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しおりを挟む結婚翌日、ローレンスはすでに成人し、結婚までしたのにオリオール侯爵家の爵位を継承することは認められなかったと父は言った。
「陛下はまだお前に不安があるし、執務も全てやっているわけではないから私に代理を続けてくれと仰せになられた。跡継ぎができて一人前だと認められるだろう。それまで侯爵と名乗るな!」
「……わかりました。」
「お前にはすべきことが山ほどある。今まで通り、食事も全てこの執務室で食べろ。」
「しかし、ジョスリンがいるのに彼女を一人にするのは失礼かと思うのですが。」
「心配ない。我々が面倒を見る。お前は陛下に認めていただけるように仕事だけしてろ!」
「……はい。」
父はさすがに学園を卒業したローレンスに暴力を振るうことはなくなった。
その代わり、全ての時間を執務に充てるようにローレンスを執務室から出さなくなった。
自室で食べていた食事も、執務室になった。
ジョスリンと結婚すれば、体面を気にして普通の暮らしができるかと期待したが、そうではないようだ。
ローレンスが侯爵位を継ぐ時が来ても、父や義母は出て行くことはないだろう。
義母はともかく父はローレンスの実父であるため、ここにいる権利はある。
弟レナウンは婚約者もいないが、半年後に学園を卒業すればどうする気なのか。
彼まで侯爵家に居座るつもりなら、オリオール家は赤の他人を養い続けることになる。
このままでいいはずがない。
一日も早く爵位を継ぎ、正しい姿に戻すべきである。
ローレンスは結婚したことで、自分が守るべきものは何なのかを少しずつ自覚していった。
しかし、数日後、執務室の窓から信じられないようなものを見た。
見間違い、ではない。
妻ジョスリンと弟レナウンが庭で抱き合い、口づけていたのだ。
ローレンスは出てはいけない執務室から飛び出した。
「ジョスリンと毎日過ごせるなんて、最高だな。」
「私もよ。早くレナウンの妻になりたいわ。」
「妊娠してたらいいな。してなかったら、またローレンスの奴と寝なきゃならなくなる。」
「ふふ。ただ添い寝しただけなのに、そんなに嫌がってくれるなんて嬉しいわ。」
「ローレンスはジョスリンを抱いたと思ってるんだろ?今度は本当に襲われるかもしれないぞ?」
「そうよねぇ。何度もお酒や睡眠薬で誤魔化せないだろうし。」
「あとどれくらいで妊娠しているかわかるんだ?俺の子種は強いから一発で妊娠してるだろ?」
「一発って……それどころじゃないくらい毎晩交わってるのに。」
「ダメ押しだよ。ジョスリンの中、毎晩すごいことになってるもんな。」
「もうっ!こんな外で恥ずかしいこと口にしないでよ。」
「それにしてもローレンスはマヌケだよな。あのシーツ、信じたんだろ?」
「それはいかにもっていうシーツなんだもの。あなたと私の初夜のね?」
そういうことか。ローレンスはジョスリンを抱いていなかったことを知った。
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