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第一話 天落の地
第3章:3 再会2
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(この人は……)
全身が震えるように総毛立っている。
思いがけない、――違う、本当はどこかで思い描いていた通りの再会。朱里は彼との再会を果たしてようやく気が付く。こんなにもこの瞬間に焦がれていたこと。
どうしてなのか、自分でもよく分からない。
夜の闇の中では見分けることの出来なかった色合いが、鮮やかに飛び込んでくる。
禍々しい深淵を思わせる、深くて暗い色相の瞳。その瞳孔を抱く虹彩は、陽光に輝く美しい大地の色。
自身の戸惑いも忘れて、朱里はじっと彼を見つめてしまう。克明に瞳の色合いが分かるほど、朱里は誰かと見つめあった記憶がないような気がした。いつでも自分の眼の色を気にして、誰に対しても先に視線を逸らしてきたからだ。
彼は外した眼鏡を白衣の胸にしまい、丸めていた姿勢を正した。たったそれだけの仕草なのに、副担任は別人のように変貌を遂げた。
「朱里。君とはあの夜に会っている」
別人でしかない彼を見上げたまま、朱里は言葉を失っていた。突然名前を呼ばれたことや口調が変わっていることなど、混乱する要因がありすぎる。けれど、違和感を覚えない。むしろ素顔の彼にはその方が相応しい。
「――ど」
ようやく喉の奥から音が出た。遥はじっと朱里の反応を見守っている。
「どうして、変装なんてしているんですか」
思わず問いただすと、彼はくっと吹き出して声を立てて笑った。
「変装、か。間違いではないが……、それが君の感想――?」
何がそんなに可笑しいのか、彼は肩を震わせて笑っている。
「だって、わざとらしい位だらしなくしているから」
たしかにもっと他に言いようがあったのかもしれない。朱里は恥ずかしさのあまり、顔が真っ赤に染まってしまう。
「せめて白衣にアイロンを当てるとか、髪を整えるとか、眼鏡――は、仕方ないとしても」
強度数のレンズであることは、見るだけで分かる。眼鏡には役割があるのだ。コンタクトを薦めるのは、一生徒として図々しい提案だと思いなおした。
笑っている遥は真っ直ぐに朱里を眺めている。
(――あれ?)
あれほど強い近視で、この距離感を見ることに戸惑わないのだろうか。よく考えると、抜け道で出会ったときは、眼鏡などかけていなかった。
「先生、もしかしてその眼鏡もダテですか?」
あんなに度数が入っていてダテ眼鏡であることは考えにくい。それを飾りのように出来るのなら、朱里だって眼鏡に度を入れたいくらいだ。その方がレンズ越しに見える瞳が小さくなって、更に色合いが紛れるような気がする。
「これはダテではないな。ちゃんと度が入っている」
遥は胸にしまった眼鏡を取り出すと、朱里に手渡す。透かす様にして眺めると、向こう側の景色が驚くほど小さく映る。やはりかなり強度のレンズだった。
「ただ、私にとっては飾りだけどね」
「え?」
「なくても良く見える。だから私にとってはダテ眼鏡ということになるな」
朱里はありえないと首を傾げた。必要のない眼にこんな眼鏡をかけたらまともに見えるはずがない。くらくらする位ではすまないだろう。
手品師のトリックを探すように眼鏡を眺めていると、遥は低く笑った。
「この世界の法則を無視した出来事も起こり得る。――君もさっき見ていただろう?」
朱里は弾かれたように遥を見た。
「君は殻を形作って、今はこちらの法則に馴染んでいる。でも、見たはずだ」
朱里の脳裏に、克明に蘇る。
力を加えずに浮かび上がった棒。中空で亀裂を生じ、真っ二つに折れた光景。
得体の知れない力。朱里はぞっと鳥肌が立った。反応ができずにいると、彼は吐息をついて朱里から眼鏡を取り戻す。
「君が恐れる必要はない。そのために私がいる」
「そのため?」
遥は頷いた。不可解な出来事に対する深刻さを払う様に鮮やかに笑う。
「私はね、この学院の鬼退治にやってきた。臨時講師は建前のようなもの」
思い切り話が飛躍している。
「あの、先生。生徒をからかっていませんか」
鬼退治に来た、はいそうですか、とは言えない。不思議な体験をしたことは事実だが、朱里にとっては遥の言動のほうが不可思議だった。一言で言えば、胡散臭いのだ。
「君がどうして変装しているのかと言うから、答えただけだろう。こちらに渡ると多少姿が歪むが、それでも私は目立つらしい。立場上目立つことは避けたいから、こうやって隠しているだけだ。わかりやすい理由だろう?」
たしかに遥の素顔は、並大抵の出来栄えではない。年齢も大学部の学生と大して変わらないだろう。そんな容姿で学院内をうろつけば、瞬く間に女子生徒の話題を独占するのは間違いない。けれど、その隠し方はないだろうと、朱里は心の中で突っ込んでいた。大袈裟すぎて変装の域に達しているのだ。もっと自然に隠すことはできなかったのかと思ってしまう。
「あの、先生の正体って、理事長や兄達も知っているんですか」
「知っているよ」
朱里はその答えを聞いて、彼の素性や立場を現実的に考え直した。
言動が胡散臭いこと極まりないが、たしかに学院では鬼の噂が耐えたことはない。鬼と呼ばれるものが妖怪や魔物の類だとは思えないが、そう呼ばれる何かがあることも確かなのだろう。生徒達の噂に火をつける要因があるのなら、対処に励もうとする学院側の姿勢は頷ける。遥が調査員としてこちらに派遣されたのなら、辻褄も合う。
彼と始めて出会ったのも、立ち入りを禁じられた場所に続く抜け道だった。彼はあの場所で、既に何かの調査を始めていたのかもしれない。
遥は単にその役割を鬼退治と表現しているのだろう。
「先生の立場はなんとなく分かりました。要するに学院の抱える問題を解決する役目があるということですよね」
「――君がそう思うのなら、それでいい」
曖昧な返答だったが、朱里はそうだと決め付けた。遥は「さて」と呟いて、包帯を巻かれている朱里の腕に手を伸ばした。
「君に怪我をさせたことは、ここで詫びておく。幾つか、確かめておきたいことがあったから」
「確かめておきたいこと?」
遥は頷いただけだった。朱里は聞いてみたいことが山のようにあったが、きっと彼は答えてくれない。無言の遥の仕草にはそう思わせる気配が漂っていた。
彼のことを知りたいようで、知りたくない。
朱里自身も、遥の素性を深追いすることについて、どこかで警鐘が鳴っているような気がするのだ。
朱里が俯いていると、彼は怪我を労わるように包帯の上から傷に触れる。
「何かのおまじないですか」
「そう。早く傷が癒えるように」
臆面もなく答えて、遥はそっと腕を離した。朱里は頬が染まるのを自覚する。膝の上で支えていたマグカップを握る手に、力がこもってしまう。
彼は照れる様子もなく、再び強烈な度の黒縁眼鏡をかけた。ばさばさと前髪をかき乱して、簾のように顔を隠す。
「そろそろ授業が終わりそうです」
保健室の壁にかけられた時刻が、終了時刻を示していた。
彼は使用したマグカップを手に取り、朱里の手からも取り上げると、無造作に水道で洗ってから元の位置に戻す。
「天宮さん。ここで私が打ち明けたことは、誰にも話さないでください」
朱里は返す言葉もなく頷いた。すっかりいつのも副担任に戻っている。
この冴えない教師が、実は途轍もない男前であるなどと、口が裂けても言えない。そんな少女漫画みたいな変装があってたまるか、と遭遇した朱里でさえどこかで疑っているくらいなのだ。いったい誰が信じるというのだろう。語ったところで、到底信じてもらえるとは思えなかった。
もし信じてもらえたとしても、それはそれで反響を呼びそうである。騒動を巻き起こすような気はさらさらない。頑なに口を閉じているのが良策だと判断した。
そんな朱里の複雑な心境を知ってか知らずか、副担任に戻った遥は恐ろしいことを口走った。
「これも何かの縁です。私の鬼退治には君も協力して下さい」
「ええっ?」
思わず声を上げると、副担任は口元に薄く笑みを浮かべた。
「私の正体を知っている君は、既に共犯者のようなものです。それに君には見えたでしょう?生徒達を取り巻いていた、黒い陽炎のようなものが」
理科室から校庭を眺めていた遥が指し示した先。
朱里は目を見開いた、分厚いレンズと乱れた前髪に隔てられている彼の顔を仰ぎ見る。
素顔が歪むほどの眼鏡をかけても、彼は裸眼と同じように見ることができる。この世界の法則を無視する何か。朱里は再び鳥肌が立つ。
「先生は何者なんですか」
思わず声に出すと、彼は背を向けて保健室を出て行こうとする。
「黒沢先生っ」
彼が扉に手をかけた時、授業が終了する本鈴が鳴り響いた。彼はわずかに振り返って、唇を動かす。
「君が全てを知る必要はない」
小さな呟きが本鈴の音色に重なった。彼は続けて囁くように告げる。
本鈴が鳴り止まぬうちに、副担任である遥は保健室を後にした。
朱里は立ち尽くしたまま、彼の囁きを反芻していた。
抜け道で出会った時に聞いた言葉と同じように、それは朱里の胸に刻まれる。
(――私は、君の望みを護る者)
全身が震えるように総毛立っている。
思いがけない、――違う、本当はどこかで思い描いていた通りの再会。朱里は彼との再会を果たしてようやく気が付く。こんなにもこの瞬間に焦がれていたこと。
どうしてなのか、自分でもよく分からない。
夜の闇の中では見分けることの出来なかった色合いが、鮮やかに飛び込んでくる。
禍々しい深淵を思わせる、深くて暗い色相の瞳。その瞳孔を抱く虹彩は、陽光に輝く美しい大地の色。
自身の戸惑いも忘れて、朱里はじっと彼を見つめてしまう。克明に瞳の色合いが分かるほど、朱里は誰かと見つめあった記憶がないような気がした。いつでも自分の眼の色を気にして、誰に対しても先に視線を逸らしてきたからだ。
彼は外した眼鏡を白衣の胸にしまい、丸めていた姿勢を正した。たったそれだけの仕草なのに、副担任は別人のように変貌を遂げた。
「朱里。君とはあの夜に会っている」
別人でしかない彼を見上げたまま、朱里は言葉を失っていた。突然名前を呼ばれたことや口調が変わっていることなど、混乱する要因がありすぎる。けれど、違和感を覚えない。むしろ素顔の彼にはその方が相応しい。
「――ど」
ようやく喉の奥から音が出た。遥はじっと朱里の反応を見守っている。
「どうして、変装なんてしているんですか」
思わず問いただすと、彼はくっと吹き出して声を立てて笑った。
「変装、か。間違いではないが……、それが君の感想――?」
何がそんなに可笑しいのか、彼は肩を震わせて笑っている。
「だって、わざとらしい位だらしなくしているから」
たしかにもっと他に言いようがあったのかもしれない。朱里は恥ずかしさのあまり、顔が真っ赤に染まってしまう。
「せめて白衣にアイロンを当てるとか、髪を整えるとか、眼鏡――は、仕方ないとしても」
強度数のレンズであることは、見るだけで分かる。眼鏡には役割があるのだ。コンタクトを薦めるのは、一生徒として図々しい提案だと思いなおした。
笑っている遥は真っ直ぐに朱里を眺めている。
(――あれ?)
あれほど強い近視で、この距離感を見ることに戸惑わないのだろうか。よく考えると、抜け道で出会ったときは、眼鏡などかけていなかった。
「先生、もしかしてその眼鏡もダテですか?」
あんなに度数が入っていてダテ眼鏡であることは考えにくい。それを飾りのように出来るのなら、朱里だって眼鏡に度を入れたいくらいだ。その方がレンズ越しに見える瞳が小さくなって、更に色合いが紛れるような気がする。
「これはダテではないな。ちゃんと度が入っている」
遥は胸にしまった眼鏡を取り出すと、朱里に手渡す。透かす様にして眺めると、向こう側の景色が驚くほど小さく映る。やはりかなり強度のレンズだった。
「ただ、私にとっては飾りだけどね」
「え?」
「なくても良く見える。だから私にとってはダテ眼鏡ということになるな」
朱里はありえないと首を傾げた。必要のない眼にこんな眼鏡をかけたらまともに見えるはずがない。くらくらする位ではすまないだろう。
手品師のトリックを探すように眼鏡を眺めていると、遥は低く笑った。
「この世界の法則を無視した出来事も起こり得る。――君もさっき見ていただろう?」
朱里は弾かれたように遥を見た。
「君は殻を形作って、今はこちらの法則に馴染んでいる。でも、見たはずだ」
朱里の脳裏に、克明に蘇る。
力を加えずに浮かび上がった棒。中空で亀裂を生じ、真っ二つに折れた光景。
得体の知れない力。朱里はぞっと鳥肌が立った。反応ができずにいると、彼は吐息をついて朱里から眼鏡を取り戻す。
「君が恐れる必要はない。そのために私がいる」
「そのため?」
遥は頷いた。不可解な出来事に対する深刻さを払う様に鮮やかに笑う。
「私はね、この学院の鬼退治にやってきた。臨時講師は建前のようなもの」
思い切り話が飛躍している。
「あの、先生。生徒をからかっていませんか」
鬼退治に来た、はいそうですか、とは言えない。不思議な体験をしたことは事実だが、朱里にとっては遥の言動のほうが不可思議だった。一言で言えば、胡散臭いのだ。
「君がどうして変装しているのかと言うから、答えただけだろう。こちらに渡ると多少姿が歪むが、それでも私は目立つらしい。立場上目立つことは避けたいから、こうやって隠しているだけだ。わかりやすい理由だろう?」
たしかに遥の素顔は、並大抵の出来栄えではない。年齢も大学部の学生と大して変わらないだろう。そんな容姿で学院内をうろつけば、瞬く間に女子生徒の話題を独占するのは間違いない。けれど、その隠し方はないだろうと、朱里は心の中で突っ込んでいた。大袈裟すぎて変装の域に達しているのだ。もっと自然に隠すことはできなかったのかと思ってしまう。
「あの、先生の正体って、理事長や兄達も知っているんですか」
「知っているよ」
朱里はその答えを聞いて、彼の素性や立場を現実的に考え直した。
言動が胡散臭いこと極まりないが、たしかに学院では鬼の噂が耐えたことはない。鬼と呼ばれるものが妖怪や魔物の類だとは思えないが、そう呼ばれる何かがあることも確かなのだろう。生徒達の噂に火をつける要因があるのなら、対処に励もうとする学院側の姿勢は頷ける。遥が調査員としてこちらに派遣されたのなら、辻褄も合う。
彼と始めて出会ったのも、立ち入りを禁じられた場所に続く抜け道だった。彼はあの場所で、既に何かの調査を始めていたのかもしれない。
遥は単にその役割を鬼退治と表現しているのだろう。
「先生の立場はなんとなく分かりました。要するに学院の抱える問題を解決する役目があるということですよね」
「――君がそう思うのなら、それでいい」
曖昧な返答だったが、朱里はそうだと決め付けた。遥は「さて」と呟いて、包帯を巻かれている朱里の腕に手を伸ばした。
「君に怪我をさせたことは、ここで詫びておく。幾つか、確かめておきたいことがあったから」
「確かめておきたいこと?」
遥は頷いただけだった。朱里は聞いてみたいことが山のようにあったが、きっと彼は答えてくれない。無言の遥の仕草にはそう思わせる気配が漂っていた。
彼のことを知りたいようで、知りたくない。
朱里自身も、遥の素性を深追いすることについて、どこかで警鐘が鳴っているような気がするのだ。
朱里が俯いていると、彼は怪我を労わるように包帯の上から傷に触れる。
「何かのおまじないですか」
「そう。早く傷が癒えるように」
臆面もなく答えて、遥はそっと腕を離した。朱里は頬が染まるのを自覚する。膝の上で支えていたマグカップを握る手に、力がこもってしまう。
彼は照れる様子もなく、再び強烈な度の黒縁眼鏡をかけた。ばさばさと前髪をかき乱して、簾のように顔を隠す。
「そろそろ授業が終わりそうです」
保健室の壁にかけられた時刻が、終了時刻を示していた。
彼は使用したマグカップを手に取り、朱里の手からも取り上げると、無造作に水道で洗ってから元の位置に戻す。
「天宮さん。ここで私が打ち明けたことは、誰にも話さないでください」
朱里は返す言葉もなく頷いた。すっかりいつのも副担任に戻っている。
この冴えない教師が、実は途轍もない男前であるなどと、口が裂けても言えない。そんな少女漫画みたいな変装があってたまるか、と遭遇した朱里でさえどこかで疑っているくらいなのだ。いったい誰が信じるというのだろう。語ったところで、到底信じてもらえるとは思えなかった。
もし信じてもらえたとしても、それはそれで反響を呼びそうである。騒動を巻き起こすような気はさらさらない。頑なに口を閉じているのが良策だと判断した。
そんな朱里の複雑な心境を知ってか知らずか、副担任に戻った遥は恐ろしいことを口走った。
「これも何かの縁です。私の鬼退治には君も協力して下さい」
「ええっ?」
思わず声を上げると、副担任は口元に薄く笑みを浮かべた。
「私の正体を知っている君は、既に共犯者のようなものです。それに君には見えたでしょう?生徒達を取り巻いていた、黒い陽炎のようなものが」
理科室から校庭を眺めていた遥が指し示した先。
朱里は目を見開いた、分厚いレンズと乱れた前髪に隔てられている彼の顔を仰ぎ見る。
素顔が歪むほどの眼鏡をかけても、彼は裸眼と同じように見ることができる。この世界の法則を無視する何か。朱里は再び鳥肌が立つ。
「先生は何者なんですか」
思わず声に出すと、彼は背を向けて保健室を出て行こうとする。
「黒沢先生っ」
彼が扉に手をかけた時、授業が終了する本鈴が鳴り響いた。彼はわずかに振り返って、唇を動かす。
「君が全てを知る必要はない」
小さな呟きが本鈴の音色に重なった。彼は続けて囁くように告げる。
本鈴が鳴り止まぬうちに、副担任である遥は保健室を後にした。
朱里は立ち尽くしたまま、彼の囁きを反芻していた。
抜け道で出会った時に聞いた言葉と同じように、それは朱里の胸に刻まれる。
(――私は、君の望みを護る者)
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