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本編
ランディール王国の第一騎士団長
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え?
アルフレッドの言葉に俺は耳を疑った。
何故かって?
「ベルクラリーサ様は不参加です」
アルフレッドがにっこりとみんなの前でそう宣言したので俺は傷ついたような表情をしながら「そんなっ!」と声を上げつつも心の中ではガッツポーズをしていた。
うおおおおおおおおっ!よっしゃああああああっ!!休めるぅううひゃっふー!!
そして、事は少しばかり遡る。
あの漂流者の件でだいぶ疲れたのかおうち帰ったら速攻でベッドで眠っていた。やっぱり我が家が一番だ。お気に入りの枕にシーツに囲まれて安心してぐっすりである。意外にも離宮暮らしは疲労がたまっていたようだ。
次の日、普通に騎士団の方で出勤をすると第一班が招集をかけられてとある一室に集まっていた。
何事だろうかと思っていたら、アルフレッドがこんな事を言ってきたのだ。
「ランディール王国から新たにその国で発生した危険区域の調査を合同で頼まれました」
ランディール王国なんてまたもそのワードを聞くことになるとは思わなかった。
そして、これが、お礼であることを知る。やっぱり妙な言い回しだったけどそういう事か……。
アルフレッドは、選抜メンバーを読み上げる。例にもれずヴィの名前は呼ばれた。俺の名前も呼ばれるだろうか。そうなったらいやだなーなんて思っていたら―――。
「以上になります。呼ばれた方は準備をお願いします」
呼ばれなかった。俺だけ呼ばれなかった!!
よっしゃあっと思わずガッツポーズをしそうになったが、今は愛しの婚約者と離れ離れになって辛いってことを演じなければならない。
「アルフレッド様!!」
解散となったが俺はアルフレッドに詰め寄った。周りが注目する中、抗議の言葉を告げる。
「どうして僕は呼ばれなかったのですか!」
「申し訳ありません……」
アルフレッドは困ったような顔をしてから言いづらそうにこう言葉を紡ぐ。
ま、ようは僕がいくとダメというらしい。うん、よく分かった!俺がさぼっていいという大義名分を得られるという事だけは!!
思わずニッコリ笑顔になりそうになって顔を引き締める。
「そんな!ヴィアン様をそんな危険なところに行かせられません!!」
「申し訳ございません。決定事項ですので」
「何とかならないんですか!?」
「申し訳ございません」
超絶嬉しい!休みの時間は何をしようかなー。そんな事を思いながらしょんぼりとしているとアルフレッドが申し訳なさそうな顔と声音でこう言いだした。
「今回は新たな危険区域ですから特級がいくらになるのか分かりません。なのでベルクラリーサ様。分かってください」
「……」
つまり、それはヴィも危険な目に遭うわけで……。俺だけ悠々自適に暮らすわけにはいかないじゃんか!もうっもう!!!
きっとアルフレッドを睨みつけると、またも気味悪く笑みを浮かべるので俺はすっと視線を逸らして、あ、もういいです帰ります。っとその場から離れた。
こそこそと話をされているが、俺も行くからその遠征に!と思いながら睨みつけると蜘蛛の子を散らしてどこかに行く。全く。言うならもっと大きく誰にでも聞こえるように言ってよね!!じゃないと俺の評価が下がらないじゃんか!!
不機嫌な表情のままで席に着くと「おい」っと声をかけられた。
「はい?」
声をかけてきたのはルノ君だ。きょとんとしてそちらをいると少しばかりむすっとしている彼がいる。
「……ヴィアン様は強い」
「え?」
そうか?と言いそうになってぐっと堪えた。ここでは強いんだったヴィは。
「だから大丈夫だってことだよ。ヴィアン様はすごい方なんだから!」
「……ふん、そんなの僕が一番わかってるし!!」
俺がそう言ってそっぽを向くとルノ君はふんっと鼻を鳴らしてどこかに行った。まさかその為だけに俺に声かけたの?良い人なんだな。あいつ。この前のやつで距離が縮まったって感じ?それはそれでいいのか悪いのか……。
俺はそう思いながら通常業務に戻る。とはいえ、相変わらず紙関係の仕事は分からない。いや、難しい字があるから読めないのだ。皆子供向けの分かりやすい文章で書いてほしいんだよ。
こういうのは出来る人に任せるのが一番~。それで痛い目に遭ったことがあるけど、まあ今回は?ヘイト稼ぎにもなるから?別にまた勉強しなくたって痛い目に遭わない!
俺はそう思い立ち上がり、今日も元気にヘイト稼ぎに勤しむ。
おっとぉ?あ~んなところに、暇そうな平民騎士君がいるじゃないか~!今日は彼を犠牲にしてしまお~と!
「ちょっと、そこの君」
声をかけるだけでは無視されるので肩も掴むと彼は嫌そうな顔をして振り返った。ああ、最高。そう、その不満を早く上司にぶつけて遅れ!
「僕の代わりにこれやってくれない?」
「お言葉ですが、私は部署が……」
「ふーん?ならちょうどいいんじゃない?第一班になれなかった平民騎士君が、おこぼれ貰うんだもの。ねー?」
「……他にやることが……」
「はあー?そんなの僕だって一緒なんだけど?でも単なる平民騎士君と貴族位を持ってる僕、どちらの方の時間が貴重か分かるよね?」
俺がそんな事をにこにこと威圧感たっぷりに笑顔で詰め寄ると彼ははああっと大きくため息をついた。
「……わか……」
「この国では、自分の仕事を他のものに押し付けていいとでも言われているのか?」
「え……?」
突然の第三者の言葉に俺と目の前の彼がそちらを向くと、ここらでは見ない軍服を身に纏った男がいた。ワイン色の髪は肩口で綺麗にそろえられており、右側の髪が三つ編みで縛られている。青色の瞳が彼から俺に移った。
「君は自分の仕事も満足にできずに恥ずかしくないのか?」
「え……と……」
「はあ、貴族位と言っているがどれ位の地位だ?言ってみろ」
「どうして見ず知らずの貴方にそんな事を言わなければいけないのですか?」
俺は突然現れてその男に不信感たっぷりである。それに、彼が話しかけたことにより今日の仕事を押し付ける子を逃した。なんて奴だ。
じろっと睨みつけると彼ははっと鼻で笑う。
「私はオリバー。オリバー・ロットだ。ランディール王国で第一騎士団の団長を務めている」
「げぇ……っ!!」
思わず素の声が出てしまった。まさか既に使者が来ていたとは思わないだろう。ばっと口を押えてすすっと距離を保つ。こんなところでそんな人と会うなんて最悪だ。
俺は、んんっと咳払いをして気を取り直しにっこりと笑顔になる。
「これは失礼致しました。僕はべ……」
「お前の名前に興味はない。案内も不要だ」
「あ、そうですか!それでは僕はこれで失礼します!!」
あっぶねー!なんか案内しろとか言われても困るしね!あんなのと関わりたくないし!
手を振って見送る。彼の対応は俺には荷が重すぎるので良かった。しかも、合同訓練なんか行かないし~、もう関わることないだろうし~。あー、良かった。
でも今日の仕事どうしよう?
誰かいないかときょろきょろ見渡すとちょうどいい人物がいた。あ!!
「レイン~!いいところに来たなお前!」
【どうかしたの?】
レインがちょうどそこを通りかかっていたので俺は彼に声をかける。なんでここにいるのか分からないが、いるならば手伝って貰おう。少しぐらい時間あるだろう。多分。
「手伝って?」
【……因みに聞くけどどこが読めないの?】
「……」
にっこりと笑顔を見せた。そして、俺はもっている紙の上から下まで指さすとレインは呆れ顔をする。
【一先ず、部署に戻ってそこで手伝っていい?】
「うん!ありがとうレイン!!」
時々、こうやって通りがかってくるレインも使い俺は楽をしている。レインもそろそろできるようになったら?なんて兄さんみたいな事を言うがなんだかんだで最終的に手伝ってくれるので助かっている。レインの隣を歩いて彼の警備系の部署に向かう。その間ぎょっとされるレインを横目で見つつ、そういえばっと声を出す。
「眼帯、新しいの作ろうか?それ結構前のだよね?」
そう思って彼の眼帯に触れると彼は、ふるふると首を振る。そしてさっと紙を取り出してそれを俺に見せた。
【今度は自分で作るから要らない】
「ふーん?」
ま、刺繍あまり得意じゃないからいいだけど。ヴィは褒めてくれたけど。あいつは何でも俺のこと褒めるから基本的に。
手に持っている資料を適当に眺めていたらいつの間にかレインの部署についていた。注目を浴びるが、まあいつものことだ。
レインがそのまま自分の机の椅子を引くので俺はそこに座る。そして俺の後ろに立つレインが俺の資料を見ながらササっと紙を横に出す。俺はそれを見ながらそのまま書く。レインは懇切丁寧に書いてくれるのでそれを書くだけだ。簡単簡単。こうやって人は育たなくなるんだなっと思いながらもそれを写す。
写し終わった後はレインにお礼として食堂に誘う。彼とは食の趣味が合うので時々甘いものを食べにくる。頻繁ではないがここ食べにいかない?と彼に誘われることはよくあるのでヴィと三人で行くこともある。
食堂は人がまばらで、レインがいても大丈夫だ。俺はいつものように甘いものを頼みつつお茶を先に貰って席に着く。
食堂はご飯だけではなくデザートも美味しい。
最初にケーキ類が出てきたのでそれを持つ。
【お茶持って行くからあっちで待ってて】
「わかった」
レインにそう言われ俺はそれだけ持って適当な席に着いた。それから俺の持ってきた資料を適当に端っこに置く。極秘資料ではないのでそこらにほっぽっても大丈夫だ。そういうのは俺に回ってこないし。
目の前にとり皿やカトラリーを並べつつ準備をしていると、不意に足音がして顔をあげた。
「うわっ!ランディール王国の騎士団長様、こんにちは」
思わず声をあげたが取り繕うように挨拶をした。にこにこと笑顔を見せつつ彼のむすっとした顔を見る。
なんでこんなところにいるんだろうかと思ったが、背後にアルフレッドがいた。お、お前案内係なのか!という目を向けるがきょとんとされて手を振られた。確実に伝わっていないのが分かり睨みつけると気持ち悪い笑みを浮かべられてしまい思わず目を逸らす。
「そうだな」
ぶっきらぼうにそう言われて俺の頬が引きつる。え、まじでなんで俺に話しかけるの……?
それから彼はじっとテーブルに置いてあるものを見る。
やばっ、さっきの資料置いてあった!!思わずさっと手に取って懐に収める。それからんんっと咳き込んだ。
「僕に何か用ですか?あ!名前でも聞きに来たんですか?」
「要らん」
じろっと一睨みされてそれから踵を返しアルフレッドと供に去って行った。なんだったんだ?
そう思いつつ椅子に座りなおすと、レインがお茶を持ってきた。彼はじっと騎士団長やアルフレッドが去って行った方を見ている。
「どうかした?」
俺がそう言うとレインがお茶を置いた後にササっと紙に文字を書く。
【あれってオリバー?】
「知り合い?」
【従兄弟】
「え!?」
従妹なの!?知らなかったわ!てか他国に親戚いたんだね!
【まあ、小さい頃に会った以来だけど……】
「へー」
【髪赤じゃなかった気がする】
「え?そうなの?」
俺がそう言うとこくんとレインは頷いた。へー、赤色って思い切ったな。
「でも赤色は目立つからいいんじゃない?探しやすいし!」
【ちなみにだけど、黄緑色の髪の男の子を助けた記憶ある?】
「え?ないけど?」
俺がそう言ってお茶をカップに淹れているとレインは苦笑をして静かに俺の前の椅子に座った。
それからいつものように業務をこなした数日後、合同調査の日を迎えた。
アルフレッドの言葉に俺は耳を疑った。
何故かって?
「ベルクラリーサ様は不参加です」
アルフレッドがにっこりとみんなの前でそう宣言したので俺は傷ついたような表情をしながら「そんなっ!」と声を上げつつも心の中ではガッツポーズをしていた。
うおおおおおおおおっ!よっしゃああああああっ!!休めるぅううひゃっふー!!
そして、事は少しばかり遡る。
あの漂流者の件でだいぶ疲れたのかおうち帰ったら速攻でベッドで眠っていた。やっぱり我が家が一番だ。お気に入りの枕にシーツに囲まれて安心してぐっすりである。意外にも離宮暮らしは疲労がたまっていたようだ。
次の日、普通に騎士団の方で出勤をすると第一班が招集をかけられてとある一室に集まっていた。
何事だろうかと思っていたら、アルフレッドがこんな事を言ってきたのだ。
「ランディール王国から新たにその国で発生した危険区域の調査を合同で頼まれました」
ランディール王国なんてまたもそのワードを聞くことになるとは思わなかった。
そして、これが、お礼であることを知る。やっぱり妙な言い回しだったけどそういう事か……。
アルフレッドは、選抜メンバーを読み上げる。例にもれずヴィの名前は呼ばれた。俺の名前も呼ばれるだろうか。そうなったらいやだなーなんて思っていたら―――。
「以上になります。呼ばれた方は準備をお願いします」
呼ばれなかった。俺だけ呼ばれなかった!!
よっしゃあっと思わずガッツポーズをしそうになったが、今は愛しの婚約者と離れ離れになって辛いってことを演じなければならない。
「アルフレッド様!!」
解散となったが俺はアルフレッドに詰め寄った。周りが注目する中、抗議の言葉を告げる。
「どうして僕は呼ばれなかったのですか!」
「申し訳ありません……」
アルフレッドは困ったような顔をしてから言いづらそうにこう言葉を紡ぐ。
ま、ようは僕がいくとダメというらしい。うん、よく分かった!俺がさぼっていいという大義名分を得られるという事だけは!!
思わずニッコリ笑顔になりそうになって顔を引き締める。
「そんな!ヴィアン様をそんな危険なところに行かせられません!!」
「申し訳ございません。決定事項ですので」
「何とかならないんですか!?」
「申し訳ございません」
超絶嬉しい!休みの時間は何をしようかなー。そんな事を思いながらしょんぼりとしているとアルフレッドが申し訳なさそうな顔と声音でこう言いだした。
「今回は新たな危険区域ですから特級がいくらになるのか分かりません。なのでベルクラリーサ様。分かってください」
「……」
つまり、それはヴィも危険な目に遭うわけで……。俺だけ悠々自適に暮らすわけにはいかないじゃんか!もうっもう!!!
きっとアルフレッドを睨みつけると、またも気味悪く笑みを浮かべるので俺はすっと視線を逸らして、あ、もういいです帰ります。っとその場から離れた。
こそこそと話をされているが、俺も行くからその遠征に!と思いながら睨みつけると蜘蛛の子を散らしてどこかに行く。全く。言うならもっと大きく誰にでも聞こえるように言ってよね!!じゃないと俺の評価が下がらないじゃんか!!
不機嫌な表情のままで席に着くと「おい」っと声をかけられた。
「はい?」
声をかけてきたのはルノ君だ。きょとんとしてそちらをいると少しばかりむすっとしている彼がいる。
「……ヴィアン様は強い」
「え?」
そうか?と言いそうになってぐっと堪えた。ここでは強いんだったヴィは。
「だから大丈夫だってことだよ。ヴィアン様はすごい方なんだから!」
「……ふん、そんなの僕が一番わかってるし!!」
俺がそう言ってそっぽを向くとルノ君はふんっと鼻を鳴らしてどこかに行った。まさかその為だけに俺に声かけたの?良い人なんだな。あいつ。この前のやつで距離が縮まったって感じ?それはそれでいいのか悪いのか……。
俺はそう思いながら通常業務に戻る。とはいえ、相変わらず紙関係の仕事は分からない。いや、難しい字があるから読めないのだ。皆子供向けの分かりやすい文章で書いてほしいんだよ。
こういうのは出来る人に任せるのが一番~。それで痛い目に遭ったことがあるけど、まあ今回は?ヘイト稼ぎにもなるから?別にまた勉強しなくたって痛い目に遭わない!
俺はそう思い立ち上がり、今日も元気にヘイト稼ぎに勤しむ。
おっとぉ?あ~んなところに、暇そうな平民騎士君がいるじゃないか~!今日は彼を犠牲にしてしまお~と!
「ちょっと、そこの君」
声をかけるだけでは無視されるので肩も掴むと彼は嫌そうな顔をして振り返った。ああ、最高。そう、その不満を早く上司にぶつけて遅れ!
「僕の代わりにこれやってくれない?」
「お言葉ですが、私は部署が……」
「ふーん?ならちょうどいいんじゃない?第一班になれなかった平民騎士君が、おこぼれ貰うんだもの。ねー?」
「……他にやることが……」
「はあー?そんなの僕だって一緒なんだけど?でも単なる平民騎士君と貴族位を持ってる僕、どちらの方の時間が貴重か分かるよね?」
俺がそんな事をにこにこと威圧感たっぷりに笑顔で詰め寄ると彼ははああっと大きくため息をついた。
「……わか……」
「この国では、自分の仕事を他のものに押し付けていいとでも言われているのか?」
「え……?」
突然の第三者の言葉に俺と目の前の彼がそちらを向くと、ここらでは見ない軍服を身に纏った男がいた。ワイン色の髪は肩口で綺麗にそろえられており、右側の髪が三つ編みで縛られている。青色の瞳が彼から俺に移った。
「君は自分の仕事も満足にできずに恥ずかしくないのか?」
「え……と……」
「はあ、貴族位と言っているがどれ位の地位だ?言ってみろ」
「どうして見ず知らずの貴方にそんな事を言わなければいけないのですか?」
俺は突然現れてその男に不信感たっぷりである。それに、彼が話しかけたことにより今日の仕事を押し付ける子を逃した。なんて奴だ。
じろっと睨みつけると彼ははっと鼻で笑う。
「私はオリバー。オリバー・ロットだ。ランディール王国で第一騎士団の団長を務めている」
「げぇ……っ!!」
思わず素の声が出てしまった。まさか既に使者が来ていたとは思わないだろう。ばっと口を押えてすすっと距離を保つ。こんなところでそんな人と会うなんて最悪だ。
俺は、んんっと咳払いをして気を取り直しにっこりと笑顔になる。
「これは失礼致しました。僕はべ……」
「お前の名前に興味はない。案内も不要だ」
「あ、そうですか!それでは僕はこれで失礼します!!」
あっぶねー!なんか案内しろとか言われても困るしね!あんなのと関わりたくないし!
手を振って見送る。彼の対応は俺には荷が重すぎるので良かった。しかも、合同訓練なんか行かないし~、もう関わることないだろうし~。あー、良かった。
でも今日の仕事どうしよう?
誰かいないかときょろきょろ見渡すとちょうどいい人物がいた。あ!!
「レイン~!いいところに来たなお前!」
【どうかしたの?】
レインがちょうどそこを通りかかっていたので俺は彼に声をかける。なんでここにいるのか分からないが、いるならば手伝って貰おう。少しぐらい時間あるだろう。多分。
「手伝って?」
【……因みに聞くけどどこが読めないの?】
「……」
にっこりと笑顔を見せた。そして、俺はもっている紙の上から下まで指さすとレインは呆れ顔をする。
【一先ず、部署に戻ってそこで手伝っていい?】
「うん!ありがとうレイン!!」
時々、こうやって通りがかってくるレインも使い俺は楽をしている。レインもそろそろできるようになったら?なんて兄さんみたいな事を言うがなんだかんだで最終的に手伝ってくれるので助かっている。レインの隣を歩いて彼の警備系の部署に向かう。その間ぎょっとされるレインを横目で見つつ、そういえばっと声を出す。
「眼帯、新しいの作ろうか?それ結構前のだよね?」
そう思って彼の眼帯に触れると彼は、ふるふると首を振る。そしてさっと紙を取り出してそれを俺に見せた。
【今度は自分で作るから要らない】
「ふーん?」
ま、刺繍あまり得意じゃないからいいだけど。ヴィは褒めてくれたけど。あいつは何でも俺のこと褒めるから基本的に。
手に持っている資料を適当に眺めていたらいつの間にかレインの部署についていた。注目を浴びるが、まあいつものことだ。
レインがそのまま自分の机の椅子を引くので俺はそこに座る。そして俺の後ろに立つレインが俺の資料を見ながらササっと紙を横に出す。俺はそれを見ながらそのまま書く。レインは懇切丁寧に書いてくれるのでそれを書くだけだ。簡単簡単。こうやって人は育たなくなるんだなっと思いながらもそれを写す。
写し終わった後はレインにお礼として食堂に誘う。彼とは食の趣味が合うので時々甘いものを食べにくる。頻繁ではないがここ食べにいかない?と彼に誘われることはよくあるのでヴィと三人で行くこともある。
食堂は人がまばらで、レインがいても大丈夫だ。俺はいつものように甘いものを頼みつつお茶を先に貰って席に着く。
食堂はご飯だけではなくデザートも美味しい。
最初にケーキ類が出てきたのでそれを持つ。
【お茶持って行くからあっちで待ってて】
「わかった」
レインにそう言われ俺はそれだけ持って適当な席に着いた。それから俺の持ってきた資料を適当に端っこに置く。極秘資料ではないのでそこらにほっぽっても大丈夫だ。そういうのは俺に回ってこないし。
目の前にとり皿やカトラリーを並べつつ準備をしていると、不意に足音がして顔をあげた。
「うわっ!ランディール王国の騎士団長様、こんにちは」
思わず声をあげたが取り繕うように挨拶をした。にこにこと笑顔を見せつつ彼のむすっとした顔を見る。
なんでこんなところにいるんだろうかと思ったが、背後にアルフレッドがいた。お、お前案内係なのか!という目を向けるがきょとんとされて手を振られた。確実に伝わっていないのが分かり睨みつけると気持ち悪い笑みを浮かべられてしまい思わず目を逸らす。
「そうだな」
ぶっきらぼうにそう言われて俺の頬が引きつる。え、まじでなんで俺に話しかけるの……?
それから彼はじっとテーブルに置いてあるものを見る。
やばっ、さっきの資料置いてあった!!思わずさっと手に取って懐に収める。それからんんっと咳き込んだ。
「僕に何か用ですか?あ!名前でも聞きに来たんですか?」
「要らん」
じろっと一睨みされてそれから踵を返しアルフレッドと供に去って行った。なんだったんだ?
そう思いつつ椅子に座りなおすと、レインがお茶を持ってきた。彼はじっと騎士団長やアルフレッドが去って行った方を見ている。
「どうかした?」
俺がそう言うとレインがお茶を置いた後にササっと紙に文字を書く。
【あれってオリバー?】
「知り合い?」
【従兄弟】
「え!?」
従妹なの!?知らなかったわ!てか他国に親戚いたんだね!
【まあ、小さい頃に会った以来だけど……】
「へー」
【髪赤じゃなかった気がする】
「え?そうなの?」
俺がそう言うとこくんとレインは頷いた。へー、赤色って思い切ったな。
「でも赤色は目立つからいいんじゃない?探しやすいし!」
【ちなみにだけど、黄緑色の髪の男の子を助けた記憶ある?】
「え?ないけど?」
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