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次に僕は、サドルデン伯爵令嬢の友人3人のうち誰が一番真実を話してくれる可能性が高いかを調べた。

それと同時に3人の令嬢の父親や婚約者の家がサドルデン伯爵家とどれだけ関わりがあるかも調べ、ある令嬢に目をつけた。

そして、父親の子爵宛に『ご令嬢に不愉快な噂の出どころを確認したい。私が訪問することはご令嬢には言わずにいてほしい。そしてこのことは他言無用』というようなことを手紙で送った。

こっそりと訪問した僕を待っていた子爵夫妻とご令嬢。
特にご令嬢は僕の顔を見た途端、真っ青になった。
僕が何をしに来たのかがわかったのかもしれない。


「ロックス侯爵令息様、わざわざご足労頂きまして申し訳のないことでございます。
 娘に確認したいことというお手紙でしたが、私共も同席してよろしいでしょうか。」

「ええ。ご令嬢が嘘偽りなく話して下さったら、すぐに終わる話ですので。」

「シンシア、ちゃんと答えるのだぞ!何かは知らないが嘘はつくな。」

「お父様………」


シンシアと呼ばれたご令嬢は泣きそうな顔をしていた。


「では早速。あなたは5か月前、サドルデン伯爵家のお茶会に参加されましたね。」

「……はい。」

「そこで、私の愛する妻アイリーンと同席しましたね。」

「……はい。」

「そのお茶会では同じテーブルの女性以外とは話ができなかったと聞いています。
 主催者のサドルデン伯爵令嬢だけが各テーブルを回ってアレコレ話していたとか。
 その内容はアイリーンが話した内容だったとか。どういう内容かご存知ですか?」

「…………」

「シンシアっ!ちゃんと答えろ!」
 
「では、質問を変えます。
 アイリーンがあなたたちと話をした内容と、サドルデン伯爵令嬢が各テーブルを回って話したこと。
 これは同じですか?」

「……違うと思います。」

「ではまず、アイリーンとあなたたちがどういう会話をしていたのかを教えてください。」

「……サミア様、えっとサドルデン伯爵令嬢がアイリーン様に新婚生活について聞いていました。
 アイリーン様は『夫や義両親も優しくて問題なく過ごせている』と幸せそうに語られました。
 ですが、サミア様は粗探しをするかのように何か不満があるはずだって問い詰めて……
 話を夜の夫婦生活を聞くような感じに持っていかれてしまったんです。」

「それはどんな?」

「……アイリーン様の小柄な体形でご主人は満足できているのか、とか。
 色気をもっと勉強しないとご主人はアイリーン様に飽きるのではないか、とか。
 愛人ができても許してあげるべきだ、とか。
 アイリーン様は、『ご心配いただきありがとうございます』と答えられていました。」

「なるほど。それからサドルデン伯爵令嬢は各テーブルを回ってアイリーンの話をした。
 それで合ってますか?」

「はい。」

「あなたはサドルデン伯爵令嬢が他の参加者にどんな話をしたかを知っていますか?」

「……はい。お茶会後にサミア様から聞きました。」


チラッと僕を伺うようにご令嬢は見てきたが、そのまま言わせた。


「サミア様は、『アイリーン様からご主人との閨の不満事を聞かされた』と話して回ったそうです。
 満足していないけど満足している演技をしている、とか、娼館で勉強してほしい、とか。
 そんなことをアイリーン様が話されて驚いたと各テーブルで話してきたと笑っていました。」

「な、なんだその不愉快な嘘はっ!」


聞いていた子爵も黙っていられなかった。男にとって閨事の侮辱は深く傷つく。






 

 


 
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