでシリアスな悩みじゃなかったんだが……気を遣ってくれたのか、ありがとうな」
お礼を言うとフライデルは「礼を言われるためにやったんじゃねぇ」と言いながら去っ――たかと思ったが、様々な料理の皿を持って再登場した。わりとすぐに。
しかも両手だけでなく数本のベルトを駆使してるんで凄い量だ。
なんとなく千手観音っぽい。グルメ千手観音がいたらこんな感じだろう。
そのままこれを食えあれを食え、こっちは美味かったあれは癖があるなどと説明しながら世話を焼いてくる様子を見て俺もコムギもついつい笑ってしまった。
母さんより母さんっぽいって言ったらきっと怒るな。
だがまあ、これだけ沢山ある料理を楽しまないのは損だ。
俺たちはフライデルが勧めてくれたものを皮切りに好きなものを好きなだけ食べることにした。
***
まず最初に手に取ったのはクリームシチューだ。
サラッとしたものも好きだが今回用意されていたのはトロッとしたとろみの強いもので、そのおかげか冷めるまで時間がかかる代物である。
つまり最後まで熱々で頂けるということだ。
今回はそこにクロワッサンを合わせた。
それもただのクロワッサンじゃない。
普段より何度も重ねては練ったサクサク感の強いクロワッサンである。
いやぁ、とろみのある食感とサクサクの食感が合わさると、齧った瞬間の感動は筆舌に尽くし難いものがあるな。
何層あるか数えたくなったが数え終わる前に完食すること必至だ。
それはコムギも同じだったようで、隣でクロワッサンにクリームシチューをつけながらニコニコとしていた。
「味が濃くてしょっぱめのクリームシチューって、香ばしいのに噛んでると甘くなる生地によく合うんですね……! 美味しいです!」
「だろ? ふふふ、でもこの後にクロワッサン単品で食べるのも乙なものだぞ」
料理人が張りきってくれたのかそれぞれ最高の料理ばかりだからな。
そう言いながら視線を巡らせていると珍しいものが視界に入った。
黄身にマスタードやマヨネーズ、そして香辛料を混ぜてペースト状にし、半分に切った白身にそれを詰めたものだ。シンプルだが目を引く見た目をしている。
俺はついつい前のめりになってしまった。
「もしかしてデビルドエッグってやつか!? 前世でもそういう料理があるって知識しかなかったんだよなぁ、まさかここでお目にかかれるとは……」
「でび……?」
「アメリカとかイタリアとか――ええと、前世の俺が生まれた故郷以外の国の料理なんだ。イースターっていうイベントがあるんだけど、その日によく食べられてたらしい。たしかコース料理の前菜だったかな?」
とはいえ、絶対にその日以外は作っちゃダメなわけじゃない料理だ。
軽くイースターの説明もしたことで、大雑把ながら卵が関わるイベントだと理解したコムギは「なるほど!」と微笑んで俺の手を引く。
「なら折角の機会です、食べましょうか!」
「あはは、そうだな!」
気になってた料理を大切な子との披露宴で食べられるなんてツイてる。
いそいそと近づき、俺たちはひとつずつ手に取ると同時にデビルドエッグを齧った。……おお、思ってたより味が濃い!
こういうのを病みつきになる味って呼ぶんだろうな。
なにせ気がついたら二個目を手に取ってたし。
それにシンプルなぶんアレンジもしやすいのか、隣の皿を見るとベーコン入りやチーズ入りなどの色々なデビルドエッグが並んでいた。
これをひとつずつ味わうのも楽しそうだ。全種制覇、やってみるか!
そうしてしばらくそこに居座っているとツンツンと背中をつつかれた。
しまった、もしかして邪魔になっていただろうか、と振り返った先にいたのは——レイトだ。手にはシュークリームを持っている。
「あっちにシュークリームの木みたいなんがあったで。ああいうの好きやろ?」
「シュークリームの木!? あっ、もしかして……」
レイトに案内されていそいそと移動すると、そこには円錐状に積み重ねられた大きなシュークリームの塊があった。
隙間には生クリームが添えられ、チョコや砂糖菓子の飾りが付いている。
うーん、凄まじい物量。視界が甘いと感じられるほどだ。まるでツリーだな。
そしてまさに『シュークリームの木』とも言えるそれはまさしく――
「クロカンブッシュか!」
――そう、前世の世界ではフランスのお菓子だったクロカンブッシュだ。
クロカンブッシュは沢山の小さなシューを積み上げてカラメルや飴などで固めたもので、ウエディングケーキとして出したりとおめでたいものとしても扱われる。
つまり、披露宴とはいえここにあってもなんら不思議ではないというわけだ。
高く積み上げる傾向があるって本で読んだ記憶があるが、ウチのはさすがだな。
まさに天を衝くほど高い。聞けば芯になる飴があるから下から取っても崩れないらしいが少し尻込みするくらいだ。
「これも初めて見るんだよなぁ、……なあ、最初はここから食べるべしってマナーとかあったりするのか?」
「あっ、聞いたことがありますよ。好きなところから剥がす感じらしいです。もしくはバラバラにしてから皆さんに配ることが多いみたいですね」
「……! そうか、どっちかといえばひとりで食べるものじゃないのか」
そりゃそうやろ、とレイトのツッコミが耳に届いた。
だがこの披露宴ではクロカンブッシュが複数用意されており、一皿丸々俺が食べても問題ないそうだ。なんだかクロカンブッシュの森っぽいな。
もちろんこれは食事の神の披露宴だからこそ用意されたものらしい。
うーん、みんなの理解力に感謝しないと。
そうして俺たちは様々な美味しいもの、そして様々な初めて食べるものに舌鼓を打ち——『ある時間』が近づいてくるにつれ、俺は呼吸を整えることが増えてきた。
じつはこの後にちょっとしたイベントを考えてあるんだ。
ただ、食べることなら負ける気はしない俺だが……そのイベントで披露するものはまだまだ人並みだ。失敗しないか不安になる。
(でもきっとコムギなら……俺が失敗しても笑顔で楽しんでくれるだろうな)
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落ち着いた心臓を胸の上から撫で、俺はその瞬間が来るまで心置きなく料理を口に運んだ。
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