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しおりを挟むギガルドとその仲間たちの計画を知った伯爵家は安全が確保されているならばと囮を了承した。
しかし、計画が実行される前日に知った公爵令息ディートは猛反対。
薬で眠らされて、馬車の中で取り返しのつかないことが起こればどうなる?
あ……屋敷までの道中の馬車は密室だった。シマッタ。計画漏れだ!
馬車には伯爵令息2人が眠ったヴィッテと乗る予定だった。
ザックは御者で、もう1人の子爵令息はギガルドと学園内で時間つぶし。
どうしても実行するならば、ヴィッテが裏門に行く時間にザック以外の4人を教師に呼び出しさせるように言った。
ギガルドたちがザック1人にヴィッテを眠らせて馬車に乗せて家まで運ぶように言えば実行。
待つように言うか、日を改めるなら中止ということになった。
もちろん、調査チームが動いてくれてることは把握している伯爵家。
しかし、クラウドとディートまで動いていることを知らない伯爵家。
ディートの案で中止が濃厚かに思われたが、ギガルドたちはバカだった。
またまた人づてにギガルドからの伝言を受け取ったヴィッテ。
計画でなければ1人では行かないが、計画なので1人で行くことになる。
そして、裏門に向かう男たちに声をかけた教師。
ザック以外の4人が呼び出され、計画をどうするか揉める最中に待つ案が出る。
しかし、ザックが先にヴィッテを連れていくと言った。
何度もヴィッテが呼び出しに応じるとは限らない。
裏門にいつまでも馬車があると目立つ。薬から早く目が覚めるとバレる。
そう説得した。
ギガルドたちはザックに全てを任せて教師の元へと行った。
一応、計画に沿って裏門に現れたヴィッテ。
仮面を被ったザックに後ろからワザと薬を嗅がされたフリをするヴィッテ。
フラついたところを馬車に乗せられるフリをするヴィッテ。
そのままザックが馬車を王都郊外の家まで走らせる。
実際にヴィッテが行く必要は全くないのだけれど、騎士にも見守られながら家についた。
誘拐は十分に罪が重いのだけれど、実際に連れてきたのはザック。
あとの4人に計画は冗談だったと言い逃れされると親が庇うかもしれない。
確実に4人を犯罪者にするために、ヴィッテは最後までつきあうことになった。
家の中にはクラウドとディート。何?何?なんで?
「アイツらの捕まるところをしっかりと見ようと思ってね。」
「そうでしたか。そう言えば、殿下とディート様がバンズ侯爵家の調査をお願いされたのですよね?」
「まぁ、君がキッカケではあったね。いずれにしても調査は入っただろうから。」
「ありがとうございます。お陰で婚約は解消できます。」
ようやくお礼が言えた。学園ではこんな話はできないし。
「いやいや、異変に気づいたのはディートだからね。」
は?ディート様?何でこの人が?
「詳しい話はまた今度にして、君は眠らされたままベッドで縛られる。だよね?」
「そうですね。
あの内通者の方だけの責任にされないように、私が捕まっているのを肯定してもらうそうです。」
そうして縛られているフリでベッドでギガルドたちが来るのを待った。
もちろん、あちこちに騎士がいる状態で……
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