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勇者と冥王のママは暁を魔王様と
プロローグ・私の星
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旅立つ時、私の元へ必ず帰ってくると約束してくれました。
「いってらっしゃい」と見送った時のことを覚えています。
それはいつもと同じ見送りの時。
でも、一つだけいつもと違うことがありました。
いつもは振り返らないイスラが、あの時だけ振り返ったのです。
その時の面差しが私の中に刻まれている。
「イスラ! イスラ、どこですか?!」
人間界の森に私の声が響く。
イスラに届くように、何度も何度も繰り返します。
「返事をしてください! イスラ! イスラ!!」
必死にイスラの姿を探しました。
そして生い茂る草木を掻き分けた先。そこにあった光景に、一瞬、心臓が止まる。
「っ、イスラ!!!!」
地面を染める真っ赤な血。
血の海に横たわるイスラの姿。
切断された左腕からは夥しい量の血が噴き出して、イスラの全身を赤く染めている。
「イスラ! イスラっ!!」
叫ぶように名を呼んで駆け出しました。
赤く染まる体にしがみ付いて、その名を繰り返す。
「イスラ! しっかりしてくださいっ、イスラ!!」
お願いですっ。目を開けてください! お願いです!!
涙で滲む視界にイスラだけを映す。
お願いですっ。どうか目を開けてください……!
「…………ブレイ……ラ……」
不意に、微かな呼吸とともにイスラの掠れた声。
薄っすらと開いた瞳は光が失われつつあるけれど、聞こえたのは確かにイスラの声。
「イスラ!! イスラっ……!!」
血に塗れたイスラの頬に手を添えて、その顔を食い入るように見つめました。
目が合ったのも束の間、イスラの瞳が閉じられていく。
「イスラ! ああっ、イスラ!! お願い、目を開けてください!!」
イスラの血塗れの体を縋るように抱きしめる。
どうか死なないでください! お願いですっ、お願いです!!
「誰かっ、誰か来てください! 早く来てください……!!」
叫ぶ声は悲鳴に近い。
冷たくなるイスラの体を抱きしめて、どうかどうかと祈りながら、何度も、何度も叫んだのです。
「いってらっしゃい」と見送った時のことを覚えています。
それはいつもと同じ見送りの時。
でも、一つだけいつもと違うことがありました。
いつもは振り返らないイスラが、あの時だけ振り返ったのです。
その時の面差しが私の中に刻まれている。
「イスラ! イスラ、どこですか?!」
人間界の森に私の声が響く。
イスラに届くように、何度も何度も繰り返します。
「返事をしてください! イスラ! イスラ!!」
必死にイスラの姿を探しました。
そして生い茂る草木を掻き分けた先。そこにあった光景に、一瞬、心臓が止まる。
「っ、イスラ!!!!」
地面を染める真っ赤な血。
血の海に横たわるイスラの姿。
切断された左腕からは夥しい量の血が噴き出して、イスラの全身を赤く染めている。
「イスラ! イスラっ!!」
叫ぶように名を呼んで駆け出しました。
赤く染まる体にしがみ付いて、その名を繰り返す。
「イスラ! しっかりしてくださいっ、イスラ!!」
お願いですっ。目を開けてください! お願いです!!
涙で滲む視界にイスラだけを映す。
お願いですっ。どうか目を開けてください……!
「…………ブレイ……ラ……」
不意に、微かな呼吸とともにイスラの掠れた声。
薄っすらと開いた瞳は光が失われつつあるけれど、聞こえたのは確かにイスラの声。
「イスラ!! イスラっ……!!」
血に塗れたイスラの頬に手を添えて、その顔を食い入るように見つめました。
目が合ったのも束の間、イスラの瞳が閉じられていく。
「イスラ! ああっ、イスラ!! お願い、目を開けてください!!」
イスラの血塗れの体を縋るように抱きしめる。
どうか死なないでください! お願いですっ、お願いです!!
「誰かっ、誰か来てください! 早く来てください……!!」
叫ぶ声は悲鳴に近い。
冷たくなるイスラの体を抱きしめて、どうかどうかと祈りながら、何度も、何度も叫んだのです。
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