めーぷる詰め合わせ<SS&短編集>

楓乃めーぷる

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お前を倒すのは俺だ!

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 何度不毛な戦いが続いたのだろうか?
 いい加減決着をつけたいというのに、なかなか終わらない。

「どうした、もう息切れしているぞ?」
「うるさい!」

 くだらないやり取りをしながらヤツと斬り合っているというのに、決定打にはならない。
 金属同士がギィンとぶつかり合う不愉快な音だけが響く。

「お前を倒すのは俺だ!」
「その台詞も聞き飽きたな」

 ヤツと俺は敵同士。
 戦争の最中、毎度隊長同士で一騎打ちをしているというのに決着がつかずに戦いが終わってしまう。
 神の悪戯としか思えないことが起こり、引かざるを得ない状況になるのだ。

 お互いに手の内を知りすぎているせいか、多少攻撃が掠ることはあってもトドメまで至らない。
 今日も勝負がつく前に、撤退を余儀なくされた。

「クソ、一体いつまで続くんだ」
「それはこちらの台詞だ。今度こそ、お前の首をもらい受ける」

 剣を収め、互いの陣地へ戻っていく。
 しかし、この戦争が終わらなければまた戦うことになるのだろうと思っていた。

 +++

「ワの国とヒの国は度重なる戦争で疲弊しきってしまった。よって、平和条約を結ぶことになっただぁ? クソ!」

 どれくらいの人間が犠牲になったのか数える気にもならない。
 国の決定に振り回されるのは、いつだって力のない民たちだ。
 遅すぎる決断にヤケ酒を飲むしかなかった。
 戦うことでしか居場所を証明できない俺はどうすればいいのか。
 何も思い浮かばないままふらふらと酒場を後にした。

 暫くの間、何も考えずに外を歩く。
 平和になったというのなら、このまま国境を越えてしまえばいい。
 こんな国にいてもやることなんてないのだから。

「兵も居眠りしてやがる。賊が入り込んでも知らねぇぞ?」

 無視して国境を超えると、月明かりに照らされた人影がこちら側へと歩いてくるのが見えた。
 反射的に剣の柄へと手を回すが、そんな必要もないのだと思いぶらりと手を下ろした。

「やっぱりな。どうせそんなことだろうと思った」
「なんでお前がここに……」

 目の前にあるのは何度眺めたか分からない相手。
 決着のつかなかった敵国の隊長だ。
 しかし、ヤツも警戒することなく俺の側までゆったりと歩み寄ってきた。

「で、ヒの国の英雄とか言われてる隊長さんがこんな真夜中に散歩か?」
「ワの国の猛者と言われてる隊長さんに言われても説得力がないが、やはり考えていることは同じだったようだな」

 ヤツの顔を見ていると憎さと同時に妙な感情が浮かんでくる。
 何年も剣を交えていたせいか、会話せずとも何となく理解できる気がするのだ。

「ほう? 俺は何も考えずにふらふらしてただけだ」
「そうか。奇遇だな。ここで会ったのも腐れ縁。一緒に行くか?」

 ヤツに誘われるのも心のどこかで分かっていたのかもしれない。
 腐れ縁……昨日の敵は今日の友とはよく言ったものだ。
 俺は自然とヤツの隣に立って、共に新たな一歩を踏み出していた。
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