異世界生活物語

花屋の息子

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52軍部での評価

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「いや~エドワード君ありがとう。使い方を教えて貰うだけのはずが、手伝い・・・と言うよりは、君に見て貰うことの方が多かった位かな?」

ニパーチさんの顔は安堵からか、そこらへんのおっちゃん顔になって微笑みながらお礼を言ってくれた。

「怪我してる人たちを放って置くなんて僕には出来ませんから」
「隊長もすぐに戻ってこられるだろうから詰め所で休んでいてくれるかい?」
「わかりました」
「ほらお前ら、さっさと警邏に戻らないと隊長にドヤされるぞ」

 ホルトマンさんが大声を張り上げて持ち場に戻るように促す声が響いている。あの人の声は本当に大きい。
そして怪我が塞がるやいなや仕事に復帰させられる、軍人=ブラックな世界を垣間見た気がした。
 現代軍ならここまでのブラックさは無いのだろうが、この世界では魔物や魔獣と言った永続的に湧き続ける敵がいるため、人員不足×不思議体質=ブラックの公式が出来上がっている。
 持ち場に戻っていく兵士のおっちゃんたちが俺の頭をなでたり、礼を言ってくれた。魔法ほどの即効性が無かったので、少しの間は痛いのを我慢してくれたのに、やさしいおっちゃんたちである。
その治療が終わった隊を見て、戦線からスケールボアを曳いた一隊と共に戻って来たマリオネルと副官が言葉を交わす。

「使えなくは無いと言ったところか」
「隊を万全にさせておくには良いかと思われます。が、やはり難点とすれば治癒までが遅い事かと」
「それは仕方の無い事だろう。小僧も遅い事は言っていたのだから、そこは責められまい」

 負傷者は治療後傷は完全にふさがり、薄皮がのるほどの回復を見せていたが、魔法での回復を見慣れた者からすれば倍以上の時間が掛かっていると言いたくもなる。

「隊の装備として買い上げるとお聞きしましたが、クライン殿の孫には価格の話などは?」
「いや。まだ話してはいない。話の途中で出て来てしまったからな。お前はどのくらいが妥当だと思う?」
「あの枡一つで2500~3000ピリンなら出せるかと」
「2500で話をしよう。それにしても不思議な子供だ。子供と話をしているような気がしない」
「それほどに面白い子ならば一度話してみたいものですな」

 詰め所に戻って休憩を言い渡され、椅子に腰掛ける俺の頭を撫でるおっちゃん達。
 手櫛でしか梳かす事の無い髪の毛が、めちゃくちゃボサボサになるのは気にしないが、これで禿げたらどうしようかと思うほど力強く撫でられ、撫で終わった人から祖父に敬礼をして出て行くのを繰り返しているので、正直休んでいる気がしなかった。

「エドワード、疲れたじゃろう」

 じいちゃんは付き添いポジから動くことなく本当に見守っていただけ、治療には手を貸してくれなかった。借り物の槍は持っていたからエンカウントしたら撃退してくれるつもりだったのだろうけど、孫を甘やかしてくれてかまわないよ。じいちゃん。

「なら手伝ってくれても良かったのに」
「これはお前が言い出したことじゃ、最後まで自分でやらんでどうする?マリオネルのところまで連れてくるのがワシの役目じゃ。そこから先はおまえがやらねばならんじゃろ?できん事は手を貸すが出来る事までは手を出すつもりは無い」

 それは独り立ちする10年後くらいにやってくれたら十分だよ。

「いやー世話になったねエドワード君。ありがとう」

 声の主はマリオネル隊長だ。頭を撫でていた人達も一応に敬礼体勢をとった。前世の軍隊敬礼から見たら御粗末この上ないものだけど。

「皆持ち場に戻れ、それから5団はスケールボアの解体をしておくように、4団は乾し肉加工にかかれ」

 今回のスケールボアは乾し肉が出来ると言う事なので魔獣のようだ。プレゼンのつもりで来たというのに戦闘に巻き込んでくれるとは、俺にとっては魔獣ではなく魔物扱いでも良いくらいだ。

「伐採の件は話した通りこちらに任せてもらおう。流石に今日の明日とは行かないが、その辺りはクライン殿とつめるので、今日は帰って休みなさい」
「エドよ、1人で帰れるか?」
「うん大丈夫だよ。マリオネルさん(今後とも)宜しくお願いします」

 伐採に出る日にち決めとかは俺向きの話じゃないし、信長○野望とかはやった事はあるけど戦略系はからっきしダメだから、じいちゃんに丸投げで戻る事にした。数で押せば良いなんてリアルじゃ出来ないもん。
 たわいの無い雑談をしているのを見ると、俺が帰ったところで大人同士の難しい話が始まるのだろう。

「マリオネル、孫の薬はどうじゃった?」
「可、と言ったところでしょうかな。しかし今までのように飲んで数日後に効く薬と比べたら、その効果は比べるべくもありませんが。まったくあの歳にしてこのような物を作り出す、末恐ろしいものです」

 俺の知らないところで話し合い続いた。そして伐採日も決まり5日後の朝からとなった。
 そこまでに作るものを作らなければならない俺としたら、忙しい事この上ないのだが。さー頑張るとしよう。
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