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しおりを挟む大家さん経由で辺境伯宛に面会を希望する手紙を出し、返事はすぐに来た。
時々、メロディーナは近況報告をしていたらしい。知らなかった。
大家さんを経由すると、たくさん届く手紙とは別に屋敷に届けられることですぐに辺境伯様の目に届くからということだった。
今暮らしているところから辺境伯の屋敷までは半日もかからない。朝早く出れば昼過ぎには着く。
子供たちを連れて行くのは大変なのではないかと思ったが、メロディーナが辺境伯夫妻にも会わせたいと家族で向かうことになった。
もちろん、貸切馬車で。
馬車の中は、それはもう賑やかで、それでも半分は眠ってくれたから助かった。
「初めまして。メロディーナの夫、ランスと申します。様々なご支援を頂きながらご挨拶が遅れましたこと、心からの感謝と共にお詫び申し上げます。」
「チザム・ロングロードだ。こちらが勝手にしたことだ。君は知らなかったのだから。
メロディーナ、久しいな。元気に暮らしているようで何よりだ。」
「ご無沙汰しております、チザムお義父様。街の人たちも親切で楽しく過ごしております。」
チザムお義父様って……そんな呼び方をしていたのか?確かに親子のような年齢差だけど。
実際にはメロディーナが辺境伯の義母……いや、もうどうでもいいか。
辺境伯夫人は2人の子供、ミレージュとリカルドの相手に夢中になっていた。
子供たちが眠そうになったことで、夫人とメロディーナも一緒に応接室から出て行った。
そして入れ違いに入ってきたのは辺境伯の息子と辺境伯の弟だった。
辺境伯の息子はステッド、辺境伯の弟はマルムと名乗った。
「改めまして、ローレンス・オリオールと申します。」
「記憶を失っていると聞いていたが、戻ったのか?」
「あっ……実は、記憶喪失は嘘です。」
「「「…………は?」」」
3人の男が驚く顔はそっくりだった。
ローレンスは、1年経ってもメロディーナの近くにいて付きまとう気持ち悪い男だと思われることを恐れて、咄嗟に演技をしてしまったのだと白状した。
辺境伯たちには大笑いをされた。
「あ、いや、すまない。気持ちはわからなくもない。惚れた女が年寄りに嫁がされて心配だったのだろう?彼女が幸せか、困っていないか、逃げたくならないか、自由になるその時を見守っていたとわかっている。」
バレバレだった。
「となれば、君がオリオールから逃げた理由を聞かせてもらってもいいか?」
そうだよな。
記憶を失っていないのであれば、ローレンスが何を思って逃げたのか理由を知りたくなるのは当然だ。
オリオールを捨てた理由。
それは他者から見ればどう思われるものなのか。
彼らの反応によっては、ローレンスは貴族に戻るべきではないだろう。
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