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第二章 やめてー!!俺の屑を連れて行かないでぇ!!!
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これ美味しい、あれ食べたいと猊下に御飯を食べさせながらも好きな食べ物を取って食べる。
お腹いっぱいになって、食器が下げられ食後のお茶をゆっくり飲んでいるとこんこんっと扉を叩く音がした。
「入れ」
「失礼いたします」
コイヨンの声だ。カップを置いてそちらを見ると、入ってきたのはコイヨンだけではなかった。
「フラウにジエン……?」
「知っているのか?」
「え、あ、うん、まあ」
そこにはコイヨンの他にこの前出会った二人がいた。どういうことか、ラフィール公爵の家紋をつけた騎士服を身につけている。
ま、まさか、昨日の騒動で雇った人……?
「お前の護衛騎士と侍従だ。好きに使え」
「え!?」
侍従がコイヨンで、護衛騎士が二人も!?いや要らん!!コイヨンだけでも手一杯なのに二人増えるって聞いてない!!
俺は慌てて猊下にそのことを伝えようとしたら、フラウとジエンが片膝をついた。そして二人ともどんっと床に剣の切っ先を立てる。
な、何をする気!?
「私、フラウ・ヴィスエールは、主君、アルカルド・ラフィール様を裏切ることなく、この命が尽きるまでお仕えいたします」
「私、ジエン・ルヴィスは、主人、アルカルド・ラフィール様を脅かすもの全てを屠り、生涯貴方様にお仕えいたします」
何!?ぜんっぜん分からない!困って猊下を見ると、彼は優しく俺の頭を撫でて優しく微笑んでくれた。
「許すと言えば良い。でなければ一生こいつらはこのままだ」
それは困る!でも重い!!
これはもう決定事項のようで、俺の意思では覆せないようだった。俺はちらりと彼らの方を見てうなだれるように頷いた。
「許す……」
「ありがたき幸せ!!」
「誠心誠意、お仕えいたします」
「うん、よろしく」
俺はうなだれるように頷いた。今の俺にはそれしか出来なかったのだ。
ロズリーがいなくなり、コイヨンとフラウとジエンがやってきたなんて予想外だ。というか、なんで知り合いが……。
俺の計画の甘さが生んだ結果だ。結局、悪徳魔術師の始末は出来なかったし、このままでは立派なラスボスへの道が……っ!!
「ねえ、この前の杖の人はどうなったの?」
せめてこの手で始末したいがすでに処刑されていたらどうにも出来ない。
ちっとコイヨンが舌打ちしたような気がしたが、まあ気のせいだろう。
「あれは、指名手配犯だったから皇室が持って行った」
「皇室……」
じゃあ手出しできない!!王家を敵に回して猊下に迷惑をかけるわけにはいかない。それはだめだ。
それに皇室にはこの小説の攻め様、フレイがいる。余計なことをして彼の人生に何かあったらそれこそ全てが終わる。ここは、悪徳魔術師を懲らしめることができたと思って諦めよう。次だ次。
俺の人生、悪徳魔術師が終わると貴族の子のふりをして過ごす。うん、これはもう無理。貴族の子供ってところでかすっているから多分大丈夫だろう。大事なのは、力を持つことと過去を思い出すことだと思うし!!
俺はそう思ってあれ?と改めてその言葉を繰り返す。俺、今力から持ってるし、過去も思い出してる。もしかして、大事な所はもうクリアしてる……?じゃあ、無理にシナリオに従わなくてもいい……?
若干そう考えはじめて、やっぱりリィンに相談しないと俺では判断が難しいと結論を出した。教会に行きたい!リィンに会いたーいっ!!
そう思っていると、こんこんっとまたしてもノック音がした。猊下が入れっと指示すると、扉に控えているフラウがそれを開ける。失礼しますと入ってきた使用人は一枚の手紙を持っていて、猊下にそれを渡した。
「ベイカー伯爵家から舞踏会の招待状です」
「え!?」
その言葉を聞いて俺が驚いてしまった。慌てて口を閉ざすが、聞かれたのは確かで猊下がじっと俺を見ていた。
「知っているのか?」
「な、名前だけ……?」
「そうか。確か、お前のいた孤児院に寄付していたらしいからな」
「そ、そうそう!!」
その情報は知らなかったけど!流石だ主人公様!!
ベイカー伯爵家。そこは、今世の小説の主人公の生家だ。
レオ・ベイカー。ベイカー伯爵家の次男で、確か猊下より下で俺より上。
基本的に一部と二部で彼らの名前は変わらない。分かりやすくて良い。
なんで猊下に招待状が届いたのか分からないけど恐らく、長男の方が猊下と関わりがある、のかな?学生なんだと思う。
まあそれもあって驚いたのだが、そのベイカー伯爵家の舞踏会で時間が起こるのだ。
これは俺関わってないんだけど、かなり大きな事件になったのだ。
とある舞踏会で会場が爆破。それによって死傷者が出てしまったのだ。
この事件によってベイカー伯爵家は没落の危機に陥ってしまう。そりゃあ、利用されただけだが、そんな言い訳は通用しないのである。そして、家を建て直すためにレオは貴族全員が招待される皇室の舞踏会に参加する。そこで出会う二人を見て俺は記憶を思い出してしまうのだ。
まあそれは良いとして、なんで猊下がそんな危ないところに向かうのかって言う話だ。
この前のことと良い、俺といい、もしかして猊下悪役ホイホイ?
悪役を引きつける何かを持ってるの!?そうなると猊下は、命の危険があるモブになってしまう!!
俺もその引力に引かれているラスボスとしてとても気持ちは分かる!!分かるんだ!猊下は魅力的だからな!!
そんなことを考えていたら猊下がレターナイフでその手紙を開ける。俺もその手紙を覗こうとして、猊下はすぐそれを持ってきた使用人に渡した。
「参加すると伝えてくれ」
「畏まりました」
「! お、俺もいきたい!!」
学友を大事にする猊下も素晴らしい!格好いい!!でも今はだめだ!この事件は危ないんだ!俺が猊下を守らなければ!俺が!!
そう思って手を上げて主張をした。すると猊下はじっと俺を見た後に緩く首を振る。
「だめだ。お前は幼い。幼い子供は夜に行われる舞踏会には参加できないと法律で決まっている」
「いや俺14歳!!」
「……ああ、そうか。お前の実際の年齢は13歳だ。調べたから確かだ」
「え!」
13歳なんか!!さば読んだのがばれた!!でも実際俺の年齢も分からなかったわけだしわざとじゃ……わざとだけど……。
年齢も調べられて俺が成人を迎えていない年齢だと分かってしまいがっくりと肩を落とす。
「舞踏会なら、今度この屋敷で開こう。そのために新しい服とアクセサリーも買わないといけないな」
「あ、いや……うん、ありがとう。楽しみにしてる」
「ああ」
なんだか、猊下が嬉しそうな表情を浮かべるので俺はそう言うしかなかった。
じゃあ何をするかって?
勿論、猊下に気付かれないようにその舞踏会に行くに決まってんだろ!!猊下は絶対に俺が守る!!
お腹いっぱいになって、食器が下げられ食後のお茶をゆっくり飲んでいるとこんこんっと扉を叩く音がした。
「入れ」
「失礼いたします」
コイヨンの声だ。カップを置いてそちらを見ると、入ってきたのはコイヨンだけではなかった。
「フラウにジエン……?」
「知っているのか?」
「え、あ、うん、まあ」
そこにはコイヨンの他にこの前出会った二人がいた。どういうことか、ラフィール公爵の家紋をつけた騎士服を身につけている。
ま、まさか、昨日の騒動で雇った人……?
「お前の護衛騎士と侍従だ。好きに使え」
「え!?」
侍従がコイヨンで、護衛騎士が二人も!?いや要らん!!コイヨンだけでも手一杯なのに二人増えるって聞いてない!!
俺は慌てて猊下にそのことを伝えようとしたら、フラウとジエンが片膝をついた。そして二人ともどんっと床に剣の切っ先を立てる。
な、何をする気!?
「私、フラウ・ヴィスエールは、主君、アルカルド・ラフィール様を裏切ることなく、この命が尽きるまでお仕えいたします」
「私、ジエン・ルヴィスは、主人、アルカルド・ラフィール様を脅かすもの全てを屠り、生涯貴方様にお仕えいたします」
何!?ぜんっぜん分からない!困って猊下を見ると、彼は優しく俺の頭を撫でて優しく微笑んでくれた。
「許すと言えば良い。でなければ一生こいつらはこのままだ」
それは困る!でも重い!!
これはもう決定事項のようで、俺の意思では覆せないようだった。俺はちらりと彼らの方を見てうなだれるように頷いた。
「許す……」
「ありがたき幸せ!!」
「誠心誠意、お仕えいたします」
「うん、よろしく」
俺はうなだれるように頷いた。今の俺にはそれしか出来なかったのだ。
ロズリーがいなくなり、コイヨンとフラウとジエンがやってきたなんて予想外だ。というか、なんで知り合いが……。
俺の計画の甘さが生んだ結果だ。結局、悪徳魔術師の始末は出来なかったし、このままでは立派なラスボスへの道が……っ!!
「ねえ、この前の杖の人はどうなったの?」
せめてこの手で始末したいがすでに処刑されていたらどうにも出来ない。
ちっとコイヨンが舌打ちしたような気がしたが、まあ気のせいだろう。
「あれは、指名手配犯だったから皇室が持って行った」
「皇室……」
じゃあ手出しできない!!王家を敵に回して猊下に迷惑をかけるわけにはいかない。それはだめだ。
それに皇室にはこの小説の攻め様、フレイがいる。余計なことをして彼の人生に何かあったらそれこそ全てが終わる。ここは、悪徳魔術師を懲らしめることができたと思って諦めよう。次だ次。
俺の人生、悪徳魔術師が終わると貴族の子のふりをして過ごす。うん、これはもう無理。貴族の子供ってところでかすっているから多分大丈夫だろう。大事なのは、力を持つことと過去を思い出すことだと思うし!!
俺はそう思ってあれ?と改めてその言葉を繰り返す。俺、今力から持ってるし、過去も思い出してる。もしかして、大事な所はもうクリアしてる……?じゃあ、無理にシナリオに従わなくてもいい……?
若干そう考えはじめて、やっぱりリィンに相談しないと俺では判断が難しいと結論を出した。教会に行きたい!リィンに会いたーいっ!!
そう思っていると、こんこんっとまたしてもノック音がした。猊下が入れっと指示すると、扉に控えているフラウがそれを開ける。失礼しますと入ってきた使用人は一枚の手紙を持っていて、猊下にそれを渡した。
「ベイカー伯爵家から舞踏会の招待状です」
「え!?」
その言葉を聞いて俺が驚いてしまった。慌てて口を閉ざすが、聞かれたのは確かで猊下がじっと俺を見ていた。
「知っているのか?」
「な、名前だけ……?」
「そうか。確か、お前のいた孤児院に寄付していたらしいからな」
「そ、そうそう!!」
その情報は知らなかったけど!流石だ主人公様!!
ベイカー伯爵家。そこは、今世の小説の主人公の生家だ。
レオ・ベイカー。ベイカー伯爵家の次男で、確か猊下より下で俺より上。
基本的に一部と二部で彼らの名前は変わらない。分かりやすくて良い。
なんで猊下に招待状が届いたのか分からないけど恐らく、長男の方が猊下と関わりがある、のかな?学生なんだと思う。
まあそれもあって驚いたのだが、そのベイカー伯爵家の舞踏会で時間が起こるのだ。
これは俺関わってないんだけど、かなり大きな事件になったのだ。
とある舞踏会で会場が爆破。それによって死傷者が出てしまったのだ。
この事件によってベイカー伯爵家は没落の危機に陥ってしまう。そりゃあ、利用されただけだが、そんな言い訳は通用しないのである。そして、家を建て直すためにレオは貴族全員が招待される皇室の舞踏会に参加する。そこで出会う二人を見て俺は記憶を思い出してしまうのだ。
まあそれは良いとして、なんで猊下がそんな危ないところに向かうのかって言う話だ。
この前のことと良い、俺といい、もしかして猊下悪役ホイホイ?
悪役を引きつける何かを持ってるの!?そうなると猊下は、命の危険があるモブになってしまう!!
俺もその引力に引かれているラスボスとしてとても気持ちは分かる!!分かるんだ!猊下は魅力的だからな!!
そんなことを考えていたら猊下がレターナイフでその手紙を開ける。俺もその手紙を覗こうとして、猊下はすぐそれを持ってきた使用人に渡した。
「参加すると伝えてくれ」
「畏まりました」
「! お、俺もいきたい!!」
学友を大事にする猊下も素晴らしい!格好いい!!でも今はだめだ!この事件は危ないんだ!俺が猊下を守らなければ!俺が!!
そう思って手を上げて主張をした。すると猊下はじっと俺を見た後に緩く首を振る。
「だめだ。お前は幼い。幼い子供は夜に行われる舞踏会には参加できないと法律で決まっている」
「いや俺14歳!!」
「……ああ、そうか。お前の実際の年齢は13歳だ。調べたから確かだ」
「え!」
13歳なんか!!さば読んだのがばれた!!でも実際俺の年齢も分からなかったわけだしわざとじゃ……わざとだけど……。
年齢も調べられて俺が成人を迎えていない年齢だと分かってしまいがっくりと肩を落とす。
「舞踏会なら、今度この屋敷で開こう。そのために新しい服とアクセサリーも買わないといけないな」
「あ、いや……うん、ありがとう。楽しみにしてる」
「ああ」
なんだか、猊下が嬉しそうな表情を浮かべるので俺はそう言うしかなかった。
じゃあ何をするかって?
勿論、猊下に気付かれないようにその舞踏会に行くに決まってんだろ!!猊下は絶対に俺が守る!!
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