めーぷる詰め合わせ<SS&短編集>

楓乃めーぷる

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次は、いつ会える?

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 卒業式の今日、ずっと好きだった彼に告白した。
 今まで遠巻きで見ていただけだったってのに、返事はなんとオッケー!
 嬉しすぎて思いっきり抱きしめたら、彼に喜び過ぎだと笑われた。

「夢みたいだ!」
「それはこっちの台詞。驚いたよ」
「そっか。これからよろしくな」
「うん、こちらこそ」

 二人で通いなれた通学路を歩きながら、たくさん話をした。
 明日からは春休みだし、次はデートできると思うと顔が自然とニヤつく。

「次はいつ会える?」
「そりゃすぐだよ、すぐ! 明日?」
「ええ? いいけど……まずは連絡先を」
「あ……スマホ忘れた」

 そうだ、テンパりすぎて置いてきたんだった。
 でも、明日も約束したから余裕だよな。

「じゃあ、明日改めて教えてよ」
「そりゃもちろん! 待ち合わせはここでいい?」
「うん。時間は……」

 浮かれ気分で決めた約束だったのに……俺はこの約束を守れなかった。

 +++

 あれから十年経った。
 彼に告白したあの日、家庭の事情で引っ越しすると言い渡された。
 天国から地獄へと突き落とされるとはこのことだ。
 夜逃げ同然で引っ越して、自分たちの居場所を誰にも知られないようにひっそり生きるしかないだなんて……。
 両親のことを相当恨みもしたけど、あの時はそれしか方法がなかったんだろう。

「はぁ……」

 俺は未だにロクな仕事にもつけずに、適当にバイトをしながら食いつないでいた。
 今日もやる気なくレジ打ちをしながら、店内を見回す。

「今日は目の保養になりそうな美人さんは……あ、いたいた」

 俺の小さな楽しみは、自分好みの美人さんを見て心を和ませるくらいだ。
 近づいてきた美人さんは、今まで見たことないくらい好みのタイプだ。

「いらっしゃいませ、レジ袋はお付けしますか?」
「いえ、大丈夫です」

 適当にバーコードを読み込んでいるのに、目の前の美人さんはじっと俺の顔を見たまま動かない。

「あの……お支払い方法は?」
「あ……コード決済で」
「かしこまりました」

 美人さんのレジを終えると、彼は慌てた表情のままハッキリと呟いた。

「あの、後で会えませんか?」
「へ? あ……はい」

 美人さんに声をかけられるとは思ってなかったから、反射的に返事してしまった。
 でも、俺も美人さんの顔が目に焼き付いて離れなかった。
 今日は後少しであがりだったし、慌てて店の外に出た。

「やっぱり……そうだよね。久しぶり」
「え、久しぶり? って……まさか!」

 美人さんがぎゅっと俺を抱きしめてきた。
 もう一度彼を見て、漸く状況を理解できた。
 まさか、もう一度出会えるだなんて……。
 俺は情けない姿だってのに、彼の体温が嬉しすぎて大号泣してしまった。
 
「なんだろ……色々言いたいことだらけだったのに何も言えないや」
「お、おでも……」
「ちょっと、泣きすぎだよー」

 よしよしと頭を撫でられる。
 俺が落ち着いて自分の話ができるまで暫くの時間がかかった。
 それでも彼は、昔のように笑って許してくれた。
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