逃げた先で見つけた幸せはずっと一緒に。

しゃーりん

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宝飾店で声をかけてきた、学園の同級生だったジェイド・ピルスナー伯爵令息。

記憶喪失設定のローレンスは彼のことを覚えていないのだ。覚えていても、覚えていない!

そう言えば、メロディーナと一緒に暮らし始めて記憶喪失設定で苦労した覚えはないと気づいた。
彼女は昔の話をしないからだ。

まぁ、たった4日間一緒だっただけなので、メロディーナもあまり話すと恋人だったという設定の話が破綻するからだろう。 

それでも、この街で、ここを手を繋いで歩いたという話だけは聞いた。
しかし、別れたという設定だったのになぜこの街でデートしたのかという辻褄の合わないことには気づかないふりをしている。 


「いや、ローレンスだろう?君は殺されたのかと思っていた。」


殺された?確かに、事情を知らないと家出という事実すら疑いを持つかもしれない。

実際、殺される可能性も高かったのだし。


「ランスさん、お待たせしました。」

「すいません、失礼します。」


店員が声をかけてくれて助かった。


「こちらですね。奥様、お喜びになると思いますよ。」

「そうかな。そうだといいけど。」

「お二人の仲の良さは有名ですからね。さらなる虫よけでもうこれで完璧でしょう。」


メロディーナは旅の男にも声をかけられるからなぁ。予防線になればいいけど。


「はははっ。ありがとう。周りにも見せびらかして宣伝しておきます。」

「よろしくお願いしますね。ありがとうございました!」


ローレンスが宝飾店から出ると、ジェイドが待っていた。

しつこい。記憶喪失だと言うべきか?


「今、君はランスと名乗っているのか?」

「名乗るっていうか、ランスという名前ですけど?」

「君はローレンスじゃないか。オリオール侯爵になっていたはずの男だ。」

「侯爵?まさか。僕がそんな貴族なわけないじゃないですか。」

「君の妻は子供を産んだぞ?君は重婚しているのか?」


重婚?そうかもしれないが、戸籍は別だから重婚にはならないだろう?


「言いがかりはやめてくれませんか?話の内容がさっぱりわかりません。失礼します。」


ジェイドは追ってこなかった。

まさか、こんなところで知り合いに会うとは思わなかった。
あの頃の僕とは随分違っているはずだ。
メロディーナと初めて会った頃とも違い、そこそこがっしりとした体格になった。

もう誰も、ひょろひょろで気持ち悪いとは言わないだろう。

ジェイドはよく気づいたな、と思った。



それにしても、ジョスリンは子供を産んでいたのか。

それはもちろん、弟レナウンの子供に違いないが、結婚直後にできたのだろうか。
それとも、数か月後に妊娠してから、ローレンスが失踪したことにしたのだろうか。

アイツらが、ローレンスの家出直後に捜索したとは思えない。

これ幸いとジョスリンが妊娠するまで何事もないかのように過ごしていたに違いないだろう。

 
 


 
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