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第一章・強欲の王ギルタレス
聖女と悪魔2
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「逃げてばかりじゃ討伐できませんよ? 早くしないと悪魔が教会から逃げちゃいます。もし街に被害が出たら聖女サマの失態、懲罰委員会はきっと黙ってないですよね。聖女の称号を剥奪されたりして」
「ッ、黙りなさいって言ってるでしょ! そんなの言われなくても分かってるわよ! 天上の玉座に座する神よ、全知全能の神よ、私の祈りを聞き届けたまえ! 私に悪魔を打ち砕く力を与えたまえ!」
モーリスは神に祈った。
祈りとはいわば魔法の詠唱。聖女は祈りによって魔力を高めて悪魔を打ち砕くのだ。
悪魔の足元に魔法陣が出現し、そのまま捕えて消滅させようとする。
苦しみもがく悪魔にモーリスは討伐成功を確信したが、その時。
「グオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」
悪魔が雄叫びをあげて魔法陣を吹き飛ばした。
モーリスは腰を抜かして驚愕する。
「そ、そんな、あと少しだったのにっ……!」
モーリスは恐怖に震えた。
腰を抜かしたまま這って逃げようとしたが。
「な、なにしてんのよ! あんたも聖女候補生なら戦いなさいよ! 特待生なんでしょ!? そんなとこでぼんやりしてんじゃないわよ!!」
「……そんな恰好で言われてもね」
私に気付いて怒鳴りつけてきた。
聖女のくせに聖女候補生の私に丸投げする気っぽい。
とっても面倒な気分だけど、私は雄叫びを上げる悪魔を見てため息を一つ。このうるさい悪魔を討伐しなくては報酬がもらえない。
「いいですけど、条件飲んでください」
「条件っ。こんな時にっ……」
「こんな時だからです。今回の私の報酬を八割にしてください。それならいいですよ?」
「八割!? そんな条件飲めるわけないじゃない!」
「そうですか、それなら私はもうしばらく聖女モーリスの悪魔討伐を見学させてもらいますね。たかが候補生の私が聖女の悪魔討伐を邪魔するなんて畏れ多いことですので」
お勉強させてもらいます、とニコリと微笑む。
たとえモーリスが殺されようが地獄に引きずり込まれようが関係ない。条件を飲まないなら私が動く理由はない。
そんな私の笑顔にモーリスの顔がみるみる強張っていく。
悪魔に襲われている恐慌状態で微笑んでいる私が恐ろしいのだろう。
「ッ、……分かったっ。分かったから、はやくあの悪魔を討伐して!」
「わあっ、ありがとうございます。やっぱり聖女サマはお優しいですね。では聖女サマの仰せの通りに」
白々しく喜んで、恭しくお辞儀を一つ。
私は山羊の悪魔をまっすぐ見据えた。
悪魔が私に向かって勢いよく突っ込んでくる。
「キャアアアアアアアア!!」
モーリスは悲鳴をあげて蹲ったが。
ピタリッ。
悪魔の動きが停止した。
悪魔の足元に魔法陣が発動し、鎖が放たれて巨体を絡めとったのだ。
その光景にモーリスは唖然として私を見つめる。
「ど、どうしてっ。なにが起こってるの? 祈りの詠唱は?」
「それって必要なんですか?」
私は答えながら魔力を高め、悪魔を鎖でギリギリ締め上げる。
咆哮をあげて苦しむ悪魔に目を細め、そして。
グシャアアアアア!!!!
「ギャアアアアアアアアアア!!!!」
悪魔の断末魔。
鎖が悪魔の巨体を絞るように千切ったのだ。
飛び散った肉片がボタボタと床に落ちる。
「私、初めて悪魔を討伐した四歳の時から神に祈ったことないんで」
四散した悪魔を眺めながら言った。
呆然とするモーリス。
まるで信じ難いものでも見るかのような顔をしている。
しかし私にとってその反応は慣れたものだった。
本来、聖女の魔力は祈りの詠唱によって発動される。人間は天国の神を信仰し、神に祈りを捧げることで魔力を発動して悪魔を討伐するのだ。
でも、私に祈りの詠唱は必要ない。
祈りの過程をすっ飛ばし、圧倒的な魔力で捻じ伏せる。それが私の悪魔討伐。
私は愕然とするモーリスを放置して教会を出ようとしたけれど、バタンッ! その前に依頼主の村長が教会に入ってきた。
「ッ、黙りなさいって言ってるでしょ! そんなの言われなくても分かってるわよ! 天上の玉座に座する神よ、全知全能の神よ、私の祈りを聞き届けたまえ! 私に悪魔を打ち砕く力を与えたまえ!」
モーリスは神に祈った。
祈りとはいわば魔法の詠唱。聖女は祈りによって魔力を高めて悪魔を打ち砕くのだ。
悪魔の足元に魔法陣が出現し、そのまま捕えて消滅させようとする。
苦しみもがく悪魔にモーリスは討伐成功を確信したが、その時。
「グオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」
悪魔が雄叫びをあげて魔法陣を吹き飛ばした。
モーリスは腰を抜かして驚愕する。
「そ、そんな、あと少しだったのにっ……!」
モーリスは恐怖に震えた。
腰を抜かしたまま這って逃げようとしたが。
「な、なにしてんのよ! あんたも聖女候補生なら戦いなさいよ! 特待生なんでしょ!? そんなとこでぼんやりしてんじゃないわよ!!」
「……そんな恰好で言われてもね」
私に気付いて怒鳴りつけてきた。
聖女のくせに聖女候補生の私に丸投げする気っぽい。
とっても面倒な気分だけど、私は雄叫びを上げる悪魔を見てため息を一つ。このうるさい悪魔を討伐しなくては報酬がもらえない。
「いいですけど、条件飲んでください」
「条件っ。こんな時にっ……」
「こんな時だからです。今回の私の報酬を八割にしてください。それならいいですよ?」
「八割!? そんな条件飲めるわけないじゃない!」
「そうですか、それなら私はもうしばらく聖女モーリスの悪魔討伐を見学させてもらいますね。たかが候補生の私が聖女の悪魔討伐を邪魔するなんて畏れ多いことですので」
お勉強させてもらいます、とニコリと微笑む。
たとえモーリスが殺されようが地獄に引きずり込まれようが関係ない。条件を飲まないなら私が動く理由はない。
そんな私の笑顔にモーリスの顔がみるみる強張っていく。
悪魔に襲われている恐慌状態で微笑んでいる私が恐ろしいのだろう。
「ッ、……分かったっ。分かったから、はやくあの悪魔を討伐して!」
「わあっ、ありがとうございます。やっぱり聖女サマはお優しいですね。では聖女サマの仰せの通りに」
白々しく喜んで、恭しくお辞儀を一つ。
私は山羊の悪魔をまっすぐ見据えた。
悪魔が私に向かって勢いよく突っ込んでくる。
「キャアアアアアアアア!!」
モーリスは悲鳴をあげて蹲ったが。
ピタリッ。
悪魔の動きが停止した。
悪魔の足元に魔法陣が発動し、鎖が放たれて巨体を絡めとったのだ。
その光景にモーリスは唖然として私を見つめる。
「ど、どうしてっ。なにが起こってるの? 祈りの詠唱は?」
「それって必要なんですか?」
私は答えながら魔力を高め、悪魔を鎖でギリギリ締め上げる。
咆哮をあげて苦しむ悪魔に目を細め、そして。
グシャアアアアア!!!!
「ギャアアアアアアアアアア!!!!」
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鎖が悪魔の巨体を絞るように千切ったのだ。
飛び散った肉片がボタボタと床に落ちる。
「私、初めて悪魔を討伐した四歳の時から神に祈ったことないんで」
四散した悪魔を眺めながら言った。
呆然とするモーリス。
まるで信じ難いものでも見るかのような顔をしている。
しかし私にとってその反応は慣れたものだった。
本来、聖女の魔力は祈りの詠唱によって発動される。人間は天国の神を信仰し、神に祈りを捧げることで魔力を発動して悪魔を討伐するのだ。
でも、私に祈りの詠唱は必要ない。
祈りの過程をすっ飛ばし、圧倒的な魔力で捻じ伏せる。それが私の悪魔討伐。
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