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しおりを挟むヴィッテも、第二王子殿下とディートのお陰でバンズ侯爵家に調査が入ったのだろうとは思っている。
それは伯爵家としても非常にありがたいことだった。感謝している。
だけど、どうしてそんなに見てくるの?見張られてる?
私、友人と話をしているだけ。一人になってない。言うことは聞いているわ?
ディート様、私、あなたに振られたから諦めたの。
元々、高望みだってわかってたから、告白もする気はなかった。
あの告白は諦めるための区切りのつもりだったんですけど……
どうしてそんなに見てくるの?気になって仕方ないじゃない。
諦めようとしていた気持ちが再燃してしまうじゃない。
今、気づいた。
こっそりディート様を見ていたつもりでも、視線って意外と感じるものかもしれない。
ということは、告白する前からディート様を見ていたことに気づかれていたかも。
うわー。ごめんなさい。声をかけられることなく、ただ見られてるって苦痛かも。
だって、どういう意味の視線かわからないんだもの。
好意や恨みじゃないってのはわかる。だから見張り?でもディート様に見張られても……
照れたり冷や汗を感じたりはしないけど、なんか、焦る。焦れる?どういう心境になれば?
とにかく、私の心の平穏のために、視線を何とかしてほしい。
「ディート、お前、見過ぎじゃない?」
クラウドが指摘したくなるほど見てるのか?俺は、彼女のことを……
「まさか今日は行かないだろうなと思って。」
これは事実だ。先週、叩かれそうになったし、一人で行動しない約束をしたんだから。
「こっそりとギガルドの方にも監視がついてるから奴が待っていたかどうかはわかる。
もし、待っていたのに彼女が来なかったとなると、ギガルドは何か行動を起こすかも。」
「……見ているよりも側で牽制した方がいいのか?」
行き帰りが危ないかもしれないな。送り迎えをするか?
「違う。お前、大丈夫か?
婚約者でもないお前が彼女の側にいるのはおかしいことだろ?」
そうだった。彼女はあの男の婚約者だ。
なのに、彼女を守るべき男が一番危ないってどういうことだ?
「じゃあ、やっぱり見張ってるしかないじゃないか。」
「いやまあ、そうではあるんだけど、お前のその視線ってどういう意味を込めてる?」
「意味?特にない。でも、ここまで関わったんだ。守ってやらないと。」
「守ってやりたいという意味があるんじゃないか。ニブイね。」
クラウドは呆れたように独り言を呟いた。
「ん?何か言ったか?」
「いいや?見張りは一人でも多いに越したことはないね。」
ヴィッテにも見張りがついている。
侯爵家を一気に叩き潰そうと国王陛下は通常よりも多く人材を投入し、早期解決を望んでいる。
金のない侯爵家では、犯罪を犯すにもどこかに頼めない。
ギガルドがヴィッテに何かしら行動を起こすにしても、要は身近な令息の友人たちを頼る。
バカな話に乗る愚かな令息たちも一網打尽にしたいという思惑もある。
どうやら問題児の集まりのようで、既にトラブルもある。
大きな問題が発覚したことがないのでわからなかったが、放置できなくなった。
なので、ギガルドたちが愚かな行動を起こすと踏まえた上での監視なのだ。
ヴィッテは囮みたいなもの。もちろん、危険な目にはあわせないが。
いつも聡明なこの公爵令息は、そのことをちゃんと理解できているのかクラウドには疑問だった。
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