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そんな時から早一年が経って、気づいたのである。
労働はくそ。
人間って凄いね。俺だったらもう金持ってる奴から奪い取って好きにしたいよ。
「そこの店員さん。注文お願いします」
「は~い」
とはいえ今俺は人間に扮しているので彼らのルールに従って生活している。魔界にいても召喚されなかった俺を人間界ならば誰か召喚するだろうという目論見があったのにもかかわらずこの一年音沙汰なしである。
もう誰でもいいから欲望を持った人間に契約を持ちかけようかと思ったが―――。
「こんにちは」
「きゃあ! いらっしゃいませ~。ジュリアスさま~」
キタァーーーーーっ!!!!!!
同じ仕事仲間のアリアちゃんが黄色い声をあげて出迎えたのは一人の男。青みがかった銀色の髪に澄んだ海色の瞳。端麗な顔立ちのこの男の名前はジュリアス。こんな虫一匹殺せなさそうな顔をしている奴。実は―――。
「今日もお仕事お疲れ様です~」
「皆さんの安全の為ですから」
ひっ!
ぎらりと彼が背負っているライフルの銃口が光る。あの中には銀の弾丸が入っている。
お察しの通り、彼は祓魔師だ。俺を殺す人。あの銃口を突き付けられたら最後だ。思わず震えあがってしまう。
そんな俺の様子に気づいたジュリアスがさっと後ろにそれを隠す。
「すみません。怖いですよね?」
「そんなことないですよ~! ね~? カナン?」
「も、勿論……」
アリアちゃんが相手に見えないように俺を睨みつけた。えへっと俺は笑みを浮かべながらそう返す。
最悪なことにこの祓魔師、どうやら国でも指折りの実力者らしく何度も上位悪魔を殺したとか。
基本的に上位悪魔は蘇ることが出来るとはいえ、その分力が削られてしまう。だからあまり死にすぎると上位から位が落ちてしまうことがある。よって、よっぽどの事情がない限りは一度やられたらその人間が死ぬまで人間界に顕現することはない。例え、召喚されようとも。
大体にして上位悪魔なんてそこら辺にポンポンいるはずもないのに出会って、しかも倒すなんて運と実力を兼ね備えた天性の才能だろう。ある意味天職。
そんな人物が近くにいるのである。しかも、俺の職場の常連。
拠点を変えようと思ったのだが、この男、俺を疑っているのだ。
仕事辞めようかな~とか違う街に行こうかな~という話を職場の人と話していると、どこに行くんですか?次はどこで働くのでしょうか、と探りを入れてくる。
こ、これはあれだ。俺を悪魔だと疑っておられる!!
殺される!悪魔だと確信させたら殺される!!!!
え、えへ、ちょっと俺に向いてないかなって思っただけです。と返すので精いっぱいだった。
だからこんな環境で、俺から人間に契約を持ちかけるのはとてもリスキーなのである。
今日もアリアちゃんに彼の接待を任せて俺は別の人の注文を取りに行く。
ああ!誰か早く俺を召喚してくれ!!
そうすれば俺、こんな危ない場所から安全なお家に帰れるから!!!
労働はくそ。
人間って凄いね。俺だったらもう金持ってる奴から奪い取って好きにしたいよ。
「そこの店員さん。注文お願いします」
「は~い」
とはいえ今俺は人間に扮しているので彼らのルールに従って生活している。魔界にいても召喚されなかった俺を人間界ならば誰か召喚するだろうという目論見があったのにもかかわらずこの一年音沙汰なしである。
もう誰でもいいから欲望を持った人間に契約を持ちかけようかと思ったが―――。
「こんにちは」
「きゃあ! いらっしゃいませ~。ジュリアスさま~」
キタァーーーーーっ!!!!!!
同じ仕事仲間のアリアちゃんが黄色い声をあげて出迎えたのは一人の男。青みがかった銀色の髪に澄んだ海色の瞳。端麗な顔立ちのこの男の名前はジュリアス。こんな虫一匹殺せなさそうな顔をしている奴。実は―――。
「今日もお仕事お疲れ様です~」
「皆さんの安全の為ですから」
ひっ!
ぎらりと彼が背負っているライフルの銃口が光る。あの中には銀の弾丸が入っている。
お察しの通り、彼は祓魔師だ。俺を殺す人。あの銃口を突き付けられたら最後だ。思わず震えあがってしまう。
そんな俺の様子に気づいたジュリアスがさっと後ろにそれを隠す。
「すみません。怖いですよね?」
「そんなことないですよ~! ね~? カナン?」
「も、勿論……」
アリアちゃんが相手に見えないように俺を睨みつけた。えへっと俺は笑みを浮かべながらそう返す。
最悪なことにこの祓魔師、どうやら国でも指折りの実力者らしく何度も上位悪魔を殺したとか。
基本的に上位悪魔は蘇ることが出来るとはいえ、その分力が削られてしまう。だからあまり死にすぎると上位から位が落ちてしまうことがある。よって、よっぽどの事情がない限りは一度やられたらその人間が死ぬまで人間界に顕現することはない。例え、召喚されようとも。
大体にして上位悪魔なんてそこら辺にポンポンいるはずもないのに出会って、しかも倒すなんて運と実力を兼ね備えた天性の才能だろう。ある意味天職。
そんな人物が近くにいるのである。しかも、俺の職場の常連。
拠点を変えようと思ったのだが、この男、俺を疑っているのだ。
仕事辞めようかな~とか違う街に行こうかな~という話を職場の人と話していると、どこに行くんですか?次はどこで働くのでしょうか、と探りを入れてくる。
こ、これはあれだ。俺を悪魔だと疑っておられる!!
殺される!悪魔だと確信させたら殺される!!!!
え、えへ、ちょっと俺に向いてないかなって思っただけです。と返すので精いっぱいだった。
だからこんな環境で、俺から人間に契約を持ちかけるのはとてもリスキーなのである。
今日もアリアちゃんに彼の接待を任せて俺は別の人の注文を取りに行く。
ああ!誰か早く俺を召喚してくれ!!
そうすれば俺、こんな危ない場所から安全なお家に帰れるから!!!
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